Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【9月29日㈬~10月5日㈫】
作家性、芸術性、創造性の高い映像作品を世界中から集めて上映する映像アートの祭典、イメージフォーラム・フェスティバルも数えること35回目。その中の企画のひとつとして、カール・テオドア・ドライヤー監督の『裁かるゝジャンヌ』が、石橋英子さん、ジム・オルークさんのライブ演奏付で、10月1日に上映されました。会場となった青山スパイラルホールには、台風16号の影響で激しい雨が降る中、多くのお客様がご来場くださいました。
…って、ザジフィルムズがその上映にどう関係しているの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実はこの秋、新たに劇場上映権を取得したばかりです。次なる特集上映企画はカール・テオドア・ドライヤー監督作品セレクション。間もなく情報解禁です。詳細、続報をお待ち下さい。
それにしても、この一夜限りのライブ演奏付上映。語彙力がなくて申し訳ないのですが、「凄かった!」の一言に尽きます。私の席からはそのお姿は全く見えませんでしたが、石橋さんとジム・オルークさん、お二人はスクリーン前の暗がりの中で、サイレントの映像に合わせ、時に楽器を持ち、時にシンセサイザー(というのでしょうか?)を操り、生で演奏を付けてくださいました。そのすさまじい緊張感、臨場感と言ったら!他の観客の皆さんの多くも同じだったらしく、上映後はSNSに続々と熱い反響が寄せらました。嬉しさのあまり、特集上映開催決定の情報解禁前にもかかわらず、ザジ公式ツイッターで、その中のいくつかリツイートさせて頂いてしまいました。サイレント映画上映の可能性を大いに感じさせる一夜でした。企画してくださったイメージフォーラム・フェスティバルさんに、この場を借りて感謝申し上げます!
そして10月3日にはyoutube ライブで、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の授賞式が生中継されました。審査員として参加させて頂いた国際コンペティション部門の受賞結果は、最優秀作品賞がマルタから初出品された『ルッツ』、監督賞がドイツ=ウクライナ合作による『ライバル』、審査員特別賞はオランダ=ドイツ=デンマーク合作『ミトラ』とカナダの『シネマ・オブ・スリープ』が同時受賞。観客賞はオンライン投票の結果、ドイツの『国境を越えてキスして!』に決まりました。
授賞式では、各賞の結果発表毎に、竹中直人審査員長を始めとする4名が各賞一作ずつ分担して、講評するコメント動画が流れました。事前に各自で撮って事務局に送ったものなのですが、これが予想以上に大変でした。会社内で誰かに撮ってもらおうと思ったんですが、社員を前にして真面目な顔をして、それらしく映画について講評する、なんて、良く考えたら恥ずかしくて出来るワケがありません。なので、家に帰ってiPhoneを固定して自ら撮影。事務局からは「2分ぐらいで」とお願いされていたのですが、何度やっても1分半がいいところ。声は上ずってるし、カンペ見まくりで無駄な動きも多い。しかも、もっともらしいことを言っているようで、実は全然たいしたことを言っていない…。授賞式の中継を見ると、竹中さんは俳優なので当然ですが、他の皆さんもこうしたお仕事には慣れているので、私のように素人くさい人はどなたもいらっしゃいませんでした。たった2分のコメントを撮るのに(実際は1分40秒でした)、2時間近くかかってしまいました。前もってTikTokでもやってカメラ慣れしておくべきだった…。
そんな自意識過剰な私のことは置いといて(笑)、前もってオンラインで行われた審査会がいったいどんな雰囲気だったのか、ちょっとだけ書いてしまいましょう。映画祭の審査というものは「意見が分かれて紛糾して、何時間もかかった」とか「険悪な雰囲気になり…」みたいな話を聞いたことがあるので、緊張して臨んだのですが、それは杞憂でした。竹中直人さんは作り手側の方なので基本ネガティブな意見を言うことなく、全ての作品に対して良いところを見出そうとする姿勢だし、マギーさん、船戸さんは、常々世界の映画祭でいろいろなタイプの作品をご覧になっているので、クリティカルで的確。私は、というと、とりあえず否定から入り、“好き嫌い”で語る、という、あまり感心しないタイプ…。だったのですが、進行役の方のおかげもあって、終始和気あいあいと意見が交わされて、4名の意見が自然とまとまりました。
初めての審査員。とても良い経験になりました。こんな機会をくださった映画祭事務局の方々にあらためて御礼申し上げます!
texte de daisuke SHIMURA