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ラストオブアスPart2クリア後レビュー

今回のお話

最近ゲームしていますか?
ゲームとは「擬似体験」であると思っています。

そして壮大なメタファーであると。

音楽や絵画、そして映画は他者のレンズを通した「共感」と「内省」を映し出す鏡であります。

一方でゲームはそこに「体験」を組み込んでいます。
手触りのある共感とも言えるでしょう。

今回は、最近クリアしたラストオブアスPart2について語っていきます。

復讐の果てに残るものとは

心をえぐられる凄まじい経験を経て、エリーは復讐のために再び旅たつ。その行いがもたらす恐るべき連鎖に心と身体を揺さぶられながら
※パッケージコピー

まあ激重なストーリーです。こってりの天下一品があっさりすぎて薄いなと感じるレベルの重いストーリーです。
2013年の6月にPS3にて発売された前作からちょうど7年の歳月を経て発売された本作。

クラッシュバンディクーやアンチャーテッドシリーズなどでおなじみのノーティドッグがお送りする本作は、アンチャーテッドで培った技術の集大成とも言えます。

アンチャーテッドが万人向けの痛快アクション活劇だとすると、こちらは人を選ぶハードコアな一作です。

どちらも「体験する映画」であり、プレイヤーは操作することでキャラクターの心情や行動の意図を体験し共感していくわけです。

前作から物語は5年の歳月を経てすっかり成長したエリーと一層渋みをましたジョエルは、5年前の経験から少し距離を置くようになっています。そうであっても血の繋がりのない「親子」関係は続き、ゲームとしてはあまり語られることのなかった子供の視点からのストーリー展開です。

今作は、評価が大きく割れているようです。その理由としては、大きくは以下です。

・アビー(エリーの宿敵)を操作するということ

他にも様々な点があるかと思いますが、大きくはこれだと思っています。
個人的にはアビー編は楽しめました。復讐の連鎖の想像だにしない「罪と罰」の感情は、一方的なものではなく双方向に追体験することでそのおぞましい部分を「体験」できるからです。

単純に操作的には各キャラの特性に応じた武器やスキルの差異があり、それぞれの得意とした戦法や戦術で感染者(=いわゆるゾンビ)や人と戦えるため攻めたりステルスしたりと味を変えて楽しめるのも一つの楽しみ方です。

本作を凄いと感じるところは、挑戦しているところです。
その挑戦とは、ほとんどのプレイヤーが感情移入しているキャラが怒りで震え夜も眠れず、思い出したくもない光景がまぶたの裏にビッシリこびりつくほど憎んでいるキャラを操作するということです。

本当によくできているゲームの特徴の一つに「ボタンに感情が乗る」ことがあると思っています。

例を出すと、メタルギアソリッド3です。物語終盤で主人公があるキャラに対して引き金を引くシーンがあるのですが、それはムービーではなくプレイヤーが引き金を引かねばならないのです。

たった一度ボタンを押すだけなのですが、その「行動の責任」や重みを感じさせられるものになっていてこれまで体験したことのない感情が出てきたのを今でも鮮明に覚えています。

それとはベクトルや重さが異なるものの本作でも「行動の責任」を感じさせるボタンを押すシーンがいくつかあり、「手触り」のあるものになっています。

元々のテーマ設定がとてつもなく重いため、そのボタンにのし掛かる「手触り」はひどくべったりとしたもので後味の悪さが尾を引くものです。

と、ここまで書いていてものすごくやりづらいゲームのように感じますが、技術の集大成とも言えるべきアクションの完成度の高さや今ではおなじみですが、モーションキャプチャーによる「生身」の演技がムービーにのりキャラクターに真に「生命」が吹き込まれているように感じます。

つまり、没入感が圧倒的に高く、クリア後の余韻はいい意味でべっとりしたものとなっているのです。

彼女たちが取った行動の帰結の解釈やその裏にある意図やメタファーはプレイヤー各々が心の中で整理していくことかと思うので多くは述べませんが、あのラストがああなるべきではないと思うのであれば、人々の心の中に潜む「闇」の大きさや根が深いものだと感じます。

いずれにせよ2020年も半年が過ぎ、下半期もまだまだ気になる作品やPS5など注目作は多いですが、今年の三本指には入るくらいの大作であると個人的には感じました。

最後に

自分自身は最高難易度のサバイバーモードを体験し、約20時間程度でクリアしました。緊張感や切迫度をより感じたい方は最高難易度でプレイされることをオススメします。

今世の中生きていて2wayな意思決定ばかりだと思っています。2wayというのは、やり直しの利く選択という意味です。

しかし、この作品の中では常に1wayな選択肢ばかりでどれを取っても茨の道といえるべきものであり、もし自分自身がその場にいたとしたら果たしてどういう選択をしているのでしょうか。

そんな世界や環境で生きていたくはないなと強く感じました。
それでは、また。


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