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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【12月7日㈬~12月13日㈫】

気がつけば12月も半ば、仕事納めまで残すところ2週間となりました。例年なら忘年会シーズンのピークの時期ではありますが、引き続き今年も大人数での会食は憚られる気もしているので、私は少人数での集まりがいくつか入っている程度の静かな年末です。カレンダーを携えての年末のご挨拶まわりも始めてますが、始めたばかりなので、社内にまだカレンダーがうなっています。以前は仕事納めの週に岩波ホールさんや、某配給会社さんの大規模な忘年会があったので、そこにカレンダーを束で持ち込んで配り歩き、いっぺんに捌いていたものですが、もう岩波さんは無いし、某配給会社さんは今年もコロナで忘年会は自粛。ご挨拶まわり、もうちょっとペースを上げないと年内に全部配り終えるのが不可能になりそう。ヤバい!

さて。今週は新たなネタが1つ。日本時間の月曜夜、ゴールデングローブ賞のノミネートが発表されましたが、そのタイミングに合わせて、ザジがパブリシティのお手伝いをさせて頂く映画『逆転のトライアングル』の邦題決定、年明け2月23日からの公開決定が情報解禁。本作は、ミュージカル・コメディ部門の作品賞と、助演女優賞(ドリー・デ・レオン)の2部門にめでたくノミネートされました。今年5月の第75回カンヌ国際映画祭で最高賞であるところのパルムドールを受賞、公開が待たれていた話題作です。

今年のカンヌには行ってないので、私が本作を初めて観たのは宣伝で参加させて頂くことが決まった後の日本語字幕初号試写。2時間27分の長尺なのに、長く感じることなく、一気にラストまで前のめりで観てしまいました。同じリューべン・オストルンド監督の前々作『フレンチアルプスで起きたこと』(’14)も、『ザ・スクエア 思いやりの領域』(’17 こちらもパルムドール受賞作。2作連続は過去にビレ・アウグスト、ミヒャエル・ハネケだけ)も、観ていて気まずいイヤ~な気分に陥ったものですが、今回はそのイヤ~さ加減(笑)がさらにスケールアップ。こうなると、もう笑うしかない、という感じ。実際、カンヌでの上映はドッカンドッカン受けていたようです。これからマスコミ向け試写も始まります。どんな感想を持たれるか、皆さんの反応が楽しみ!

ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされたドリー・デ・レオン

今週は、来年4月のゴールデンウィーク時期に公開する自社配給作のほうも邦題を決めなければならないタイミングで、うんうんと頭をひねっている最中です。邦題は最大の難関。原題のままのカタカナ表記、もしくは直訳で行くのが安全策ではあるのですが、ウェブや雑誌に公開作の題名が並んだ時に、字面的に何の引っかかりもなく、サラリと流されてしまうのを避けるためには、「これは一体どんな映画なのかな?」と興味を引く“引っかかり”を作っておきたいところ。しかし洋邦合わせて年間数千もの映画が公開されているのですから、タイトルだけで立ち止まらせるのは、そう簡単なことではありません。

しかも作品の内容を想起させなければ、邦題の意味がありません。たとえば先にご紹介した『逆転のトライアングル』は配給のギャガさんのチームが産み出した邦題ですが、原題は「Triangle of Sadness」。直訳すれば「悲しみの三角形」となりましょうが、この原題自体はそういう意味ではなく、美容用語で“眉間のシワ”を意味する言葉なんだそうです。そこを『逆転の~』としたのは、映画の中盤、ある出来事によって登場人物たちの社会的立場が引っくり返ってしまうことをあらわしています。映画を観て頂ければ「なるほど!」と思って頂けるに違いありません。

何十、何百もの候補を出して、皆で熟考した末に決めたものが、情報解禁と同時に「ダサ邦題」「クソ邦題」とSNS等で叩かれてしまったら悲しくて死にたくなってしまう…。そんなことを心配するくらいなら、原題のまま行くほうが良いのでは?いや、原題のままじゃ埋もれてしまう…、そんな考えを行ったり来たりして、どこかでエイヤーッと覚悟を決める瞬間が訪れます。現在悩んでるその来年GWに公開する映画の邦題決定のリリースは、今のところ年末の予定。こんなことを書いてしまって、自らにプレッシャーをかける結果になっているような気がしますが、どうぞ温かい目で見守っていて頂ければ幸いです。

今回“ピエール・エテックス レトロスペクティブ”で上映する長編4作の本国ビジュアル

2月の『逆転のトライアングル』、4月の邦題思案中の配給作の前に、来週末12月24日にはいよいよ“ピエール・エテックス レトロスペクティブ”が始まります。「知る人ぞ知る」という前振りがつく監督なので、果たしてちゃんとお客様が来てくれるのか、胃が痛い日々を過ごしている今日この頃ですが、最後まで諦めず(笑)、「企画したことは正しいのだ!」と信じて宣伝頑張ります。12月18日の日曜日には、「エテックスとタチとクリスマスと」と題して、渋谷PARCOクワトロ・ラボにて公開記念イベントの開催も決定しました。DJに小柳帝さんをお迎えして、エテックスの映画音楽は言うまでもなく、師匠のジャック・タチや同時代のフランスのサントラ、また時期的にクリスマスの音楽なども交えながらお楽しみ頂くイベントです。ぜひ遊びに来てください!

texte de Daisuke SHIMURA


https://quattrolabo.com/news/










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