ピザトーストたらしめるもの
煎じ詰めれば、ピザトーストをピザトーストたらしめているのは、実のところピーマンなのではないだろうか。煎じ詰めすぎ?
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もちろん、全国津々浦々のピザトーストを知っているわけではないから、ピザトーストに必ずしもピーマンが入っているとは言えない。
しかし少しでも入っていた途端、たとえ「ピザトースト」という名でなくても、頭の中にピザトーストが浮かんでしまうパワーがあるとは思わないだろうか?
そう、私は『ピザトーストってピーマン入りがちだよね』と言いたいのではない。
『ピーマンが入っているだけで、"ピザ"というよりも"ピザトースト"って感じになるよね』と、こういうことである。
……なんか、仰々しく言ってますけども。
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先日パン屋さんにて、チョリソーがのったトマトピザパンを買った。
ここで重要なのは、あくまでもピザではなくパンであるということ。丸く平たく形成されたパン生地に、ソースや具材がのっているタイプのやつである。
二口目くらいだっただろうか。あの、ちょっとクセのある苦味が舌に当たった。
その瞬間、頭の中はピザトースト一色になった。概念としてのピザトーストではなく、今まで食べてきたあれやこれやが思い浮かばれたのである。
そう、あのときも、このときも、ピザトーストにはピーマンが入っていた。
イタリアンで食べるピザに、ピーマンが使用されているイメージはあまりない。少なくとも、マルゲリータの緑要素は十中八九バジルである。
しかし、ひとたび生地がパンになった途端、ピーマンが引く手あまたになる。なぜだろう。最初に作った人がピーマン好きだったのかしらん。
あるいは、「野菜食べや……」という親心説もある(?)。ピーマンが苦手でも、みんな大好きピザに混ぜ込めばきっと美味しく食べてくれるに違いない……的な。
しかし悲しいかな。ピーマンというのは、どんなに細く小さくしてても存在感を主張する食材なのだ。なんなら、チキンライス等の類であれば、本体を口にせずとも風味を感じてしまうほどに。
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個人的には、ピーマンはピザトーストに必須! というわけでもない。ピーマンの有無よりも、どれだけチーズが分厚いかのほうがずっと大事だ。
しかし、大盤振る舞いのチーズにまみれすぎると、あの苦味とみずみずしさが助け舟になりうる。
それに今回のピザパンに関しては、ピーマンの存在が「そういえば昔、朝ごはんに冷凍のピザトースト食べてたっけ」という忘れかけていた記憶をも呼び覚ました。
さらに言うと、この記事もピーマンがあってこそ。
……ピーマン、いろんな意味で偉大なるトリガーかもしれない。