なみうたない なみだたない ながれない ながされない おどらない おどりださない だれかがひとつ いしをなげる じゃぼん なみうった なみだった ゆれてゆれて とまる しーん ゆれない ゆらさない ゆさぶられない ゆりうごかされない ひとつ ふたつ じゃぼん じゃっぼーん おおきななみは ちいさななみをうむ どんななみも なみはいつか なみじゃなくなる こころいけ こころいけは なみだたない おだやかないけ しずかないけ
ラジオは10秒ほどの 沈黙で放送事故 あんなになり続く 声と声 ほんの10秒のしずけさが 事故 あんなにおしゃべりで あんなににぎやかしい そんな彼女の声が どんどん 小さくなっていく 言葉を 声を 閉じ込めていく じゃまにならぬよう じゃまにならぬよう 彼女のこころが 支配されていく 妨害電波 じゃませぬよう じゃませぬよう 口を固く閉じて 息を殺して おしゃべりな 彼女は貝になってしまった 安全か 安全なのか よく、よく まわりを観察して
みえてますかね? ここにいます きこえてますかね? わたしのこえ みえないなみにのせて だれかにとどいたり どこからかとどけられたり どこにいても ひとりじゃない べんりなよのなかになった なみがしずまったあと なみのむこうと なみのこちらは いっしゅんでぶつり せかいがとぎれる すぐそこにあるのに とうめいななにかに はばまれるように そのせかいへは とどかない たいへんだったね おもしろかったね なみのむこうで かわされる たわいもないもののなかに
冬至まで 冬至まで 辛抱してね そしたらきっと 楽になるよ そんな言葉を信じて 待って 待って ふんばって 冬至が来て カボチャ食べて 柚子湯に入って 冬至があけた そこはただ朝で きのうのままで そういやぁ 昨日の柚子も かおりは しなかった 冬至があけて 色々と あけていく としんじたい