値下げについて
私は事業として、製造、卸、小売とそれぞれの事業を行っています。
(卸は製造事業会社に付属したものと小売事業会社に付属したもので卸の事業会社は持っていません)
まず製造業における値下げについてです
よくあるのは卸会社さんからの特売条件の依頼です。
多くは通常より多く発注するからというのが多いのですが、
基本的に私の経営する5億ぐらいの年商の食品製造業では通常より多く発注をもらっても原価は下がりません。
それが通常4ケースぐらいが100ケース注文をもらったとしてもです。製造業の仕入れは小売業とは違いそもそもそれなりの量で仕入れていますので、原材料の調達ロット、コストは変わりませんし、中小企業は全工程フルオートということも少ないと思いますので、作る量が増えると比例してそれなりに人件費も増えます。むしろ残業になったり、生産ペースが乱れることは品質の乱れにも繋がることが多々あります。
でも、値下げ(特売条件)の要請に答えてしまっている経営者は多いのではないでしょうか。
私の経営する会社では、基本的には条件は一切なし、どうしてもと言われた場合は出荷のロットが多くなり送料が下がった分の差額のみ対応するようにしており、そのほかの条件は一切出していません。
よく考えてください、特売条件を出すということは多くの小売店ではそれを利益に付加するのではなく、売価の値下げの原資とします。
ということは私がこの売価ならお客様が納得して買っていただけるはずだと思い、悩み抜いて決めた売価が崩されることになります。
値決めは経営そのものです。
絶対に自ら自社の商品価値を落とすような施策を打ってはならないと思っています。そもそも家電量販店のように交渉したら安くなって交渉しない人は高く買うようなシステムは異常だと思います。交渉されたからと言って卸価格を下げてはいけません。卸価格を下げるならば、それはもうその商品のそもそもの価格改定=値替えでなければならないと思っています。
中小企業はきちんと自社の商品の売価を決めること(卸値だけ決めて売価はご自由にはダメです)
そして、その売価を決めるのに経営者は市場を調査し、悩みに悩んで値付けすべきだと思います。
次に小売店での値下げについてです
小売店での値下げといえば賞味期限が近づいてのやむ得ない値下げのほか、特売と称する値下げがあると思います。
賞味期限の近づいた商品の値下げは私の経営するお店でも行います。でも本来は通常価格で売れるはずの商品が値下げ価格で購入される可能性もあるので、できればあまりやりたくありませんが、フードロスの問題も考えるとこちらはやむ得ない値下げではないでしょうか。
片方で特売と称する値下げについてです、こちらは私は不誠実の極みと思っており嫌っています。絶対私の経営するお店ではやらせません。
(セット販売での値下げはします、でもその場合はそのセットがなくなるまでずっとその価格です。あと、相場のある生鮮は別です。)
なぜか、それは必ず特売日ではない日に購入した人がいて、安く買ったと喜ぶ人がいる反面、高く買わされたとがっかりさせることに繋がります。
せっかく気に入って、価格や品質に納得して買ってもらったのに、次にきた時やSNS、広告でに全品●%引きとか、本日限り、毎週何曜日は、いついつまで、などで●円、または●%引きとなっていたらどう思いますか?
私はがっかりします。
しかも大体、価格が安くなった時に買うお客様はいつも安くなった時にしか買わなくなり、さらに定価で買っていたお客様も定期的に特売するならその時に買おうとなります。
大手の販売手法を真似してはいけません。
真似したら儲かりませんよ、儲からないと事業続きませんよ!
製造業同様、値付けは経営そのものです、
その値付けを安易に上げ下げしては経営はままなりません。
また、何より先ほども書きましたがお客様に対して不誠実だと思います。
値下げを常套手段にして経営している方がもしいらっしゃるのであれば、ぜひこの機会に値付けにしっかりと時間をかけて自信を持って売価をつけてみませんか?
正価販売をすることが中小企業の生きる道だと思います。
余談ですが、
そもそも特売反対派ですが、その中でも「〇〇全品●%」引きってなんなんですかね、ある商品がおすすめだから、少し価格を下げるので試しに買ってくださいというような意味合いもなく、在庫処分なんですかね?それならわかりますがそれを毎週やってるお店ってもうその日しか売れないし、その日以外に買い物したお客様に特売日にくるお客様の●%引きの原資を負担させている意識あるのかなって思っちゃいますね。
ただ言うは易し、行うは難しで、わたしはいま書いたことをずっと心に思っていましたが、スーパーを経営していた時にはずっとやめられませんでした。今までやっていたことを突然やめたらそれこそ経営がおかしくなります。でもいつかはやめようと思い続けていました。いますぐやれなくてもそうありたいと思い続けることが大切だと思います。