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冷やし中華終わりました。新世界菜館。

新世界菜館の冷やし中華を、何回も、食べてみたいなあと思っていたのだけど、夏というのは無慈悲に短い。ああ、梅雨だ、何だこの湿度は、どうしようもないな。梅雨明けは暑すぎて、これはこれでどうしようもないな、などと考えていたら、夏は瞬く間に過ぎ去っており、幸福の女神には前髪しかない、といった調子で、さてそろそろと思ったころには、夏はもう終わっているのだ。

今年こそはと思い、神保町へ向かった。ドアの前に立った。なんと、冷やし中華は、9月1日までらしい。今日は8月31日である。あぶない、また今年も、冷やし中華を食べ損ねるところであった。

クーラーがガンガンに効いていた。冷やし中華は、ほてった体を冷やすことを狙うべきものであり、環境としても、ガンガンに冷えた状態で食べていきたいものである。

錦糸卵は細くてふわっとしている。キュウリは均一に細長い。エビは私を忘れるべからずといった感じで皿の上でぷるぷるとしている。盛り付けも端正である。箸を入れてぐるぐると混ぜる。なんか申し訳ないような気がする。美しい盛り付けは、混沌の中に消えていった。

ぐぐっと持ち上げずずずっとすする。酸味のあるのタレの中で、麺が大勢を支配しつつも、キュウリは清涼感出しいきますからといった優等生な感じで、紅しょうがは粗にして野だが卑ではない!といった主張をしてくる。やはりエビは丁寧な中華の下処理で、やたらとぷるぷるである。均一な味はしない。混沌である。その混沌のうまさがある。

食べ終わった。今年の冷やし中華はたぶんこれで終わった。夏ももうすぐ終わりだ。

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