会計士試験受験生が簿記論合格のためにやったこと

税理士試験の結果が発表されました。
簿記論合格してました。

元会計士受験生の私が合格までに何をやったか備忘録的に記したいと思います。
ちなみにR6.5の短答式の財務会計論は6割強くらい。平均が例年より高い会でしたので、合格水準には届いていません。
私のように会計士受験生の方以外でも、過年度生の方など一通り知識がついている方にも参考になれば幸いです。

簿記論の基本構成は、個別問題✖2(各25点満点)と総合問題✖1(50点満点)です。

まずはTACの過去問を5年分パラパラと点数を気にせず解きました。

総合問題は、5~10点くらいしか取れませんでした。個別の論点で全くわからないということはないのですが、集計能力が全くありませんでした。
会計士試験だと、科目残がピンポイントに問われるため、集計能力は特段必要ありません。これは対策に時間がかかりそうだと思いました。

個別問題は、論点によって取れたり取れなかったりですが、簿記一巡や推定簿記など、結構簿記の本質的な問題が多いなぁと感じました。
勝手な独断で、解いた感触で下記の過去問が良問だろうということで繰り返し解くことにしました。
・ 令和5年(73回)の第一問の特殊仕訳帳関係
・ 令和4年(72回)の第一問のCF計算書
・ 令和3年(71回)の第一問の単式簿記一巡
繰り返しますが、個人的な感覚だけなので参考程度に。
結局令和6年は、簿記一巡を意識するような、こういう毛色の問題は少なかったように思います。そういう点で少し異質な回だったように個人的には思います。

あとは会計士試験と比較した簿記論の特徴としては、
・ 一般商品売買が結構出てくる
・ 仕訳や科目名が問われる
ところでしょうか。
簿記を取ったのは数年前なので、分記法総記法とかそこら辺の論点は勉強しなおさないといけないなと思いました。
仕訳や科目名は、会計士試験受験生は意外と盲点になりやすい気がします。
前述したように会計士試験短答式では科目残が問われます。意外と科目名とかが頭から抜けていたりします。
私はTACの、完全無欠の総まとめを購入し、忘れている仕訳がないか、総点検することにしました。

上記が完了すれば、短答式の計算がある程度仕上がっていれば、跳ねることはなくても、大きくへこむことはないだろうと感じました。
逆に連結とか組織再編がらみは簿記論受験者は基本しかやらないようなので、出たらアドバンテージとれそうだなぁと思いました。出ませんでしたが。

私は5月の短答式も受けていたので、本格的に勉強始めたのが6月くらいからになります。

7月くらいでしょうか。
勉強をすすめていって、色々と感じることがありました。
まずは、個別論点はその年によって難易度も内容もばらつきがかなりあるので、対策と言っても限界があるなということ。一方総合問題は、割と例年似たような問題が出るため、対策がしやすそうと感じました。
この時期位から、総合問題を中心に対策しよう。というのが基本戦略になりました。

総合問題ではまず集計方法をどうするか、という問題があります。
私の知る限りでは3つくらいあるのではないでしょうか。

① T勘定を書いて記入してく

② 仕訳を書いて集計していく

③ 直接残高試算表に記入していく

自分は最初は②でやっていましたが、集計ミスが出たり、かなり時間がかかるなぁと感じ、最終的には③の方法でやることにしました。
余談ですが、試験の本番で配られる計算用紙に大量のTが書いてあるのにビビりました。①で解く想定なんでしょうが、違う解き方の人にとっては、邪魔なだけです。Tなんて一瞬で書けるし人によって大きさも違うんですから、最初から印刷するのはやめた方がいいんじゃないかと思っているのは私だけでしょうか。
すみません余談でした。

結果的に③にした理由は大きく二つあります。

一つは、会計士試験の短答式と解き方が似ているからです。いわばあるべき残はいくらか?というのを意識して解くことになります。
例えば一番わかりやすいのは現金です。BSの現金残は、結局のところ、金庫を実査した金額に調整されます。
そのことを理解していれば、仕訳を考える必要はありません。他の論点も同じようなことを意識して解くようにしました。

もう一つは、意外と集計能力は求められていないのではないか、と思い始めたことによります。過去5年間の総合問題を見ていっても、前TBから答えの後TBまでの調整は、最大でも3回くらいの調整でした。しかも3個くらい集計が必要になるとその分論点も多くなるので、正当必須の箇所にはほぼなりません。それなら前TBに書き込むくらいで十分ではないか、と考えました。

人によって適正は違いますが、個人的には③の方法がはまり、総合問題は例年より簡単だったこともありますが、自己採点で40点以上取ることが出来ました。
因みに予備校の問題集では、2月末のTBが与えられて、3月中の仕訳を集計するパターンもあることを知りました。
過去問は5年分しか入手していないので、過去いつ出たのかは確認していませんが、そういうパターンでは③の方法では集計項目が多すぎて難しいと思います。そこらへんは出たらしゃあないと割り切ってました。

直前期に今まで過去問しか解いていないことに不安を感じ始め、すこし余裕も出てきたので、会計人コースの直前予想問題集を購入し解いてみることにしました。が、これは結果的には必要なかったと感じます。
これも個人的な意見ですが、予備校の問題は、簿記論としての論点の難しさというより、集計能力が問われる問題が多いように感じます。
逆に本試験の問題は、少なくともここ5年は、集計能力はそこまで問われていないように思います。もっと言えば、そこまで複雑な集計は、正当必須の問題にはなりえないと思いました。

確かにこんな問題良く作れるなあと思いましたが、深入りはする必要ないと判断しました。これは誉め言葉ですが、あれは、簿記オタク様たちの神々の遊びだと思っています。
さらっと一周はしましたが、目標点数に全然届かず、自信を無くしかけたので、本棚の端っこに閉まって、無かったことにしました。
合格するだけなら、手を付ける必要はないと思います。個人的な意見です。

試験本番は、まず再現性の高い第三問で45分使い、取れる所はとった後、第一問から解き始めるという計画で行きました。第一問と第二問は難易度のばらつきが大きいのでその方が精神的に良いと考えました。

細かい自己採点は正直していないのですが、結果としては、

第一問 
・ 退職給付
年金資産の期待収益率を書けるタイミングの指示を誤って、芋づる式に失点。

・ その他有価証券と包括利益
多分ほぼ完答でした。包括利益関連は会計士受験生は強い。

第二問
・ 固定資産
全くわからない論点はなかったけど、計算ミスをポロポロ。
第三問 → 第一問 → 第二問の順番で解いたので、時間もなかった。

・自己新株予約権
とりあえず適当に埋める。自身全くなし。部分的に科目があってたりはしてたけど、点数になっているのかわからない。

第三問
ここから解き始める。難しそうなのは切るという想定だったが、結構解けそうな論点が多くて、45分では全然終わらなそうで逆に焦る。
多分1時間弱は使ったんじゃないかと思います。ただ40点以上多分取れているので、結果的に良かったなと思います。


結果、総合問題で受かったという感じだと思います。
どんな試験でも、毎年似た形式で出る問題を得点源にするというのはセオリーだなと感じます。

なにかの参考になれば幸いです。

話に出てきたテキスト関係です。


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