Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【12月13日㈬~12月19日㈫】
今週は告知から。シネスイッチ銀座の正面左手にこの秋オープンしたギャラリーアートハウスにて、本日12月20日から26日まで、イラストレーターのはまぐり涼子さんによる“シネスイッチ映画イラストコラム展”が開催されています。シネスイッチに映画を観に行ったことがある方は、目にしたことがあるかと思いますが、はまぐりさんは2014年4月公開の『世界の果ての通学路』から、その時々上映されている映画の一場面や登場人物をイラストにし、映画を観たご自身の感想を添えて一つの作品にして、劇場内に展示していてます。その数や、この9年の間に195本を超えているそうで、今回はその中から、可能な限りの数の作品を展示。昨日、年末のご挨拶に伺った際に準備中のギャラリーを見せて頂きましたが、見応え、読み応えたっぷりの展示になっていました。うちが配給した作品では『人生はマラソンだ!』を見つけました。他の作品もあるかな?お近くにいらっしゃるご予定がおありの方は、ぜひ覗いてみてください!
さて。今週はまたまたマラソン絡みのネタで申し訳ないのですが、2023年のレース納め、土日月の2泊3日で台北マラソンに参加するため台湾に遠征したお話です。コロナ前、まだ景気の良かった(笑)2018年に社員旅行で出かけて走ったのが初めての参加で、翌2019年は単身参加、コロナ明けの今回が3度目の出走です。ハーフは18,000人、フルは9,000人、合計27,000人が走るマンモス大会。スタート前、ウォーミングアップしている体を絞ったマジ走り系のランナーもたくさんいて、全体的に参加者のレベルが高い印象でビビります。私は真ん中辺りからのスタートだったのですが、大げさではなく最初の2,3キロで数千人のランナーに追い抜かれました。私の目標は“完走”なのでマイペース。途中、街中で道路標識に“牯嶺街”の文字を見つけて、「おぉ!ここを右に行けば牯嶺街なのか!クーリンチェって読めちゃうもんね!」などと景色を楽しみながら走りました(ちなみにネットの情報によると『牯嶺街少年殺人事件』は牯嶺街では撮影されてないそうですが)。
沿道の「加油!」(頑張れ!)の声援に自然とテンションも上がりますが、後半はいつものように足も体も重くなって思いっ切り失速。最後の数キロはトボトボ走り。やっとのことで完走したのでありました。
ゴール後はホテルに戻ってシャワーを浴びた後、今回同行した友人たち(私以外はマラソン走らず。レース中は沿道で応援してくれるでもなくマッサージに行ってたそうです。別にいいけど。笑)に付き合って九份観光に出かけました。足は痛いけどレース後は体を動かしていたほうが筋肉が固まらないので、翌日以降の筋肉痛が少なくて済むので頑張りました。
日本人にもこれだけの人気観光地になったのは『千と千尋の神隠し』の影響もあるようですが、元々はホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督の1989年の映画『悲情城市』の舞台となったのがきっかけ、と言われています。なので“悲情城市”とか“戯夢人生“なんて店名のお茶屋さんがあったりします。急な石段の途中には、昇平戯院という名の、映画の上映や台湾オペラなどの上演を行っていた劇場があります。ここは台湾北部最古の劇場で、鉱山のゴールドラッシュに沸いた60年代までは多くの観客で賑わっていたそうです。86年に閉鎖された後、2011年に復元されて観光スポットとなり、映画の上映も不定期で行われていましたが、現在は改修工事中のようでご覧の通りの状態でした(前回訪れた際は、レトロな場内も見れたのですが…)。いつかここでホウ・シャオシェン監督の映画が観てみたいです。
帰国日の月曜午前中は、空港に向かうまで時間があったので、西門町にある中山堂という名の公会堂を見学に行ってきました。「ん?この建物、見たことある気がする…」と思われた方は…いないか。実はこちら、うちで2020年に配給したツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督作品『あなたの顔』の撮影が行われた場所。日本統治時代に日本人建築家 井手薫という人の設計で建てられて、日本が敗戦とともに台湾から撤退する際、降伏調印式が行われたことでも有名です(『あなたの顔』宣伝時に得た知識)。2010年代半ばには、長い廊下を利用して、ツァイ・ミンリャンがプロデュースしたカフェがあったのですが、2015年末に閉店してしまいました。当時知ってたらここでコーヒー飲んだのに残念。
短い滞在ながら、どうしても映画に関わる場所に吸い寄せられていきがち。“映画好きの旅行者あるある”でしょうか。未見の台湾映画も多いので、来年はコツコツ旧作を観ていこうかな、と思った台湾の旅でありました。実は来年秋には、台湾映画を配給することになっています。どんな映画かは、下にヒント画像を貼っておきますね(この画像は、九份の路地でたまたま見つけた店で、映画とは直接何の関係もありませんが)。
texte de daisuke SHIMURA