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良いスライドを作るには ~その2:「事実の押し付け」型と改善策~
前回の記事
前回は、「なぜ、あなたの作るスライドは理解されないのか?」という所から、1スライド、1メッセージにおけるアンチパターンを1つ紹介しました。今回はその続きから始めます。
”結局、何が言いたいの?”を誘発する「事実の押し付け」型
1スライド、1メッセージにおけるアンチパターンの2つめとして、単に事実だけを淡々と説明するケースがある。
例えば、こんなボディーのスライドに対して「トラックドライバーの年収は400-450万円前後、また、年間の労働時間は、2,500時間前後である」というようなメッセージを書いたとしよう。
![](https://assets.st-note.com/img/1715594585411-aO1qDLvphU.png?width=1200)
この場合、十中八九想定されるツッコミとしては「それで、何が言いたいの?」というコメントである。確かにボディーに記載の事実は伝えており、1スライド、1メッセージの体はなしている(実際には2メッセージになっているのだけど、一旦置いておく)
しかし、このメッセージを伝えた所で、読み手としては「ここから、何を言いたいのか?」が分からない訳である。このように、1スライド、1メッセージの体をなしていても、ただの事実の押しつけになっている場合には、資料としてはあまりよろしくない。
ちなみに、この場合であれば、(それって自明なのでは?、ということは一旦置いておいて、)言いたいこととしては、「トラックドライバーが他産業と比較しても、低賃金・長時間労働の職種になっている。」というストーリーが展開されている。
「事実の押し付け」型の改善策
では、「事実の押し付け」型にならないようにするにはどうすればよいのか?
基本的なことではあるが、主に次の3つを意識すると良い。
全体ストーリー・論点に基づき考える
ボディーから考えない
「これ、面白いか?」という妄想
ここからはそれぞれについて説明する。(ちなみに、ここから先書くことは、至極当たり前なことなので、新たな気づきはほぼないと思われる。。。)
全体ストーリー・論点に基づき考える(特にメンバーの場合)
ここでは、上司やマネージャーなどから、全体資料のうち一つのパートや特定のページを任された状況を想定して説明する。
この場合、スライドのメッセージを考える際の指針になるのが、全体ストーリーや論点となる。というのも、あくまで1スライドは、全体資料や全体ストーリーを構成するパーツであるためで、それ単体で何か効果を持つ、というケースは少ない。(討議用資料において、1-2枚で議論する場合もあるが、あれも結局は論点が明確だから出来る技である)
そのため、そもそも全体ストーリーや論点がない、または理解していない場合、1スライドや特定のパートを作ることはその時点で難しくなる。加えて、論点が不鮮明な状態でファクトやデータを見た所で、ストーリーとの整合が取れないから、事実の羅列に陥ってしまう。
例えば、このグラフ、どのようにメッセージをつけますか?といきなり言われると、なかなか難しい。
![](https://assets.st-note.com/img/1715594750215-ImwhCCdfAT.png?width=1200)
単純にこのグラフだけを見れば、「上位Y社の原油処理能力は世界全体のXX %を占める」とか「原油処理能力に対して、ネルソンコンプレキシティ指数は相関せず」とか結構いろいろな観点が考えられる。
ただし、この資料は、「我が国製油所の国際競争力」というテーマのものであるため、ここで言いたいこととしては、日本の製油所が世界的に見ると、どこに位置づけられるか?という点であった。なので、シンプルに、「日本の製油所は世界的に見れば中規模」というメッセージのスライドとなっている。
ボディーから考えない
2つめは、当たり前ではあるが、意外と疎かにしがちな「ボディーから考えない」である。様々な資料作成の書籍に書いてある内容だが、意外とこれが出来ていない。なぜ出来ないのか?というと、これは仮説だが、”資料の出来上がっている感”を見せたい/見たいがために、先にボディーから着手しているケースが多いように思う。
気持ちは分からなくもないが、色々とボディーを加工・化粧した所で、意味のないゴミスライドを作ったら、その時間は無駄になる。何度もボディーの記載を修正するのではなく、メッセージを研ぎ澄ますことに時間をかけ、それを支えるボディーは1-2回程度の作業で実現する。これが理想的な資料作成の工程になる。
ちなみに、たまに資料作成の書籍に「メッセージとボディーのイメージが決まったら、Power Pointはほぼ手直しがないように作業する」という旨の記載を見るが、経験上あれはかなり難しい。手書きのイメージはあくまで手書きなので、Power Pointで表現した時に思ったトーン・デザインにならない場合もある。そういった時は、多少の手直しは発生する。(ただし、それを考慮しても、ボディーから考えるよりも早く、かつ、確率的に刺さる資料になる)
「これ、面白いか?」という妄想
![](https://assets.st-note.com/img/1715594976586-rTyCMcUHLg.png?width=1200)
3点目は、全体ストーリー・論点に基づきメッセージを書いたが、メッセージを初見の人間が見た時に果たしてどんなリアクションをするか、妄想するという方法である。もう少し具体的に書くと、そのメッセージを読んで、「確かにそうだよね」、とか「へぇ〜、なるほどね」、「マジで?」などの心揺さぶる内容になっているか?を想像するイメージだ。
実は、当初想定した全体ストーリー・論点に基づいてメッセージを書いてみたけど、読み手のリアクションが微妙な場合がある。これには2つの原因が考えられる。1つめは、論点に対する解にはなっているが、すでに自明であり、あまり新しいインサイトがない場合である。この場合、「結局、ここで何が言えれば面白いんだろう?」といった視点で一度作ったメッセージを推敲することがポイントになる。
もう一つの原因。1つめの原因とも関連する場合が多いが、そもそもの全体ストーリー・論点がイケてないケースである。基となる全体ストーリー・論点がダメなら、メッセージをいくら鋭くした所で、それは刺さらない。一方で、論点が弱い、という観点は意外と忘れられがちである。そのため、あえて「ここってそもそも、何が言えれば良いんだっけ?」「それって本当に知りたい内容だっけ?」と論点を練り直す工夫が必要になる。
この後、書きたい内容(案)
と、寄り道しながら色々書いていたら、またしても文字数も多くなってきたので、ここで一度切ります。続きはまた今度。
スライド、1メッセージ(続き)
「ほんまかいな」型とは
スライドを使う目的を覚えていますか?
そのスライドにストーリーはあるか?
一回、スライド使わずに資料作ってみれば?
見栄えはどこまで突き詰めるべきか?
デザインと執筆の同時並行をしていませんか?
(順次追加予定)
参考書籍(興味ある方は読んでおくと良いです)
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