帰国

母からの電話で、祖母が亡くなったことを知らされた。
僕はその時も海外に住んでいたけど、無理をしてでも、
すぐに帰ろうと思った。

最後に祖母に会いたい気持ちと、
僕はいつだって、すぐに日本に帰れるんだよ、
ということを、母に知っておいてほしい気持ちと、
両方あった。

今晩のフライトで帰るよ、と伝えると、
母は、珍しく強い口調で、

家族の側にいてあげて
年末に、お線香をあげてくれれば、
それだけでいいから

と言った。

妻に話すと、

わたしたちは大丈夫だから、帰ってあげて
さよなら言っておいで
お母さんの側にいてあげて

と、これまた珍しく強い口調で言われた。

なんの板ばさみだよ、と笑ってしまったけれど、
妻と母が、思いやり合う様子が、
祖母を失くした悲しみを、少し和らげた。

僕は、守りたいと思ったものに、
けっきょく守られて、生きているなぁ

そんなことを、考えながら、空港に向かった。
二年ぶりの帰国だった。


いいなと思ったら応援しよう!

大旅 そば
お蕎麦屋さん開きたい。