初恋と文学

 久々に文学を読んでいる。16歳の時に読んだのだけれど、全く覚えていないので「百年の孤独」を再読している。スケールの大きくて魔法的なストーリーが、一段落ごとに劇的な展開をして、吸い込まれるように読んでしまう。大江健三郎と中上健次が影響を受けたとあったが、後期の大江の訳の分からない神話より全然面白い。後期の大江健三郎は「魔法」をやりたすぎて、抽象的すぎて退屈だ。大江も中上も初期の方が断然好きで、具体的な個人が生きている短編集や「われらの時代」「個人的な体験」といった中編の方が好きだ。中上健次で一番好きなのは「十九歳の地図」という短編集に入っている「黄金比の朝」という短編で、学生と水商売の女の話が妙に頭に残っている。

 引きこもりだから当たり前なんだけれど、今の恋人とはインターネットで知り合った。僕はその時カフェインを飲んでいて情緒がおかしかったんだけれど、最近読んだ本を聞くと「初恋」と言っていて、「ツルゲーネフの?」と聞くと「そう」と言うので、好きになった。ロシア文学はドストエフスキーとトルストイぐらいしか読んでないんだけれど、ロシア文学が好きな女の子はいいなと思ってしまった。この前は自宅に遊びに来たが、ハムレットを持って帰った。
 その後もサガンの「かなしみよこんにちは」やカミュの「異邦人」を古本屋で買っていた。本物が分かるから好きだな。最近自分でも驚くぐらい鑑賞眼が開けてきたのだが、日本の小説は本当にレベルが低いと思う。近代日本文学は結構読んだが、世界的レベルなのは谷崎潤一郎、阿部公房、宮沢賢治ぐらいだと思う。三島由紀夫や坂口安吾にハマっていた時期もあったが、物足りない。
 文学好きの友人とよく小説の話をするが、太宰とか芥川みたいなビッグネームは普通に面白くないとこの前話した。あと現代小説は、死ぬほど面白くない。湊かなえ、中村文則、村田紗耶香、川上未映子、村上春樹などを読んだが、金と時間をドブに捨てただけだった。

 一番好きな小説は「カラマーゾフの兄弟」2番目は「1984年」3番目はこのままだと百年の孤独になりそうだなあ。他に好きな小説は、ロリータ、嵐が丘、悪童日記シリーズ、邪宗門、真理先生、あと小林秀雄のゴッホの手紙は泣けた。

 おじさんになると文学の妙味が分かるようになるのはメリットだと思う。最近急に文学熱が湧いてきて、気になってた「三体」とかミラン・クンデラとかポチってしまった。なんで急に小説が読みたくなったんだろうと考えたが、多分好きな人と文学を語らいたいからだな。恋人も仏教に興味を示してくれて瞑想をしているし、お互いにいい影響を与えていると思う。

 幸せだな。伝わるか分からないが、文学ってミルキーだと思う。読んでいる最中、とれたての乳で出来た物凄い甘い飴みたいな雰囲気になる。心には綺麗な栄養をあげたい

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げんにび
勉強したいのでお願いします