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#123 日本の航空業界における新たな可能性


1.日本の航空業界における新たな可能性

今回は新潟県燕市にあるATRヤマトという会社を訪れた際に感じたことについてお話しします。ATRヤマトはライトスポーツプレーン(LSA)を製造しています。LSAは日本ではまだ制度化されていないカテゴリの飛行機で、アメリカでは既に正式にレギュレーション化されています。LSAの最大の特徴は、免許取得が比較的簡単であることです。例えば、20時間の講習を受けるだけで誰でも操縦できるようになります。

LSAの導入が進めば、航空機操縦士の予備軍が増え、パイロット不足の解決策となり得ます。さらに、型式証明(TC)が不要なため、設計や機能追加において高い自由度があります。これにより、例えば複合材を使った機体やハイブリッドモーターを搭載した機体など、革新的なテストが容易に行えます。この柔軟性は、航空業界の総合力を向上させる上で非常に有益です。アメリカやヨーロッパ、ブラジルなどでは、この種の航空機が普及していますが、日本はまだ遅れています。ATRヤマトは、シンプルでコスト効率の良い機体を開発中で、目標は約8万ドルで市場に出すことです。この価格なら多くの人が手が届く範囲であり、幅広い層に飛行機を提供できる可能性があります。日本の国土交通省によると、アメリカやヨーロッパで製造されたLSAを日本に輸入した場合、特定の小さな滑走路以外では離着陸できず、実験機扱いとなるため、正式な飛行機としては認められていない状況です。これは非常に残念なことです。LSAの導入が進めば、新しい産業が創出される可能性があります。私は日本の政治家たちにこの事実を訴えて、早く日本でもLSAの認可が進むよう努めたいと考えています。

日本はテロ対策などの厳しい規制が原因でなく、単に行政の不作為が原因で遅れています。行政は仕事が増えることを嫌がり、保守的な対応をとっていますが、政治的な動きがあればすぐに認可されると考えています。アメリカではすでに制度化されているため、日本用に翻訳してアレンジするだけで導入可能です。私はLSAカテゴリーに関わる会社に出資し、NSAカテゴリーとして新しい航空産業の裾野を広げることに興味があります。日本の企業にとっては非常に得意な分野であり、規制緩和を進めることで新たな機会を生み出すことができると信じています。私は引き続きこの課題に取り組んでいくつもりです。

2.日本の高い鉄道技術とその未来

先日、浜松と豊橋を訪れました。今回の訪問の目的は、JR東海の新幹線整備工場と車両工場の見学です。朝一番に浜松工場を訪れ、東海道新幹線の整備を行う施設を見学しました。今回はここで私が感じたことをお話します。

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