そこに猫がいてくれるだけで
朝、自室の椅子の後ろを通り過ぎたとき、猫が丸くなって寝ていたのが見えて『ああ、いたのか』と少し驚いた。
この家に猫はいないのに。
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……ええと、ホラーでもなんでもなく、昨日私がしまい忘れていた黒のキャスケットだったという残念なオチです。寝起きだったのもあるが、ナチュラルに一瞬猫だと思った。実家にはほぼ途切れなく猫がいるので、椅子の上の影は猫という処理になってしまうらしい。昔からの習慣って怖い(ある意味ホラー)。
なんかもう、猫って、そこにいてくれるだけで良いんだよなあ。もちろん、甘えに来てくれたら「おおっ、どうしたどうした」と好々爺のような満面の笑みを浮かべるが、ただ寝ているだけでも癒やし効果抜群。と言いつつ、我慢できずに「ねこくーん」と抱きついて安眠の邪魔をしたのも一度や二度ではなかった。
朝からほのかに寂しくなったが、今、家には新入りの猫ぬい(=猫のぬいぐるみ)がいるのだ! 遠目から見たら結構ちゃんと猫だから!
いや、何種類作るの? と思った方もいらっしゃるかもしれない。ここ数ヶ月だけでも3種類目です。結局本物がいないから、いつまでも追い求めてしまうんだなあ(遠い目)。
それにしても、この猫さん、今までで1番「リアル」に重きが置かれていると思いませんか。しかも驚いたことに、一筆書きならぬ一本編み(?)で完成するのだ。
頭と身体を別々に作ってくっつける、という今までやってきた方法だと、作りながら進行度や完成品の予想はつく。しかし、これは繋目無し。その上、猫ならではの艶やかな曲線美を再現しているので、編み数は1段ごとに変わっていく。
段を飛ばしていたとしても気づきにくいという緊張感はあるが、それよりも「現状よくわからない形から、この先ちゃんと猫になってくれるのか」というワクワク感がすごかった。
そして綿を詰めたときのお尻のラインに感動。詰め塩梅もクオリティに関係してくるので、ここは慎重に。むっちしりつつ、綿が見えないというベストを目指して、何度もお尻を確認したのだった。
この編み方を開発されたのは「あびす」さんという方で、なんとnote上で公開されております。
Twitterやインスタでも数々の作品が見られるが、どれもすごい。カービィなどのキャラクターから、何がどうなっているかわからないくらい緻密な竜まで作ってしまう。頭の中でどう処理したら、あれが編めるのだろうか……。
ご存知の無い方は、是非あびすさんのSNSを覗いてみてください。そして猫好きな方は編んでみてはいかがでしょうか。私としては、もっと大きいサイズで作ってより本物に近づけてみたい。近づいたら近づいたで、今度は動かないことに寂しさを覚えそうだけど……。