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【確定申告関連】事業所得者は見てほしい棚卸資産を自分で消費、知人にあげた際の取り扱い


今回の記事を思いついたきっかけは、下記のカンパンは妻がデザインしたものなのですが、何のためらいもなく、家の非常用バックに入れたり、身内に配ったりとしていたので、「それは収入になるってわかってる?」と質問して、わかってなかったのがきっかけです。

1.販売用の棚卸資産を自分で使った(自家消費)、人にあげた(贈与)した場合の取り扱い

普通に考えれば、棚卸資産を自分で使った場合や人にあげた場合には、金銭等の対価が存在しないので、収入は0になるわけです。
これが原則的な取り扱いとなります。
ただ、所得税法は売上収入0を良しとせず、売上にあげてください、と一見意味がわからないことを言ってきます。

具体的には下記の「家事消費等」の欄に金額を記載しないといけません。

国税庁HP

売上といいましたが、販売価額を売上とするわけではなく、棚卸資産の取得価額(取得価額より販売価額の70%の方が大きい場合には、当該70%)をここに書けばいいわけです。

この自家消費について裁判所の理屈としては、下記のようです。
「自家消費の場合にも,経済的には,当該商品を顧客に販売したうえ,右売上金で同一商品を他の販売業者から購入した場合とその効果を一にするからであると解される」

事業者である妻が、一旦自分に自分に販売して、自分で使ったのと一緒だということみたいですが、、、あげた場合も、一旦自分で自分に販売して、それをあげたのだと…。

これで納得してくれればよいのですが、これで納得できるのは稀有な天才だけだと思います。

2.自家消費や贈与のからくり

突然ですが、売上原価はどのように計算しますか?
年初商品+当期仕入高-年末商品となるわけですよね。
この年末商品は12月31日において有するもの、つまり実地棚卸をしたものなわけです。

先ほどの、売上にあげないといけない金額をもう一度見てみましょう。

上記の文です

はい、見たわけですが、思い付きで見せたわけではなく、これがヒントになるわけですね。
なお、上記の70%は主に貴金属など利益率が高い商品を想定していますので、今は忘れてください。

つまり…棚卸資産の取得価額を売上にあげればよいということは、
売上原価を減らすのとイコールですよね。

実地で棚卸してしまう以上、自家消費や贈与した棚卸資産についても、その分、売上原価に入ってしまっているわけで、その分まで売上原価として必要経費にするのはよくないよね?と言っているわけです。

最初からこのように言ってくれれば、良かったんですけどね。

3.贈与がダメなのはわかった。では、お安く売ればいいの?(低額譲渡)

世の中には頭のいい方がいらっしゃるものです。
「贈与がダメなのはわかった。では、一円でも値段をつけて売却すれば、贈与じゃないからいいんでしょ?」
といったように。
法律を作る人も当然頭がいいわけで、このような時にも対策を練られております。
「著しく低い価額の対価による譲渡 当該対価の額と当該譲渡の時におけるそのたな卸資産の価額との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額については、その事由が生じた日の属する年分の事業所得又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する(所得税法第40条①二号)」

この場合における実質的に贈与したと認めらる金額は、通常の販売価額の70%からその対価の額(今回であれば1円)を控除した金額になります。

つまり、販売価額10,000円の棚卸を1円で売却した場合には、1円だけでなく、6,999円も収入としないといけないわけですね。

4.自家消費は実は消費税にも影響あり(何で平仄あってないの・・・)

自家消費の場合、やっかいな事に消費税の課税事業者の個人事業主は、消費税にも注意する必要があります。
この場合には、棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額の概ね50%以上の金額を対価の額としないとダメ。

何で同じ基準じゃないのよ・・・。

以下は読み飛ばして、次に進んでOKです。
所得税法の消費税法も実際には時価を課税するという言い回しをしています。
取得価額或いは70%(所得税)、仕入価額と50%以上(消費税)は通達において、特例的に言っていることなのです。
70%は棚卸資産の原価率を参酌し求められたものであるのに対して、消費税の方が対象となる資産の範囲が広いこともあるので、50%としたのではないか、というぐらいしか言えないです。

5.まとめましょう

まとめてみました。

うちの妻に認識がなかったように、漏れが多そうな部分であるため、
確定申告前に一度チェックをしてみる必要がありますね。

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