【紀行】龍頭が滝(雲南市)
広島県下で日本の滝百選に入っているのは県北作木の『常清滝』。隣県、島根まで足を伸ばしてみると、『龍頭が滝』も百選の滝でした。
龍頭が滝手前は大きなプールになっております。
別名、裏見の滝(「恨み」じゃ…ございません)と云って。珍しく滝の裏側まで歩道が用意されており、滝裏を見ることが出来るのも大きな特徴。
この滝には名馬『池月』のお話しがあります。
龍頭滝(りゅうずがたき)に母馬を亡くした子馬がいた。
子馬は水面に映る己の姿を母馬と思い滝壷に飛びこむことを繰り返す。やがて子馬は泳ぎの得意な馬へと成長した。
邑智郡邑南町阿須那(あすな)の牛馬市に出されたその馬だが、都賀本郷で江川にさしかかった。雪解けで江川は増水していた。
いかだに馬を乗せて渡そうとしたとき、馬は川に飛びこむと、増水した急な流れをものともせず向こう岸まで渡ってしまった。
馬はかつてない高値で阿須那の博労に落札、その後、馬は阿須那城主に売り渡されたという。
名馬「池月」の傳承は島根邑南のみならず。東京都大田区南千束、洗足池畔の千束八幡神社にもあります。水を恐れぬ泳ぎの得意な馬であったことは、こちら島根の池月と同じ。
源 義経の木曽義仲攻略における宇治川の先陣争い。義経配下、佐々木高綱に下賜された「池月」が梶原景季操る名馬「麿墨」と先陣を競い、見事勝ったとされています。
「誉池月」と称した銘酒。地元羽須美に造酒屋があったりします。(^^)
さて。滝までの道のりです。
駐車場から休耕地をぬけて山の中に入っていきます。しばらく歩くとキャンプ場(というかレストラン?)炊事場があります。炊事場から直進すると龍頭が滝の「雌滝」。
目指すのは「雄滝」なので右手の橋を渡り。川右手から更に進みます。
どこまでも続く木の階段を上りきって。右手に回り込むと…囂々と滝の音がしてきます。
滝手前の水溜…というか。滝手前までジャブジャブ入っていけるだけに水との距離が近いです。飛沫になった水がふわふわと飛んでくるので、夏でも涼しい。
で。
恨み…(おい)じゃなかった。裏見の滝ですから、裏に回ってみます。
滝の横に登っていく遊歩道を移動しつつ、横見の滝。
滝下奥の洞穴(岩の割れ目ですな)から、滝手前プール部分の観覧者を臨むとこんなカンジです。
いずれも、(寺社問わず)修行場として使われることもあるのでしょう。守札・護符…中には水子さんへのお供え物なんぞもあったりします。礼拝対象としての、龍頭が滝の裏の顔でした。
滝壺に映る自身の姿を母と見て、飛び込む内に泳ぎが上手になった子馬。馬には馬の悲しいお話しがあるんですね。
「池月」…あっちで、もうお母さんには会えたかな。(^^)
今年は07月21日の大雨の影響により、遊歩道への土砂の流入・路肩の崩落により立ち入り規制中だそうです。
そうでなくても隣県への移動ははばかられるご時世。何度か赴いていただけに紅葉時期までになんとかなれば、また赴いてみたい場所です。
長文御披見、ありがとうございました。(合掌)