ZEN messengerができるまで
皆さん、こんにちは。
株式会社ZENTECHの鈴木と申します。
当社は、スマホのアプリを使って寄付の仕組みのDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するサービスを展開しています。
現在、株式会社ZENTECHはイークラウドというサービスを使って、株式投資型クラウドファンディングに挑戦しています。
2019年に愛媛県西条市でITを活用した地域活性化・まちづくりのプロジェクトを立ち上げ、仮説検証、試行錯誤、スクラップ&ビルドを繰り返し、ここ2年ほどでようやくサービスとして回り始めるようになりました。
これからさまざまな地域で展開していくにあたり、この事業を支援し、その成長を喜んでいただける方々と一緒にやっていきたいとの思いで、このクラウドファンディングに挑戦することにしました。
おかげさまで、募集開始から1日経たずに目標金額の約300万円を達成できています。ご支援していただいた皆様、ほんとにありがとうございます!
またこのクラウドファンディングとは別に、株式会社ダイキアクシス様のCVCであるDaiki Axis Venture Partners様からも出資していただきました。
このように皆様に注目していただけるようになったこの機会に、自分がなぜこの事業をやるにいたったかということを振り返ってみたいと思います。
大阪時代の違和感
もともと僕自身は、今関わっているような地域活動や寄付などに対して強い関心があったわけではありません。
むしろ、どちらかというと無関心でした。
現在は愛媛県西条市というところに住んでいますが、もともとは大阪に住んでいました。
大阪に住んでいる頃は、地域活動に触れる機会もほとんどなく、いわゆる地域課題、社会課題といったものはどこか遠くのもの、自分とは関係ない世界で、ちょっと特別な人たちが何か活動しているんだろうなという程度でした。
西条市に移住する前は大阪市内のキタの繁華街でダイニングバーを12年半経営していました。
常連のお客さんもおり、それなりに毎日充実した日々を送っていたのですが、どこか社会に対する漠然とした違和感や閉塞感を感じていました。
幼少期のペルーでの経験
それは今にして思えば、僕の幼少期の経験が少なからず影響していたように思います。
僕は父の仕事の関係で、7歳から14歳の7年間、南米のペルーというところに住んでいました。今でこそペルーはマチュピチュやナスカの地上絵などで有名ですが、当時はまったく知られていませんでした(ちなみに中学校の時の修学旅行はアマゾン川でした)。
当時のペルーは本当に貧乏な国で貧富の差も激しく、当たり前のようにストリートチルドレンがいて、道端で靴磨きをやっていたり、信号待ちの車にお菓子を売りにきたり、窓ガラスを勝手に拭いてお金をもらおうとしたりしてました。
一方で日本から来た人たちは庭付きプール付き、お手伝いさんがいる大きな家に住んでいました(うちは違いましたが😓)。
そして、何よりそういう社会の状況に対しておかしいと疑問に思ったり、改善しようとしたりする人がいなかったのが不思議でした(もしかしたら子どもだった僕の知らないところでそういう活動をしている人たちがいたかもしれませんが)。
子ども心にそうした社会の不条理さみたいなものを感じていたように思います。
そして、日本に帰ってくると非常に恵まれていることに驚きました。ストリートチルドレンなんてどこにもいないし(中学校にはヤンキーと呼ばれる変な髪の色や変な形の制服を着ている人はいっぱいいましたが)、水や電気は当たり前のように通っているし(ペルーではしょっちゅう断水や停電になっていました)、食べ物もおいしいし、たくさんあるし、まちは安全できれいだし。
なんていい国なんだ!と思いました。
ところが、日本の豊かさに感謝する一方で、人々の間に感謝の気持ちが薄く、幸せを感じられていない人が多いことに疑問を感じました。
経済的状況は違えど、ペルーの人々と日本の人々の間には、現状に対する諦めや無力感といった共通点があるように感じました。
そんな中、地域おこし協力隊の制度を活用した起業型移住プログラムに出会い、2019年3月に愛媛県西条市に移住することになります。
PROJECT ZENの立ち上げ
愛媛県西条市では、ITを活用した地域活性化やまちづくりをテーマにした「PROJECT ZEN」を立ち上げることになりました。
現状を仕方ないと諦めるのではなく、より善い世界を目指して社会に変化を起こしていきたい。都会よりも地方の方が課題が多く、そこにこそ新しいテクノロジーを使って実現できることがあるのではないかと考えたのです。
地方には、少子高齢化、過疎化、環境問題など、様々な課題が存在します。
そして、これらの課題解決のために、日々奮闘しているNPO法人などの市民団体がいます。
しかし、多くの団体が、活動資金の不足に悩まされています。自分たちでお金を出し合ってなんとかやりくりしている団体のなんと多いことか。
「自分たちのまちを良くしたい」という思いがあっても、資金がなければ、活動を続けることができません。
僕は、そんな現状を目の当たりにし、強い危機感を覚えました。
「儲かるかどうか」という経済合理性だけでは立ち行かなくなることが目に見えている日本の地方では、今後こうしたまちの人々の自発的な活動がまちを支え、人々を繋げる重要な役割を担うと確信しています。
その活動の持続可能性を高めるために、経済合理性の論理で動いている社会のお金を、いかにその外側の活動にうまく繋ぐか。
ZEN messengerは、この問いに答えるべく誕生しました。
ZEN messenger: 無関心と無知を解消し、誰もが「自分のこと」として地域活動に参加できる社会を創る
ZEN messengerは、「地域課題解決支援アプリ」という肩書きを掲げていますが、その本質は「お金の自律分散的な分配の仕組み」を提供することではありません。
僕たちが目指すのは、寄付などのソーシャルアクションを通して、地域課題の解決に貢献すると同時に、人々の意識を変革する「ソーシャル・イノベーション」です。
「ZEN messenger」は、「1人の1万円より100人の100円」という世界観に基づいて作られたプラットフォームです。
従来の寄付は、一部の意識の高い人や経済的に余裕のある人が中心でした。
しかし、ZEN messengerは、「いいね!」を押すという簡単な行動で、誰でも気軽に地域活動に参加できる仕組みを提供しています。
「いいね!」1つで、企業や個人が拠出した資金が、地域のために活動するNPO法人などの市民団体に分配されます。
ユーザーは、「スポンサー」「プレイヤー」「メッセンジャー」の三者で構成されます。
スポンサー:地域課題・社会課題解決のために資金を拠出する企業・個人
プレイヤー:社会課題の解決に向けて活動するNPO法人などの市民団体
メッセンジャー:地域住民
メッセンジャーは、プレイヤーの活動報告を見て、「いいね!」を押すだけで、地域貢献に参加できます。
「ZEN messenger」は、寄付を通して、以下の3つの変化を生み出します。
地域活動の「見える化」:これまで埋もれていた素晴らしい活動や、困っている人たちの現状を、多くの人に知ってもらうことができます。
「無関心」と「無知」の解消:地域で起きている問題や、その解決のために活動している人たちのことを知ることで、自分ごととして捉えることができるようになります。
「資金分配の民主化」:従来のように、一部の人間や組織によって資金の使い道が決められるのではなく、地域の人たちの「いいね!」という意思によって、資金が分配されます。
「ZEN messenger」は、従来の寄付の枠組みを超えて、誰もが社会貢献に参加できる新しい形を提案しています。
目指す未来
僕自身がかつてそうであったように、「自分一人が何かしたところで、何も変わらない」という諦めや無力感が、社会課題や地域課題に対する「無知」や「無関心」を生み出し、今の日本の社会の閉塞感や生きづらさにつながっているのではないでしょうか。
ある調査によれば、日本で「自分の将来のイメージは暗い」と答えた人の割合は4割にも上ります。他の中国・ASEAN諸国と比べても断トツに高い数字です。
こうした将来に他する不安は、経済的な要因が大きいと考えられます。ですが、単なる経済的な繋がりだけではない人間関係を築くことができれば、「お金がなければ生きていけない」という悲壮感漂う社会ではなく、「必要とされている・役に立っているという実感」を伴う「共助」の豊かな未来が実現できると考えています。
僕たちは、ZEN messengerを通して、地域課題の解決に貢献すると同時に、人々の意識を変革し、そうした未来への希望を掲げていきたいのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?