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メガネ朝帰り(毎週ショートショートnote参加)1

顔は知ってるけどたいして親しくなかった同級生と偶然会うのは気まずい。それが地元の駅へ向かう始発電車の中ならば尚更。

"メガネ"は中学の同級生で一度だけ同じクラスになった。クラスの三分の一はメガネだったのに、何故か"メガネ"だけがメガネと呼ばれていて、それを誰もが当たり前に受け入れていた。当の本人でさえ。

話したのは数えるほど。委員会とかそんな用事で。でも"メガネ"の右手の甲に二つならんだホクロが、手を動かす度に何かのキャラの目の様に動くのをよく見ていた。

斜め前に座る"メガネ"は、夜の名残を引きずった気だるい雰囲気でぼーっと車窓を見ていて、こっちには気づいていない。

改札を出て明るくなり始めた地元の街をダラダラ歩く。自転車に乗った"メガネ"が追い越し際に右手をヒラっと揺らし、あの目がきゅっと動くのが見えた気がした。
けど、きっと気のせいだろう。

明るく染めた髪に緩いパーマをかけた"メガネ"は、もうメガネをかけていなかった。

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