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天空のオアシスへGOKYO LAKE〜Day1〜

幕開け

 起きたのは朝10時ごろだ。前夜は旅に期待を膨らませるあまりよく眠れなかった。

前日にパッキングを済ませていたため、この日準備することとしては、今回の山行で使用するトレイルランニング用のシューズを調達することくらいだった。

 お目当のアルトラ社製ティンプトレイルのブルーの在庫を見つけたのは聖蹟桜ヶ丘にあるショップだったため成田空港に向かう前に寄っていくことにした。

夜の便までに時間はたっぷりあるが家にいてもウズウズしてしまい、気持ちが落ち着かないので11時ごろ家を出た。

出国飯

 ちょうど桜木町で働いている恋人(帰国後元恋人になることをこの時の私は知る由もない)からお昼ご飯を食べようと連絡が来たため、私は桜木町の駅に向かった。

いかにもバックパッカー的な格好をしていたため、秋口の電車ではかなり浮いていた。

周りからチラチラと視線が送られてくるのを感じた。

このいびつな形のサングラスのせいだろうか、と思考を巡らせているとJR桜木町駅に到着した。

駅前の広場で5分ほど待っていると恋人が現れた。

目を合わせた途端クスッと笑われ「浮いてるね」と言われた。

無理もない。

昼時で桜木町はビジネスマンたちが往来するランチタイムで賑わっていた。そこにポツンとアウトドアマンがいれば、まるで都会にスイミー状態だ。

私は出国前にラーメンが食べたいという猛烈な感情を覚えた。

ランドマークタワーの地下につけ麺TETSUというお気に入りの店があったのでそこに向かった。

昼のピーク、つけ麺TETSUが500円セールをしていたこともあり店は混雑していた。

食べ始めるまで15分ほど待ちそうだ。

ここでももちろん好奇の目にさらされたが割愛する。

15分ほど待ちようやく案内された。

案内される前に食券を購入したため、席に着くや否や、つけ麺がテーブルに運ばれてきた。

私は勢いよく麺をすすった。

あっという間に完食し、私の胃はジャパニーズソウルフードで満たされた。彼女は昼休憩のわずかな時間に来てくれたため、食事を 早々に済ませ駅に戻った。

「気をつけて行ってきてね」という激励の言葉を胸に私は再びJR桜木町駅の改札をくぐった。

目指すは聖蹟桜ヶ丘だ。

お気に入りのトレランシューズを求めて

JRで桜木町から八王子、そこから京王線に乗り換えて聖蹟桜ヶ丘に到着した。

ジブリ映画の耳をすませばで舞台になった町を5分ほど歩き目当ての店に到着した。

入店と同時に「ティンプトレイルありますか?」と尋ねると快く希望の26.5cmのブルーを倉庫から出してくれた。

試し履きするとサイズ・見た目のクールさともにバッチリであった。ヒマラヤのトレイルをこの靴を履いて歩く自分を妄想しつつ即決で購入を決めた。

このことを見越してビーチサンダルで家を出てきたため、このまま新調した靴に履き替えた。

支払いを済ませ、その足で駅前のビックカメラに向かった。

フィルムが足りるかどうか心配になったため、36枚撮りフィルムを6本買い足した。

フィルムカメラはお金がかかるなぁ、といきなりの出費がボディブローのようにじわじわと効いてくるが背に腹は変えられないため仕方がない。

いざ成田空港へ

この時点で時刻は午後4時ごろだ。

まだフライトまで4時間ほどあるが特にすることもないので空港に向かった。

2時間ほど電車に乗り成田空港第二ターミナル駅に到着した。

改札を出ようとスイカをタッチすると残額表示に777円が表示された。とても興奮した。 

 ジャグラー(スロット機種)で777が揃うよりも私にとっては価値のあることだった。

きっといい旅になるに違いない。

そんな旅のサブイベントが終わり私は航空券をエアアジアのカウンターで発券した。

荷物の枠は7kgまで無料のため、家で6.9kgというマキシマムな重量に調節してきたが荷物を測りに乗せると表示されたのは7.2kgだ。

一瞬ドキッとしたが係員は何事もなかったように航空券を渡してくれた。よく考えると昨年東南アジアを旅した時もエアアジアは荷物の制限がガバガバだったのだ。

私は飛行機に乗り込むとき着陸後の荷物のピックアップが面倒なのでバックパックを機内に持ち込んでいる。

例によって今回もそのスタイルを続けた。

航空券を手に入れた私は、母が持たせてくれたうなぎ弁当を食べられそうな場所を探した。

夜の飛行場が見渡せるテラスにたどり着いた。

そこにはテーブルと椅子もあったので腰掛けた。

カバンからうなぎ弁当を取り出し、山椒をまぶして喰らった。

この上なく日本の味がした。

こんなことでエモーショナルになってしまう厨二病的な自分に幻滅しつつ食べ終わったので近くの喫煙所で一服した。

喫煙所の中はもうすでに外国人の方が多く、ここが日本であることを忘れてしまいそうになった。

テイクオフ

税関を通過し、搭乗口付近のベンチで時間を潰しているとあっという間にフライトがコールされた。

飛行機に乗り込むと相変わらずボロいシートを確認できた。

社会人になりもう少しお金に余裕ができたらフルサービスの航空会社に乗ろうと心の底から思った。

機内では文字に起こせるような出来事はなかったため、3時間弱のフライトでスマホに保存したお気に入りのプロジェクトX(アメリカのB級映画)を見て過ごした。

1日目は機内で完結しそうだ。

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