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【※ネタバレ有り注意※】映画「シン・ウルトラマン」感想について

「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」

映画「シン・ウルトラマン」

私が物心つくころには、その銀色の巨人の人形が傍にありました。

ジリジリと肌が茶色に焼ける太陽が、とても大きく
小さい私の体を焦がした夏休み。
プールから帰ってくると、その銀色の巨人の人形の物語が再放送として放送されていました。

銀色の巨人と怪獣の戦い。
小さな私は、プールからの帰りに見る
その30分の番組にとても夢中になりました。

その番組は「ウルトラマン」という番組でした。


映画「シン・ウルトラマン」予告編

タイトルにも書いているように『バンバン、ネタバレしていきます』
ネタバレせずに映画を楽しみたいという人、ここでこのnoteを見るのを止めてくださいねストーリーもガンガン書いて私なりに思ったこと、感じたことを書いていきます。

はい、では感想から、めちゃくちゃ面白かったです!!!(終わり)

予告編をみて、ウルトラマンが出てきて
ネロンガ、ガボラ、ザラブ星人メフィラス星人
が出てくるのはわかるんです。
予告編に出てくるので

ここで、この映画の楽しみ方ってまず大きく分けて2つあると思っています。

1つ目はウルトラマンをある程度、知っていること。
これらの星人のオリジナル版の
「ウルトラマン」のエピソードを薄っすらでも覚えていて、
「シン・ウルトラマン」でそのオマージュが出てきた時に、ああ、庵野秀明さんはこういう解釈で脚本と企画を作ったんだなと考えながら
この作品を楽しみながら見るタイプの楽しみ方
です。

この映画は、良くも悪くも「シン・ゴジラ」と比較されるとは思います

「シン・ゴジラ」は『ゴジラ』という巨大生物がもし日本に現われたら
という明確な「if」があり、その今の日本での自衛隊や政治などのテーマを盛り込んだ傑作な非常に面白い映画になっていると思います。

しかし「シン・ウルトラマン」は違います。
少なくとも「ウルトラマン」というオリジナルコンテンツがあり、
その番組は視聴率30%を超えて放送が続いた伝説的な特撮番組
ウルトラマンのオリジナル版のエピソードは全39話あります。

アニメで放送されていたエヴァンゲリオンを映画「シン・エヴァンゲリオン」としてスクラップアンドビルドをして再構成したように、何のテーマの話をどのように解釈して、どの程度オリジナル版の型を残して
そして「私はこう考えました」と
新しい「シン・ウルトラマン」としての絵を見せていくのは庵野秀明さんの脚本と企画によるものです。

2つ目は、オリジナル版からの考察とか、もう面倒くさいことはどうでも良い。
ウルトラマンの詳しいエピソードも知らないけど、面白そうだから映画を見てみた

という楽しみ方です。
5月13日(金)の公開日初日に仕事終わりのレイトショーで私は見たわけですが
職場で働く20代~30代前半のみなさんに
オリジナル版「ウルトラマン」って見たことある?
って聴いてみたんですね。

ほとんど全員が『見たこと無い』
と答えていました。

これが現実。世代的にはきっとそうなんだと思います。
その世代のオリジナル版「ウルトラマン」を見たことが無い人

このターゲットにも映画として楽しんでもらう作りでなきゃいけない。

1つ目の「コア・ウルトラマン」ターゲット層
2つ目の「ライト・ウルトラマン」ターゲット層

この映画が私は面白いし庵野秀明さんの脚本と企画が素晴らしいと思うのは
どちらも置いてけぼりになっていないんです。
とちらの視聴者にも楽しめる作り。

なので、ほとんど大多数の「ライト・ウルトラマン」ターゲット層
「ウルトラマン」は知っているけど、エピソードは知らないという人も楽しめます。大丈夫です。

ここから『モロ・ネタバレ』に入っていくので、
ネタバレせずに映画を楽しみたいという人、ここでこのnoteを見るのを止めてくださいね(2回目)

※※※ここから作品のネタバレがあります。ご注意ください※※※


もうさすがにいいでしょ。これだけ書けばネタバレしても。

では、核心部分の映画の感想や大まかなストーリーを書いていきますね。

この映画「シン・ウルトラマン」は大きく分けて4部構成になっていると思いました。
極論は2部構成なのですが、どうしてそう思ったのか書いていきます。

4部構成ということで「起承転結」論法で「ウルトラマン」とは何かを説明している映画なんですね。

まず最初に『起』


物語のはじまりです。
映画が始まると「シン・ゴジラ」に出てくる「ゴジラ」を連想させる怪獣の目や姿などから始まります。
そして「ウルトラマン」オリジナル版を連想させるオープニングタイトル

「シン・ゴジラ」というタイトルが破られて「シン・ウルトラマン」というタイトルテロップの表示
もうここで、「ウルトラマン」オリジナル版のファンの私はかなりグッときました。超面白い

そして「シン・ゴジラ」×「シン・エヴァンゲリオン」のような
突如「怪獣」が日本に登場するようになって自衛隊などが出動してどう怪獣を倒していったかが、ババババと説明されていきます。

なんで「怪獣」が登場するのかなんて誰にもわかりません。
もうそういう世界観なのです。
「シン・エヴァンゲリオン」なら「使徒」
「シン・ゴジラ」なら「ゴジラ」
何故に登場して、何が目的で彼らは破壊するのかは説明無しにその世界にある日本が描かれていきます。

そして、その世界観の日本にオリジナル版の「ウルトラマン」では「科学特捜隊(科特隊)」でしたが、この「シン・ウルトラマン」では「禍特対」として各省庁などから専門者が選抜された特別チームが組織されたことを映画で提示されます。

ざっと3分ぐらいです。凄いスピード感での説明です。
まさに『起』

もうこの映画の世界は「そういうことで、その世界観で映画を進めていくから」というテーマをわずか3分ぐらいで視聴者に提示していくわけです。

次に『承』


この章ではまさに『承』としか例えようの無い世界観のテーマです。

その突如「怪獣」が現れた世界の日本に電気を食べる怪獣「ネロンガ」がやってきます。最初は透明で電気を食べることで本体が姿を現すのはオリジナル版の第3話に出てきた「ネロンガ」と同じです。

また「何故透明なんだろう」などと分析するシーンもあるのですが
これもオリジナル版の中で似たようなシーンがあり、ここまでのシーンで
庵野秀明さんがオリジナル版のエピソードを大切にして、その中で新たな価値を作っていくという見せ方で映画を楽しませていきますよ。という姿勢が見えてとても面白いです

すでに先に書いた『起』によるこの独特の世界観にスピード的にグッと引き込まれて
この『承』です。まだ「ウルトラマン」は登場しないけど、どうなるんだろうというワクワク感に支配されます

そして「ネロンガ」はオリジナル版同様に発電所でたっぷりと電気を食べてその姿を現します。姿が視認できるようになった怪獣へ自衛隊が攻撃をしかけますが・・・・。
電気を十分に食べた「ネロンガ」が攻撃ミサイルを全て撃墜(強い!!)

今までの怪獣は人類の力でやっつけてこれたのに・・・。人類ピンチ!
さぁどうする。このまま人類はこの「ネロンガ」に、なすすべ無しなのか!?

そして、逃げ遅れた子供を発見。「禍特対」の隊員で今作の主人公的な役割である、神永新二隊員が救助に向かいます(フラグだ!)

そして、しばらくした後に空から、謎の銀色の巨人が降ってきます。
謎の銀色の巨人は、人類が歯が立たなかった「ネロンガ」に対して
あっという間に手から光線を放ち、怪獣を粉々に粉砕します

私達、視聴者は驚きます。
この「謎の銀色の巨人」は「ウルトラマン」だということはわかるのですが
「全身が銀色(赤い線が無い、何故。※なぜかは後に推測できます)」

政府は「謎の銀色の巨人」が何者なのか
人類にとって味方か敵かそれとも・・・を詳しく分析することにします。

「禍特対」の分析官として浅見弘子隊員が新たに神永新二隊員のバディとして加わることになりました

挨拶をする浅見弘子隊員に対して神永新二隊員は、明後日の反応。
自分が何者なのかも良くわかっていないような対応です。

そして「ネロンガ」に続き、「ガボラ」が登場
この「ガボラ」が強いんです
ウルトラマンのオリジナル版、第9話では、弱すぎてウルトラマンに特徴的なエリをもぎ取られて無残にやっつけられていたイメージしかありません。

しかしこの弱いしか印象の無い「ガボラ」は「ウラン」が大好き
「シン・ウルトラマン」でもその設定は生きていて「放射性物質」を求める怪獣という設定になっていました。

オリジナルではあんなに弱かった「ガボラ」ですが自衛隊の特殊爆弾の攻撃にビクともしません。(コイツは強い。確信)

人類、絶対絶命の大ピンチ(はやくも2回目)
主人公的な役割である、神永新二隊員がチームをコッソリと離れてウルトラマンへ変身するのでした。

「ガボラ」の「放射性物質」を求める怪獣の設定が、とても秀逸。
「ネロンガ」はスペシウム光線で粉々に破壊されたが
「ガボラ」は自ら「放射性」がある怪獣なので粉々に破壊された場合、空中に「放射性物質」が拡散してしまいます「ウルトラマン」に知性はあるのか、地球を守る戦いができるのか

そして現れた「ウルトラマン」の姿は・・・・。

もう相当にだらだらとストーリーを書いちゃいましたけど、このあたりは劇場でお楽しみください。

「ガボラ」はオリジナル版同様にエリをもぎ取られて無残に負けてしまうのか・・・。

次に『転』


ここまで2体の怪獣、「ネロンガ」と「ガボラ」が登場しましたが
それらは『地球に突如現れた怪獣』を「ウルトラマン」がやっつける!
というウルトラマン特有のお話でありました。

ここで『転』です
オリジナルの「ウルトラマン」が未だに熱狂的な人気を誇るのは
ウルトラマンシリーズを支えた伝説の脚本家『金城哲夫』さんをはじめとする方々による重厚な素晴らしい脚本
によります。
『金城哲夫』さんの脚本は、まさに哲学で「ウルトラマン」という子供たちの人気番組のコンテンツを通じて「人とは何か、生きるとは何か、正しいとは何か」などの
問いかけを作品を通じて教えてくれるストーリーが多いです。

「ウルトラマン」やその他のウルトラシリーズの中でも、子供たちにテーマを投げかけるという話はとても多く、今作「シン・ウルトラマン」でも脚本を作った庵野秀明さんが、その流れを丁寧になぞり表現していくことによって、このオリジナルの「ウルトラマン」にある哲学的な世界観を表現していていると私は感じました

オリジナルの「ウルトラマン」では地球にやってくる人型の異星人という形で脚本家『金城哲夫』さんはそれを表現しました。

ザラブ星人メフィラス星人です。

物語では、『人の弱さ、ずる賢さ、無責任さ』などを異星人を通じて
見事に表現しています

セリフの1つ1つが私はどうだろうとして
本当に考えさせられます

私が見たレイトショーでも、映画を見終わった後の退館時に観客の方が友人に対して「なんで●●●な演出なんだろう」というシーンを話していました。エピソードを知らないとそんな疑問も出てくるのかもしれませんが、
それは『オリジナル版の踏襲』です。

「シン・ゴジラ」にもあったような『怪獣VS人類』の戦い
この『転』に入ると文字の通り、全く違った展開を見せ始めます。

頭脳・高い科学力で地球を手に入れようとする異星人たち。

オリジナルの「ウルトラマン」では
ザラブ星人は第18話に初回に登場します。
メフィラス星人は第33話です。

ストーリーの根幹はそのままに、現代にこれらの星人が現れて人類と交渉することになったらの「if」の世界。

それは「シン・ゴジラ」でも描かれたような「政治・駆け引き」なども盛り込んだ内容となっています。

私達人類は、宇宙の中でどういう存在なのか。地球にとってどういう存在なのか

これこそが、まさにこの映画の軸といえる部分であり、
『私達は何者であるのか』というテーマが、ウルトラマンは『何者であるのか』という理解に繋がっていきます

120分の非常に短い限られた時間の中で、まさに「ウルトラマン」の魅力で映画を楽しみながら、考えさせられる哲学・テーマは見事であります。

最後に『結』

ウルトラマンの最後の有名すぎるシーンと有名すぎる怪獣の登場です。
そうです!「ゼットン」

これも映画の重要根幹でめちゃくちゃシークレットな内容ですが・・・・・
オリジナル版は「ゼットン星人」という宇宙人が「宇宙恐竜ゼットン」を連れてきたのに対して・・・・・なんと「シン・ウルトラマン」では光の国から「ゾフィー」が「宇宙恐竜ゼットン」を連れてきてしまうのです・・・。衝撃展開・・・!!!!

「宇宙恐竜ゼットン」はその強さ以外にも、もはやサジェスト検索にも出てくるネタ的な設定があり「1兆度の火球を吐くことができる」という最強設定です。

ちなみに地球に暖かい気温を届けてくれる太陽の表面温度は6000度から7000度太陽の中心部分で常に核融合反応をしているコア部分で1500万度から1600万度ぐらいが推定されております。

億を超える兆って・・・地球上で放つ瞬間に銀河惑星のほとんどが消滅してしまうのでは・・・。なんて空想科学的な面白さで考察されたりしている内容だったのですが、庵野秀明さんの脚本は、まさにここを逆手にとる演出でした。

最強の宇宙恐竜ゼットンは地球を見下ろす宇宙空間にて、
地球が一瞬でなくなってしまうその火球を放つ一撃を準備をしています。

人類は、ウルトラマンはゼットンに勝てるのか。

オリジナル版「ウルトラマン」を踏襲するような独自解釈の展開と「ヤシマ作戦」のような演出。

そしてラストの名シーンの再現。
名セリフ。「ゾフィー」は「ウルトラマン」に言いました。

「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」

これでもかというオリジナル版「ウルトラマン」の魅力を見事に120分に詰めきり映画は完結していきます

ウルトラマンのワクワク感は、そのままに
私達は何者であるのかという深いテーマ

更に踏み込むと、私達が自分達のことを『何者であるか』を理解せずに
正体不明の他者のことをどうして理解できるのか

という内容とも解釈できます。

これは私がオリジナル版「ウルトラマン」の哲学的な部分
「人は何故生きるのか」が大好きなので見終わった感想で
純粋なエンタメ作品としては面白さの工夫が髄所にある作品です。

出演している●●な役者さんが好き。
ということでも、もちろん楽しめる作品です。

(※私は役者、岩松了さんが好きなので活躍や魅力が伝わるシーンが随所に多く、それだけで良い作品と感じました)

初日の興行成績は「シン・ゴジラ」を超えるスタートになったみたいですね。ここまで読んでくださって、ネタバレ読んじゃったけど、
この作品が見てみたくなったわという嬉しい感想な人は是非とも劇場まで

脚本、総監修「庵野秀明」さんの世界観での「シン・ウルトラマン」楽しみましょう!
また、この映画をみてオリジナル版「ウルトラマン」に興味を持ってくださっている方。是非ともオリジナル版「ウルトラマン」もオススメです!!!
このnoteに怪獣が登場するエピソードの話数書いてありますよね。
見比べて、楽しんでみてください。そんな楽しみ方も面白いと思います
このnoteが誰かの気づきや楽しみの1つになれれば幸いです!!
それでは(空を見上げる)シュワッチ!!!

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石澤大輔
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