Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【11月13日㈬~11月19日㈫】
先週の当通信の最後に予告させて頂いた年明けの配給作品の情報が、週明けネット上で解禁になりました。お察しの方も多かったと思いますが『オオカミの家』のレオン&コシーニャ監督の新作『ハイパーボリア人』です。2025年2月8日㈯からシアター・イメージフォーラム渋谷他で全国順次公開されます。
8月のひろしまアニメーションシーズン2024でのジャパンプレミア上映、ホアキン・コシーニャ監督の来日が決まった、というニュースが出たタイミングで、既に「ザジフィルムズ配給で来年公開」という情報は出ていたので、今回の公開決定のお知らせは大きなインパクトがあるワケではないのですが、それでもSNS界隈には「おぉ!」「待ってました!」と喜びの声が多数。今年5月のカンヌ国際映画祭 監督週間でのワールドプレミアから1年と間隔を置かずに公開出来る運びとなり、私たちも嬉しく思っています。
公開決定ニュースと共に、日本オリジナルのメインビジュアルもお披露目。今回のデザインも『オオカミの家』と同じグラフィックデザイナー 塚本陽さんが手がけて下さいました。『オオカミ~』は、おどろおどろしさ満載なビジュアルでしたが、今回は何と表現すれば良いのでしょう?禍々しさは残しつつも、全体的な雰囲気はエッジの効いた感じとでも申しましょうか?主演のアントーニア・ギーセンを中心に、劇中に登場するモチーフを散りばめてコラージュ。パペットとして本編中に登場する監督たち自身(未見の方にとっては「なんのこっちゃ?」ですよね)や、親ナチ文化人、政治家、妖怪、UFO等々…、予測不可能な展開を想起させる“闇鍋”感ある仕上がりです。
只今、予告編も制作中。今月末にはチラシもお目見え、前売り券の販売もスタートの予定(現在、前売り特典を何にするか詰めてる最中です)。来年2月の公開に向けて、盛り上げて行きますので、楽しみにしていて下さい!
さて。昨夜は久々のメンバーでの会食でした。きっかけは先月突然入ってきた“某企業が東京地裁の破産手続き開始の申し立てを行った“というニュース。実はその会社、私がザジを立ち上げる前、初めて映画の仕事に携わることになったビデオメーカーの、その親会社なのでした(この辺りの話は、ザジ30年の歴史を振り返る連載、Histoire De Zazie Films 連載① 出発 あるいは、若気の至りで配給会社設立。でもチラッと触れています)。時はレンタルビデオ草創期。当時、映画会社や映画情報誌への就職活動で玉砕続きだった私でしたが、ある日新聞の求人で、このビデオメーカーを見つけました。どんな作品をリリースしているのかな?と調べてみると、レンタルビデオ店向けの劇場未公開の外国映画が中心ですが、その中に「ゴダールの探偵」と「ゴダールのマリア」を発見。「ミニシアター系(という言葉が当時あったかは定かではないのですが)作品も扱ってるんだ!」と応募を決意して、無事面接に合格。この会社に潜り込めたおかげで、今の私がある、と言っても大げさではありません。
そのビデオメーカーは2000年代初頭に解散してしまっていますが、昨日ご一緒したのは、私の入社当時の先輩2人。ニュースを聞いて、私の直属の先輩だった営業チーフのHさん(現在は音楽出版社の部長)が「久しぶりに飲もう」とメールをくれたのでした。私は当初、Hさんの下についてレンタルビデオショップを周る新入り営業マン。名刺交換の作法すら知らず、自分の名刺を取引先の担当者に片手で突き出して、Hさんに叱られたのを昨日のことのように思い出します。「ホントは営業より、制作宣伝がやりたいんじゃないの?」と入社間もない頃、すぐさま見破ったのもHさんです。
その制作宣伝のチーフがTさん(現在は“Jホラーの父“と呼ばれる某映画監督)。「Tさんにも声かけましょう」とお誘いして、3人での飲み会となりました。Tさんとは、お会いする頻度は高くはないものの、SNSで繋がっているので、たまにやり取りをしていて、今もうちの配給作品を気に入ると自発的にご紹介して応援して下さったり、いつもお世話になっています。
会社を出る前、「そういえば在社当時作った作品カタログがあったな」と書棚を探したら、ありました!問屋さん向けの発注書でもある、リリースしてきた作品一覧のカタログ。皆で回し見して、昔話に花を咲かせて盛り上がりました。けど、各作品の紹介文を今読み返すとコンプライアンス的に「アウト!」な表現も多々見受けられたりして、表には出せないシロモノかもしれません…。おまけに、Tさんに「このスペルミスは、恥ずかしい!」と指摘された部分が以下。ヒョエ~ッ!
ちなみに、この機会にじっくりカタログに目を通したのですが、当時買い付けにも携わっていたTさんの慧眼でしょう、今ブルーレイで出せたら売れそうな作品が結構あったりします(私は買い付けには全く関わっていませんでした)。頑張って権利元を探してみようかな?
最後に。先週もお伝えした通り、今週末は22日㈮からBunkamuraル・シネマ渋谷宮下で『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』のアンコール上映、23日㈯からシアター・イメージフォーラム渋谷で、ジーナ・ローランズ追悼特集“In memory of Gena Rowlands イン・メモリー・オブ ジーナ・ローランズが始まります。お近くにお住いの皆様、どうぞこの機会にご覧ください!
texte de daisuke SHIMURA