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日記 | 畳み甲斐のある洗濯物

世の中は二つのタイプの人間に分けられる。「世の中を二つのタイプに分けたがる人間」と、「そうではない人間」の二つだ。というのは誰が言ったのだっけ。

洗濯物も二つのタイプに分けられる。畳み甲斐のある洗濯物と、畳み甲斐のない洗濯物だ。

たとえばバスタオル。綺麗に四つ折りなどにして、家族分を綺麗に積み重ねていくとほら、フワフワのバスタオルタワーが出来て心地よい。デニムなど生地にコシのあるパンツなども、畳み甲斐があると言える。

Tシャツを畳んだことがある人間は、一度くらい「Tシャツ 畳み方」で検索したことがあると思うが、Tシャツもショップ店員ばりにきっちり畳めるようになると、とっても気持ちがいい。畳み甲斐高ぁ。うちの息子なんかは驚くほど綺麗に畳んでくれる。Tシャツは洗濯物の中でも、畳み甲斐がかなり高いと言えるだろう。

一方で畳み甲斐のない洗濯物は、たとえば大手衣料品店で売っているヒー○テックなど薄くナヨナヨした奴らだ。テロテロシャツだ。まして女性ものなどで首元が大きく開いたような服をTシャツと同じように畳むのはまったくもって無理ゲーに近く、何度も何度も納得のいくまでやり直す羽目になる。

普通のTシャツの畳み方と同様、まずは裏返し、袖の部分を首元の幅に合わせる形で中に織り込むのだけど、首元がざっくり開いているものだから、どうやっても不恰好になる。何とか形を整えて表に返そうとすると、生地の張りのなさからテロンと手から滑り落ち、また1からやり直しとなる。

あぁシャツの一枚も畳めぬのか僕は、と何度かチャレンジするのだけども、やればやるほどキリがない。しかし、妥協した形で適当に畳んでしまっては、「さては手を抜いたな」と妻に思われそうで忍びない。

それでもついには諦めて、妻に「すまない、君のこのなんていうジャンルに属すかわからないテロテロの首がかばっと開いたシャツが上手に畳めないのだよ自分は、いやほんと情けなくて、へぇ、すんません」と謝ると、「あぁ、こんなのこうやってこうしてこうでいいよ」と、ものの3秒くらいで小さく畳んでしまった。シワにもならないので、適当でいいよ、と言うのである。

世の中には、小さいことでクヨクヨ考える人間とそうでない人間がいるが、自分は間違いなく前者で妻は後者である。何事もどちらがいいと言うわけでもなく、人間同士が一緒に住むのであれば、互いに異なる部分がある方がいいのだなと、小さく纏まったテロテロシャツを見ながらしみじみ考える。

たかが洗濯物の畳み方で、どうでもいいようなことを考えてしまったが、これと同様、さして気にもしなくていいようなことに囚われて、嫌気がさしたり何やってもうまくいきまへんわ、と投げやりになることがあるけれど、まぁ今日は金曜だしと、妻と酒を飲みながらてれてれとくだらぬ話をする時間に、いつも助けられている。

世の中には自分とは違うタイプの人間がいてくれて、ほんと助かるなぁと思う今日この頃。

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