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秋の夜長にビートルズ。

10月も半ば、まだ日中は蒸し暑い日もありますが、暦的にはすっかり秋ですので、今日は「秋の夜長にビートルズ」と題して、ほんのり秋を意識した内容にしたいと目論んでおります。

ここ数年、「公式からニューリリースなど衝撃的なお知らせがある」というのが我々ビートルズファンにとっては秋の風物詩のひとつとなっています。
秋は毎年ニュースが豊作で今年も例外ではありませんので、まずは今秋の新着情報をまとめてみたいと思います。


ビートルズ新作情報

まず、ビートルズに関しては、アメリカでリリースされた7作のアルバムに焦点を当てたアナログ盤 "THE BEATLES 1964 US ALBUMS in MONO" が11月22日にリリースされるということを先月ご紹介しましたが、それに加えて、新たに2つの映像作品の公開がアナウンスされています。

❶ 新作ドキュメンタリー

Beatles '64 @ Disney Plus

まず、『ビートルズ '64』という新しいドキュメンタリーが、11月29日(ジョージの命日)からディズニー・プラスで独占配信されることが決定しました(日本公開も同日)。
この、マーティン・スコセッシ監督のプロデュースによる完全新作ドキュメンタリーは、1964年にアメリカに上陸したビートルズが、イギリスのみならずアメリカ全土を熱狂させた衝撃とその舞台裏、そしてジョン・ポール・ジョージ・リンゴという4人の若者の活躍と栄光を映し出し、さらに新たに撮影されたファンたちのインタビューも交えながら、彼らが作った「時代」を解き明かしていくという作品です。

マーティン・スコセッシ監督といえば、ジョージの素晴らしいドキュメンタリー "Living in the Material World" を制作していますが、その際に編集を務めたデヴィッド・テデスキ氏が今回のドキュメンタリー『ビートルズ '64』の監督を務めているということで、期待が高まります。

当時の貴重な映像は4Kで復元され、エド・サリバン・ショーでのライブ音源はジャイルズ・マーティンによってリミックスされているということなので、美しい映像とサウンドを堪能できそうです。

11月に発売になる"U.S. ALBUMS"、そして現在大阪で開催中の、【ポール・マッカートニー写真展 - Eye of the Storm - 】と併せて鑑賞すると、ビートルズが躍動した「1964年という時代」をより立体的に体感することができそうです。

東京六本木での会期を終えたポールの写真展は大阪へ巡回し、来年2025年1月5日まで 梅田のグランフロント大阪で開催されます。

ポール・マッカートニー写真展 in 大阪
コラボカフェメニュー

❷ 新作映画

No Hamburg No Beatles

そして二つ目の映像作品は、映画『NO ハンブルク NO ビートルズ』です。
2022年に公開された映画『ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実』のロジャー・アプルトン監督の最新作で、1960年のビートルズのハンブルク初訪問から、1963年の " Please Please Me " のヒットを経て、1966年に6回目の訪問をするまでの彼らのハンブルクでの活動を、関係者の証言やアーカイブ映像と音声、アニメーションなどを使って蘇らせてくれるそうです。

今夏に公開された映画『ザ・ビートルズの軌跡 リヴァプールから世界へ』の姉妹作品のような感じかな、という印象を抱いています。

私が気になっているポイントは、ハンブルク時代に出会いその後も彼らに多大な影響を与えたアストリッド・キルヒヘアの証言です。
初めてビートルズの演奏を見た時の様子から、スチュアート・サトクリフが亡くなったことを知った時のジョン、ポール、ピートのリアクションなどを詳細に語っているということで、これまで本で読んだことはありましたが、
実際に彼女の口からそれらのエピソードが聞けると一層リアリティが増しそうなので非常に興味深いです。

最近の回顧録系の映画と同様に、60分という短さなので手軽に見られそうです。
上映は12月6日からで、まだサイト上では劇場を確認することはできませんが、全国上映と書かれているので東京以外の地域でも見られるところがあるのではないかと期待しています。

ビートル・ソロ情報

続いてビートルたちのソロの活動状況です。

❶ ポール・2024秋

ポール・マッカートニーは現在 Got Back Tour の真っ最中ですが、ライブではビートルズの映像と共演し、また ビートルズ最後の新曲 "Now And Then" を披露したりと、ファンにとっては涙もののステージを演出してくれているようです。

先日のジョンの誕生日には Instagramにライブでのジョンとの2ショット画像をアップしてお祝いしています。

Paul McCartney Instagram

10月はじめには、『ポール・マッカートニー&ウイングス - ワン・ハンド・クラッピング』の劇場公開がありました。
レストアされた1974年のアビイ・ロード・スタジオで撮影されたレコーディング・セッションや未発表曲や未公開映像、ポールによる劇場公開用のイントロダクション映像など、見どころたっぷりな内容だったようです。
60年代にビートルズ、70年代にはウイングス、そして現在はソロで、ずっと現役でパフォーマンスし続けるポールの凄まじさをひしひしと感じます。

❷ リンゴ・2024秋

そんなポールに負けず劣らず現役ミュージシャンとして毎年新作をリリースしているのがリンゴ・スターです。
リンゴは先日、新たな音源をリリースすることを自身がアナウンスしました。ここ数年はEPの発売が続いていましたが、今回はなんと11曲入りのフルアルバムになることを発表してます。

アルバムタイトルは ”LOOK UP” で、ビジュアルイメージからもリンゴ自身が大好きなカントリー色の強い作品になることが伺えます。
発売日は来年2025年の1月10日です。
10月18日にはそのアルバムの中から先行シングルとして "Time On My Hands" がリリースされています。

❸ ジョン・2024秋

そして10月9日に84回目の誕生日を迎えたジョン・レノンは、今年は 新生 "MIND GAMES" をリリースしていますが、誕生日に併せて "MIND GAMES" の限定版の3枚組クリア・バイナルが発売されています。

この作品にはジョンとヨーコの息子のショーン・レノンがプロデュースしたメディテーション・ミックスが収録されています。
レコードの送り溝でくり返し無限のループをつくり出すマントラが9種類収録されていたり、楽曲自体もかなり大胆に再構成されていますがなかなか新鮮で私は結構お気に入りです。

ショーンは他にも精力的に父ジョン・レノン作品のプロデュースを展開しており、MIND GAMESをフィーチャーしたスピーカーも手がけています。

John Lennon - Mind Games OB-4

スウェーデンの Teenage Engineering のOB-4の特別版で、デザイン的にかなりオシャレで物欲スイッチを激しく押されましたが、円安の影響が重くのしかかり(15万円程するので)諦めました。

OB−4のデフォルトのラジオやBluetoothスピーカーの機能に加え、MIND GAMES のThe Ultimate CollectionとMeditation Mixもプリロードされていて、レノンファンにとってはマストアイテムとなりそうです。

この特別版OB-4は限定生産され、予約注文は10月31 日まで。
売り切れ次第終了ということなので、ビビビっと来た方はお急ぎください。

❹ ジョージ・2024秋

ジョージについては先月もちらっとお伝えしましたが、" LIVING IN THE MATERIAL WORLD" 50 周年を記念して、新しいミックスによるニューアルバムがリリースされます。
これまでよりも明るくより豊かでダイナミックなサウンドになっているということなので、こちらも楽しみです。

Living In The Material World 50th edition

ビートルズ × 秋

秋の新作情報を軽くまとめているだけで長尺になってしまいましたが、「秋とビートルズ」というテーマでもう少し書かせてください。

ファンクラブ向けに製作された "Christmas Time Is Here Again" などの例外もありますが、ビートルズは季節感のある楽曲ってほぼないよね、と言われたりします。
なんとなく春っぽいとか冬っぽいみたいなイメージを抱く楽曲もありますが、明確にこの季節やイベントのことを歌っている!というのは "Birthday" くらいじゃないかなと思います。

秋っぽい曲ってなんだろう?と考えると、私の場合はベタに冒頭に虫の声のSEが入っている "Sun King" をまず思い浮かべます。

▼以前ポッドキャストで「秋の夜長にお風呂で聴きたいビートルズの曲」を皆さんにお伺いしたところ、実に様々な楽曲を挙げていただきました。
なかなか面白いプレイリストができましたので、よろしければご覧(お聴き)ください。

そして、アルバムジャケット的には、4枚目の "Beatles For Sale "と、6枚目の "Rubber Soul" に秋っぽさを感じます。
それぞれ1964年と65年の11月にリリースされているので、時期的にも秋冬仕様になっているからかもしれません。

Beatles For Sale / Rubber Soul

個人的に "Beatles For Sale" のジャケットが結構好きなんですが、超絶多忙な日々にくたびれてしまっている4人の哀愁漂う姿が秋の物悲しい雰囲気を演出しているところが最大の鑑賞ポイントです。

ポールも絶賛しているジョージのカブのような頭も見どころの一つです。
寝癖なのかな?と微笑ましく思っていましたが、なんとジョージは自らこのカブ頭をセットして撮影に臨んでいたそうで、ますます好感度が上がりました。

ジャケット写真はロバート・フリーマンがロンドンのハイドパークで撮影しています。
この写真は手前に写っているオレンジとグリーンのぼんやりした光がとてもいい仕事をしています。
何が写り込んでいるのか調べていたところ、撮影アシスタントをしていたトニー・ブラムウェルの親指だという説を見かけました。
その説によると、演出で枯れ枝をかざしていたところ、うっかり指が映り込んでしまったそうなのですが、この「うっかり」を採用してしまう精神は Rubber Soul でもしっかり発揮されていて、非常にビートルズっぽいなと思います。

ビートルズの楽曲は季節にかかわらずいつ聴いても最高ですが、秋の澄んだ高い空を眺めながらぼんやりと鑑賞するのもおすすめです。
というわけで、秋っぽさは結構薄味になってしまいましたが、これから訪れるビートルズ過剰供給に向けて体調を整え、エネルギーを蓄えておきましょう。

▼ 動画ver.『秋の夜長にビートルズ』


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MiHo O'Hara / Mihowell
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