映画を観たよ#『エリザベート1878』
『エリザベート1878(原題:Corsage)』
(2022年)
114分
監督・脚本 マリー・クロイツァー
主演 ヴィッキー・クリープス
オーストリア、ルクセンブルク、
ドイツ、フランス
映画館:東座(長野県塩尻市)
中指を突き立てるチラシ、
舌を出して小馬鹿にする予告、
ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃の40歳の一年。
それほど歴史を知っているわけではないけれど、40歳が何だというのだろう?と思い、興味が湧いたので、観に行ってみました。
Go…
Go…
Go…
Go away
冒頭から、繰り返されるCamille(カミーユ)の『She was』が耳から離れない。
今に始まったわけではない、違和感と窮屈さ。
時が経つ毎に、身の丈に合わないちぐはぐさ。
天井に頭が当たる。
それ以上行けない、不恰好さ。
努力では補いきれない、変わってしまうものと変わらないもの。
身動きがとれない…
静かな歌の中に、
彼女の叫びが聴こえるようだ、
Go…
Go…
Go…
Go away
これは覚悟か。
なぜ、こんなにも耐えて来たのだろう?
なぜ、こんなにも自身を殺して来れたのだろう?
時代は変わって行く。
必ず変わる。
でも、人生の方が短い。
美しい映像の中に、沸々と蓄積された悲しみと諦めがある。
SOAP&SKIN(ソープ&スキン)の『Italy』の中で踊る彼女は自由と解放の中にいた。
in Italy
in Italy. in Italy
ここではない場所へ。
役割も性別も超えた、重力からも解放された場所へ。
40歳。
当時の平均寿命。
これからドラマ(劇的瞬間)が始まるわけではない。
静かな一年は、抗えない亀裂を大きくし、
ただ壊れて行くことを見守るくらいならば、選べるものを選ぶことは、自由と名付けても間違いではないように思われた。
苦しみの中に、美しい叫びが聴こえる映画だった。
ぜひ、音楽も検索してみてほしい!
そして、原題が『Corsage』コサージュ、コルサージュであることも、とても興味深い。
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