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アンリ・コルピ監督『かくも長き不在』待ち続ける女



<作品情報>

「雨のしのび逢い(1960)」のコンビ、マルグリット・デュラス、ジェラール・ジャルロのシナリオをアンリ・コルピが演出したロマンチック・ドラマ。撮影は「OSSと呼ばれる男」のマルセル・ウェイス、音楽はジョルジュ・ドルリューが担当した。出演は「顔のない眼」のアリダ・ヴァリ、「めんどりの肉」のジョルジュ・ウィルソン、ほかにジャック・アルダン、ディアナ・レプヴリエ、カトリーヌ・フォントネーなど。なお、六一年度ルイ・デリュック賞、同年カンヌ映画祭グランプリを受賞している。黒白・ディアリスコープ。

1960年製作/フランス
原題または英題:Une aussi longue absence
配給:東和
劇場公開日:1964年8月14日

https://eiga.com/movie/43286/

<作品評価>

70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
アンリ・コルピ監督が夫の帰還を信じる女をしっとりと描き出した作品です。
未亡人のテレーズはカフェの女主人。ある日ホームレスの男の顔を見て仰天する。死んだと思っていた夫にそっくりだったからです。その後彼女はあの手この手で彼との時間を過ごそうとするのですが…
彼は本当に夫だったのか?結局分からないラストがいいですね。「冬が来たらきっとまた帰ってくるわ」と言うその顔が哀しくもあり、どこか力強くもあります。
ただまあそんなに印象に残らない作品だったなと思います。演出や撮影にもこれといった特徴がないですし、主演女優にもあまり魅力を感じなかったです。
もっと情感たっぷりに描き出されるのかと思ったのですがけっこう淡白で飽きてきてしまいました。

吉原
『かくも長き不在』は、カフェを営む女性が16年前に姿を消した夫にそっくりな浮浪者と出会う物語です。彼が本当に夫なのか確信が持てない中、少しずつ距離を縮めていく彼女。しかし、周囲の人々は夫であることを否定し続けます。それにもかかわらず、彼女の信念はますます強くなっていきます。
本作の上映時間は100分弱と比較的短いですが、一つ一つのシーンが長回しで非常にゆっくりと展開されるため、物語が動き始めるまでの約1時間はやや退屈に感じるかもしれません。しかし、物語の後半に向けての展開は非常に見応えがあります。
本作の見所の一つは、終盤のダンスシーンからラストに至る流れです。妻テレーズを演じたアリダ・ヴァリのダンスシーンでの表情は特に印象深く、忘れられないものとなっています。
また、DVDパッケージのキャッチコピーである「彼の名前を一生忘れない“アルベール・ラングロワ”」というフレーズが、映画の中で非常に残酷かつ印象的な場面で明らかにされます。
本作は、戦争が人々に与える物理的な損傷だけでなく、心にまで深い傷を残す恐ろしさを訴えているのではないかと感じます。

<おわりに>

 非常に美しい映画です。静かなトーンで紡がれる物語にハマれるかどうかで評価が分かれそうです。

<私たちについて>

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