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困ったときのソーセージパン
パン屋さんで何を買おうか悩んだときの救世主的存在がソーセージパンである。
どれも美味しそうだけど決め手に欠ける、みたいな状況に陥るとそこから這い上がるのは至難の業。価格、カロリー、サイズ感などの要素を突き合わせて優劣をつけようとしてもそれぞれにプラス面・マイナス面があって結局選べない。
そして「パン屋さんに行く=もうすぐご飯時」という場合がほとんどなので、どんどんお腹が空いて正常な判断ができなくなる。そうなるともうドツボにハマり、もはや何もいらない! 家で食パン食べる! みたいな極論に達してしまいそうになるのだった。
そんなときソーセージパンがいるだけで世界が変わる。パン・ソーセージ・マヨネーズあるいはケチャップ(もしくは両方)というシンプルな構成なため大きく外れることもなく、何より「たんぱく質が摂れる」というメリットを持つ強カードなのだ。
また、甘いのとしょっぱいのを1個ずつ選ぶ場合、しょっぱいもの要員としてもちょくちょく駆り出される。お食事系はともすればボリュームに重きを置かれがちだが、対してソーセージパンは意外と控えめな佇まいをしているのだ。なんせソーセージが1本スッと入っているだけだから。
ボロニアソーセージを採用しているパターンやそもそものサイズが大きいとそうもいかないが、大体は甘いパンと食べるのにちょうど良いサイズ感でパンもふわふわで食べやすい。そしてソーセージもジューシーすぎない。私はそもそもあっさりめのソーセージが好きなので、ここでも希望と合致しているのだった。
これと似た形状のちくわパンはお店によって好みに合う・合わないがあるのだが、ソーセージパンに関してはそれが無い。逆に言うと「ここのが好き!」みたいなのも特にないのだが、1つだけ印象に残ったものがあった。
そのお店では棒に突き刺さっていたのである。
ありそうで今までお目にかかったことがなかった棒付きソーセージパン。棒を掴んで食べる、ただそれだけなのにワクワク度合いが全然違う。アメリカンドッグやフランクフルトも棒に刺さっているが、それらでは味わったことのない高揚感だった。おそらく、いつもと様子が違うという困惑がそうさせているのだろう。私は童心に帰ったような気持ちになって豪快にかぶりついたのだった。
正直、味に飛びぬけた何かはなかった。しかしあのお店に行ったらまた選ぶんだろうなと思う。今度は救世主としてだけでなく、ワクワクを提供してくれるパンとして。
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