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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【9月3日㈬~9月10日㈫】

今週は、9月20日㈮の『本日公休』の初日に向けて、宣伝の追い込みウィーク。先週末7日㈯はFan's Voice主催のオンライン試写会が開催され、本編上映後は、フー・ティエンユー監督に登場して頂き、立田敦子さんを聞き役に作品について語って頂きました。

終了後から翌日にかけて、Xにはかつてないほどの(当社比)好意的な感想が溢れて、ご覧下さった皆様の満足度も高かかったご様子。嬉しい限りです。その中で印象に残ったポストは「タイパ、コスパにない価値観が見出せる、とても有意義な時間でした」というもの。本編の中で、主人公アールイさんが、娘から「いくら世話になったからって、店を閉めて常連さんの出張散髪に行くなんて」と言われるシーンがありますが、タイパ、コスパを重視する現代にあって、人と人との“つながり”を優先させるアールイさんの生き方に、感じ入る方が多いのだと思います。

週が明けた9日㈪は、“今よりもっと台湾が好きになるハウツーメディア“、〈How to Taiwan〉とのタイアップによる特別限定試写会が行われました。会場の渋谷 映画美学校試写室は、お仕事帰りの女性を中心に〈How to Taiwan〉読者の台湾好きが集まって満席。上映後に行われたHow to Taiwan編集部の小伶さんとROMYさんによるトークショーは、お2人の“台湾あるある“なお話や、映画の中の“小ネタ分析“に時折笑いも起こって、映画同様に終始温かいムードの中、進行。きっと皆さん、「あ~、また台湾行きたい!」というお気持ちがムクムクと湧いてきたに違いありません。小伶さんとROMYさん、ご来場下さった皆さん、どうもありがとうございました!

息の合ったトークを繰り広げて下さった小怜さんとROMYさんのお二人

その「あ~、また台湾行きたい!」は、実は私の心の声でもあります。最後に行ったのは、考えたら去年12月の台北マラソンの時なので、まだ1年も経っていないのですが、また行きたくなっているのでした。

コロナ禍が始まる前、景気が良かった頃(泣)のザジフィルムズでは、社員の福利厚生行事として、2年に1度の社員旅行が習わしでした。20年余りの間に台湾には3度出かけていて、1度目は2006年、2度目は『あの頃、君を追いかけた』が公開された翌年の暮れなので2014年、3度目は2018年(翌年の暮れからコロナ禍が始まったので、これが今のところ、ザジ最後の社員旅行ということになります)。初めての2006年は、今回の『本日公休』の提供会社であるところの竹書房の担当 O氏がたまたま台北に出張中だったので、ザジ一行の台北最後の夜はO氏も合流して台湾料理の円卓を囲み、楽しいひとときを過ごしたのを思い出します。

が、話はそれだけでは終わりません。翌日帰国したザジチームの中の私を含む3人がその週末次々と上から下から大騒ぎの体調不良に襲われていたのが、休み明けに発覚。原因を探ると、どうやら犯人は最後の晩餐の席で出た“しじみの紹興酒漬け“。そう、ノロウィルスにやられてしまったのでした。ノロの潜伏期間は48時間あまりと言われているので、私たちは帰国後の発症だったのですが、気の毒だったのはO氏。しじみ摂取から、なか一日を置いての帰国だったので、帰国便の機内で地獄の苦しみだった…と後に述懐していました。

しかしなぜ8名の会食で同じテーブルを囲んでいたのに、3名しか発症しなかったのでしょうか?その答えは、食べたしじみの数にありました。元々貝類が不得意だったメンバーは、実は食べているフリをして一つも摂取せず。特に好きでも嫌いでもなかったメンバーも、1つ2つつまんだだけだったので難を逃れたようです。発症した3人は元々酒好きなので、おつまみ代わりにしじみを際限なく食べていたのでした。そこそこ高級なお店だったのに、こればかりは運が悪かった、としか言いようがありません。

台湾で食べた料理の数々。じゅるじゅる…。

ちょっと間が空くと台湾に行きたくなる私ではありますが、あれ以来しじみの紹興酒漬けは食べられなくなりました…という、オチでも何でもない〆で台湾の話題はひとまず終わり…にしようと思いましたが、無理矢理『本日公休』に話を戻して結ぶとしたら、あの時ノロで共に苦しんだ提供会社のO氏とはザジを立ち上げる前からのお付き合いなので、もう38年来の仲。主人公アールイさんと同じように、人と人との“つながり”を大切にしてきたおかげで今回の配給が実現しているのだなぁ、と自画自賛な感慨にふける、公開1週間前なのでした。ホント、無理矢理の結びです(笑)。

さて。ヴェネチア国際映画祭は7日に終了。最高賞の金獅子賞は、下馬評通りペドロ・アルモドバル監督が、ティルダ・スウィントン、ジュリアン・ムーア共演で“尊厳死”について描く『The Room Next Door』に贈られました。意外にもアルモドバル作品が、3大映画祭で最高賞を受賞するのは初めてなんだそうです(調べてみたら『オール・アバウト・マイ・マザー』もカンヌでは監督賞のみだったのでした)。この作品はワーナーブラザース配給なのかな。来年普通に劇場で観られると良いですね。

銀獅子賞、審査員大賞はイタリアのマウラ・デルペロ監督『Vermiglio』、同じく銀獅子賞の最優秀監督賞は、日本でも『シークレット・オブ・モンスター』が公開されているブラディ・コーベット監督『The Brutalist』に贈られました。女優賞は『Babygirl』のニコール・キッドマン、男優賞は『Jouer avec le feu』のヴァンサン・ランドン。既に日本の配給が決まっている作品もあるかもしれませんし、ヴェネチア、トロントで交渉が進行中の作品もあるかもしれません。いずれにしてもこの辺りの作品が日本で観られるようになるのは、来年半ば以降でしょうか。楽しみに待つとしましょう!

texte de daisuke SHIMURA




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