ヴィンテージ オース考察
どうももすぎです。今回は第24期ヴィンテージ神挑戦者決定戦で使用したアトラクサオース(BUGオース)について紹介します。
1.デッキリスト
今回私が使用したリストは以下の通りです。
メインボード
土地19
4《禁忌の果樹園》
2《Tropical Island》
2《Underground Sea》
1《迷路庭園》
1《溢れかえる岸辺》
1《汚染された三角州》
1《沸騰する小湖》
1《霧深い雨林》
1《島》
3《不毛の大地》
1《露天鉱床》
1《耐え抜くもの、母聖樹》
呪文41
4《偉大なる統一者、アトラクサ》
4《ドルイドの誓い》
4《意志の力》
3《実物提示教育》
3《王冠泥棒、オーコ》
2《狼狽の嵐》
1《Black Lotus》
1《Ancestral Recall》
1《Time Walk》
1《Mox Sapphire》
1《Mox Jet》
1《Mox Emerald》
1《Mox Pearl》
1《魔力の墓所》
1《ギタクシア派の調査》
1《渦まく知識》
1《精神的つまづき》
1《時を越えた探索》
1《悪魔の教示者》
1《吸血の教示者》
1《思案》
1《閃光》
1《呪文貫き》
1《否定の力》
1《ロリアンの発見》
1《活性の力》
1《ガイアの祝福》
サイドボード
1《The Tabernacle at Pendrell Vale》
1《Chains of Mephistopheles》
1《否定の力》
1《霊魂奪取》
1《貪欲な罠》
2《無のロッド》
2《活性の力》
2《精神壊しの罠》
2《外科的摘出》
2《四肢切断》
2.デッキの調整について
2024年5月現在、ヴィンテージのメタゲームとしてはルールスデッキが最も多いため、ルールスを意識して構築する必要があった。それに加えてジュエルショップや白単イニシアチブといった爆発力の高いデッキも一定数いるため、メインデッキやサイドボードに《無のロッド》のような特定のデッキ「だけ」を対策するカードを大量に採用するわけにはいかない。また、ヴィンテージ神挑戦者決定戦に参加するにあたり、もし勝ち上がった場合にはドゥームズデイと戦わなければならないため、デッキ構築の難易度が普段より高いと感じていた。
そこで、関東のヴィンテージ強豪プレイヤーである北野氏の協力やMOでのプレイによりデッキを綿密に調整することにした。
・シミックオースの調整
最初に私が調整していたのはシミックカラーのオースである。つい最近に《思案》が制限解除されたため、黒のチューター2種の枠を埋められることや、《ウルザの物語》対策として環境に多く存在する《不毛の大地》による色事故を減らせると考え、黒をタッチする価値そのものはよく理解していたが敢えて2色で構築した。なお、MOで調整を開始した段階では《ウルザの物語》を3枚採用していたのも黒を切った理由の一つである。《ウルザの物語》を採用する最大のメリットとして、白系デッキがサイドインしてくる《封じ込める僧侶》に対して滅法強くなることである。これは構築物トークンのサイズが単に大きいだけでなく、《Black Lotus》のサーチにより《偉大なる統一者、アトラクサ》のハードキャスト難易度が大きく下がるためである。しかし調整をしていく内に、《禁忌の果樹園》で与えるトークンと相性が悪い、構築物トークンで戦うプランに切り替えた途端に《ドルイドの誓い》を引き込みコンボができない、《浄化の印章》のような置物対策カードで容易に対処される、後手番だと《ロリアンの発見》がない分無色1マナから取れるアクションがほとんど無くテンポロスが厳しいといったデメリットが目立つようになってきたため、《ウルザの物語》の枠を《不毛の大地》に差し替えるようになった。
・《迷路庭園》の採用
シミックオースを調整している段階で4枚目の《Tropical Island》を《迷路庭園》に差し替えた。オースデッキは1マナのアクションが少なく、また1ターン目から《思案》を唱えたいデッキでもない(できれば《狼狽の嵐》を構えたいが)ため、フェッチランドでサーチする前提でのタップインのデメリットはほとんどないと考えた。なお1ターン目の《ドルイドの誓い》キャストに関しては《禁忌の果樹園》を用いて行うのが理想であるため、「土地をタップインしたために《ドルイドの誓い》の設置が遅れる」ことに関しても致命的にならないと考えた。また、これを採用することで1ターン目のフェッチ置いてエンドが単純なターンパスにならず、安定度の貢献となった。
小技になるが、こちらが先手1ターン目にフェッチ置いてエンド、相手も土地置いてエンドのとき、相手の手札が6枚以上の時にはエンド時にフェッチを切りタップインする。フェッチを切ったタイミングでこちらのマナが出せなくなるために相手がこのタイミングで《Ancestral Recall》を差し込んできても手札が8枚になるためピッチカウンターを切ってまで弾く必要がなくなる。もし相手の手札が5枚以下になってるようであれば青1マナを立たせ続けられる状態でタップインをするのが無難である。
・《時を越えた探索》の採用
環境に数多く存在するルールスデッキと戦うにあたり、中~長期戦でのアドバンテージソースが必要であると考えた。当初は色拘束の緩さや増えるハンドの枚数を優先して《宝船の巡航》を採用していたが、《オークの弓使い》や《覆いを割く者、ナーセット》に引っかかることや、3ドローの中に有効牌がないことが多々ある、そして何よりもソーサリータイミングで動かなければならないことが弱く、《時を越えた探索》と差し替えた。こちらは必要なコンボパーツやカウンターを的確に拾いに行ける、そして相手のエンドに唱えることで次のターンのバリューを大きく引き上げてくれる。青2マナの色拘束のデメリットはあるものの、基本的には問題なかった。
なお、このデッキは《ドルイドの誓い》解決に伴う墓地肥やし以外ではあまり墓地にカードが落ちないため、探査呪文2種を採用するのは難しい。
・シミックからスゥルタイへ
シミックカラーでは有効牌を3枚の《思案》で探さねばならないため、序盤の動きこそ安定はするものの中盤以降の引き合いになったときに有効牌にたどり着くまでに時間を要することが多かった。加えてドローに制約をかける置物を置かれた場合や、《ロリアンの発見》によりハンド差をつけられた場合に苦しいことが多かった。また地味ではあるがフェッチランドから探せる土地が青と緑しか出せないため、《偉大なる統一者、アトラクサ》のための色マナが不足することがしばしばあった。
シミックカラーを諦めた決定的な要因は、不毛の大地に対する色マナの安定や《王冠泥棒、オーコ》を無理なく4枚搭載できることにより有利になると想定していたルールスデッキに勝てないことであった。色を絞ることで強いカードがデッキから減るため、長期戦にどうしても弱くなる。そしてルールスデッキはゲームが長引くほど《ロリアンの発見》や《ウルザの物語》でゲームを有利に進めることができる。MOでテストしていたときは悪く感じなかったが、北野氏が握るルールスデッキには全く太刀打ちできなかった。シミックカラーでは単純なデッキパワーが低いことに加え、環境のカードパワーが高く、微妙なトップ3枚をシャッフルするか否を正確に判断しなければならない《思案》というカードの難解さも敗因として考えた。
そのため黒を足して再度調整することとした。黒の利点は主に3つで、①《吸血の教示者》と《悪魔の教示者》を採用できる、②サイドボードの幅が広がる、③《偉大なる統一者、アトラクサ》の素出し難易度が下がることである。
《吸血の教示者》と《悪魔の教示者》はゲームの場面に合わせて最適なカードをサーチできるためデッキパワーの上昇は非常にわかりやすく、シミックカラーでは2:8ぐらいで不利であった北野氏のルールスデッキに5:5ぐらいまで勝率があがった。2種のチューターによりゲームスピードを引き上げることが勝率改善になっているのではないかと思う。
また、サイドボードにはルールスデッキ、特に青白ベースのものに非常によく刺さる《霊魂奪取》や、ジュエルショップや逆説のようなドローを連鎖させるデッキに刺さる《Chains of Mephistopheles》を採用できるのは大きい。加えて2種類のチューターのおかげで1枚差しでも運用しやすいのも大きなポイントである。
黒を足したことでデュアルランドの枚数が増えたが、タップイン土地である《迷路庭園》は問題なく運用できたため引き続き採用することとした。黒マナや1マナで動く場合はデュアルランドをフェッチで探せばよく、後からタップイン処理をしてもさほど気にならなかったためである。
・《ロリアンの発見》の採用
スゥルタイカラーに変えた当初は《迷路庭園》の運用もありフェッチランドを5枚採用していたが、何度も回すうちに《偉大なる統一者、アトラクサ》でソーサリーを回収できないことが多かったため、フェッチランド1枚を変更した。
・《衝動》ではなく《思案》を採用
MOのリストでは《衝動》を採用しているものをよく見かけるため、《衝動》と《思案》をMO上で試したが、各々に長所と短所があり、正直どちらでも大きな差がないと考えた。そこで1マナなので初動を安定させやすく、ソーサリーなので《偉大なる統一者、アトラクサ》の回収枠を増やせる《思案》を採用した。
・《Mox Ruby》の不採用
今回のリストでは《不毛の大地》が3枚あり、無色マナ源は十分ある。また1~2ターン目に引くと強いがそれ以降は基本的に弱いため《偉大なる統一者、アトラクサ》のために使えない色である《Mox Ruby》を不採用とした。なお、《魔力の墓所》は《実物提示教育》を唱えるために非常に有用なので採用している。
・サイドボードの《虚空の力線》の不採用
もし勝ち上がった場合はドゥームズデイと対戦しなくてはならないため、墓地対策枠に《外科的摘出》を採用した。このカードはドゥームズデイに対してサイドイン(1度カウンターに成功した《最後の審判》をブッコ抜く)できるからである。そのため今回はドレッジに対して非常に厳しい戦いを強いられる。(《虚空の力線》不採用のデッキでドレッジと当たると大概ボコボコにされる)
なお、ピッチヴァインについてはもともと有利なため問題ない。
3.ヴィンテージ神挑戦者決定戦でのマッチアップにおけるサイドボーディング
・青白ルールス
in
2《活性の力》
2《霊魂奪取》
1《四肢切断》
out
2《実物提示教育》
1《否定の力》
1《吸血の教示者》
1《偉大なる統一者、アトラクサ》
ゲームプランとしては、メインは《ドルイドの誓い》を主軸に戦い、サイド後は《王冠泥棒、オーコ》をメインプランとしてゲームを行う。
サイドインは《封じ込める僧侶》などのやっかいなクリーチャーが多く出てくるため除去を入れ、また《ウルザの物語》や《王冠泥棒、オーコ》を止める《真髄の針》を除去するための《活性の力》を入れる。なお、《ウルザの物語》は《活性の力》で除去することで《不毛の大地》を《カラカス》のために温存できる。
サイドアウトは《激しい叱責》や《門衛のスラル》を合わせられると辛い《実物提示教育》2枚、アドバンテージを失う《否定の力》《吸血の教示者》を抜く。また《実物提示教育》が減ったため手札での有用性が小さい《偉大なる統一者、アトラクサ》を1枚減らす。
ルールスはゲーム中盤以降は《ロリアンの発見》で手札を増やすが、デッキがドローに強く依存はしないため《Chains of Mephistopheles》は不要かもしれない。
ルールスデッキと戦うときはなるべく7枚キープを心がける。なぜなら1ターン目に即死することがほぼないから。(ボルトキー天和は例外)
・墓荒らし
in
2《四肢切断》
out
1《活性の力》
1《否定の力》
ゲームプランとしては、除去されやすい《ドルイドの誓い》よりもカウンター以外で対処できない《実物提示教育》をメインにゲームする。サイド後もこの方針は変わらない。
サイドインはクリーチャー除去の《四肢切断》のみに留め、サイドアウトは刺さるカードがほとんどない《活性の力》やアドバンテージを失う《否定の力》を抜く。なお、墓荒らしはルールスデッキよりもハンドを稼ぎにくく、またカウンターも少ないため《吸血の教示者》は入れるカードがなければ抜く必要がないと思う。
・マーフォーク
in
2《四肢切断》
2《活性の力》
out
1《否定の力》
1《呪文貫き》
1《吸血の教示者》
1《実物提示教育》
メインは《ドルイドの誓い》が強いためとにかく設置することを目指す。サイド後も基本的には同じである。
サイドインは《墓掘りの檻》や《真髄の針》といったこちらの動きを阻害する置物が増えることが予想されるため《活性の力》を増やし、また各種クリーチャーを除去するための《四肢切断》を入れる。サイドアウトはアドバンテージを失う《否定の力》《吸血の教示者》を抜き、当たるカードが少ない《呪文貫き》や《ティシャーナの潮縛り》を合わせられると辛い《実物提示教育》を減らす。
・ジュエルショップ
in
1《Chains of Mephistopheles》
1《否定の力》
2《無のロッド》
2《活性の力》
2《精神壊しの罠》
out
3《実物提示教育》
1《精神的つまづき》
2《狼狽の嵐》
1《魔力の墓所》
1《偉大なる統一者、アトラクサ》
メインゲームは相手のコンボスピードが速く、また《一つの指輪》のプロテクション付与が《ドルイドの誓い》を阻害するためとにかく不利なので、サイド後に妨害カードを大量に入れることでコントロールし切って勝つことを目指す。
サイドインはとにかくカウンターとアーティファクト妨害カードを入れる。またドロー阻害のための《Chains of Mephistopheles》を入れる。
サイドアウトは相手の《切望の宝石》を手助けする《実物提示教育》、刺さるカードが少ない《精神的つまづき》《狼狽の嵐》、《無のロッド》と相性の悪い《魔力の墓所》を抜き、《偉大なる統一者、アトラクサ》を減らす。
・シカリアンショップ
in
2《無のロッド》
2《活性の力》
1《Chains of Mephistopheles》
out
1《魔力の墓所》
1《精神的つまづき》
1《吸血の教示者》
2《狼狽の嵐》
ゲームプランとしては、メイン戦では《一つの指輪》を如何にカウンターするかが重要となる。しかしジュエルショップと違いコントロール要素が強いため、サイド後はデッキを歪めないようにする。
サイド後はアーティファクト対策として《活性の力》、《一つの指輪》対策として《無のロッド》を入れる。また《シカリアン・インフィルトレイター》などのドロー対策として《Chains of Mephistopheles》を入れる。
サイドアウトは《無のロッド》と相性の悪い《魔力の墓所》、アドバンテージを失う《吸血の教示者》、刺さり辛いカウンターである《狼狽の嵐》《精神的つまづき》を減らす。
正直このマッチはサイドプランがよくわからない。
・白単イニシアチブ
in
2《四肢切断》
1《霊魂奪取》
2《活性の力》
(後手)1《否定の力》
out
1《ギタクシア派の調査)
1《精神的つまづき》
1《時を越えた探索》
2《狼狽の嵐》
(後手)1《呪文貫き》
メイン戦はとにかく《ドルイドの誓い》の設置を目指し、サイド後は対策カードに強い《王冠泥棒、オーコ》を主軸に戦う。このマッチでは《実物提示教育》は一見強そうに見えるが《孤独》や追加のイニシアチブクリーチャーによるダンジョンの進行といった裏目があるため、注意する。
サイドインはクリーチャー除去に加え、《活性の力》を増やし相手のマナファクトを割ることで減速させる。
サイドアウトはライフ2点を失う《ギタクシア派の調査》、刺さるカードが少ない《精神的つまづき》《狼狽の嵐》、唱えるタイミングがなさそうな《時を越えた探索》を抜く。また後手番のときは《呪文貫き》と《否定の力》を入れ替える。
4.最後に
今回は久々にトップ8まで残ることができたが、肝心のルールス相手に1度もマッチが取れなかったのが悔やまれる。(そもそも2回ともドレッドノート型ってなんだよww)
また、こうして振り返るとSE1の第1ゲームはマリガンすべきだったかな、とかあのときのゲームプラン間違ってたな、とまだまだ勝ち上がるための課題が残っていることが実感できる。
あと、結構忘れがちですがオーコの大マイナスはもうちょっと警戒したほうがええよ。(オーコの忠誠値が高いときにルールス出されることがMOでそこそこあったため)
そして晴れる屋TCで調整に付き合ってくださった北野氏に圧倒的感謝・・・ッ!
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