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【創作BL小説】箱庭の僕ら 7話
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「は?!結婚する?!」
あまりに突飛な話に俺は度肝を抜かれた。
こんなに驚いたことは初めてだったけど、努めて冷静に落ち着き払った態度で笑いながら俺は言った。
「また、美智は冗談が好きだなぁ」
そうしたら、驚いたことに美智は、
「善くん、覚えてない?わたしたち婚約してるんだよ。」
と、当たり前のような顔をしてニコって笑った。
はぁぁ〜?俺がいつお前と婚約したんだよ、てか俺らまだ高校生だぞ、将来勝手に決められてたまるかよ!
「それはないでしょ、この間10年ぶりに会ったのに」
双方の両親はなんだかニヤニヤしてこっちを見ている。
美智の母親が口を挟む。
「善くん、ごめんなさいね〜。この子、小さい時の約束をずっと覚えてて、引っ越した先でも、婚約者がいるって言いまわってたのよ。」
うそだろ・・・俺は美智と再会するまで存在すら忘れていたってのに。
「善くん、ちょっとこっち来て」
美智の部屋に連れて来られて、俺はあからさまに嫌な顔をしながら言った。
「ちょっと、どういうこと?」
「小さい時に、いつも一緒に遊んでいたことは覚えているでしょ?」
「うん・・・」
正直、美智の顔すら覚えてない。
「昔の家、裏に原っぱあって、そこでいつもふたりで遊んでいたでしょう?その時にね、善くんがシロツメクサで冠を作ってくれたのよ。わたしの頭に載せてくれて。私感動しちゃって、同じように花で指輪を作って、善くんの薬指にはめてあげたの。その時に”結婚して”って言ったら、善くん”うん””って言ってくれたよ。引っ越すときも、”将来お嫁さんにしてね”って念を押したら”いいよ”って言ってくれたもの。わたしずっと善くんと再会するの、夢見てたんだよ」
覚えてねぇ!!こいつと遊ぶのつまんなくて、適当に相手してたことだけ覚えてる。そのツケが・・・
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こいつヤバいメンヘラか?善はあまりの執念に恐怖さえ感じながらも、
「いや、そんなこと言ったて、子どもの頃の単なる口約束だろ?そんな約束もう時効だろ?俺らまだ高校生だし、こんな早くに決められないって、ちょっと待って、それ白紙に戻してよ」必死に訴えた。
「善くん、他に好きな人いるの?!」
その瞬間、頭に光の顔が浮かんだ。俺は表情に出さないように必死だった。
「好きな人なんていないよ!」
「じゃあ、わたしまだ善くんの事好きでいていいよね。私、善くんに好きになってもらうように頑張るから!」
え~~~っ!!
リビングに戻ると、双方の両親が何やら盛り上がっていた。
「高校生って言ったて、数年もすれば適齢期になるし、ある程度相手を決めておいた方がいいね。”罪の人”と結婚してしまう可能性はつぶしておかないと」
「そうね。高校生になると、学校での誘惑も増えるだろうし、万が一、”罪の人”と男女交際するようになったりしたら、わたし、発狂してしまうわ」
「同じ信者と結婚するしかないし、小さい時から知っている善くんが美智をもらってくれたら、本当に安心だわ」
これを聞いて、俺の方が発狂しそうだった!
やめろ!やめろ!俺の将来を勝手に決めるな!
内心慌てふためいていたけど、優等生の仮面ははずさず、
「と言っても、子どもの約束ですからね。僕は、結婚はお互いをしっかり知って慎重に決める必要があると思うので、若いうちに結婚するのは避けたいですね。」
と笑顔で精一杯の抵抗を示した。
「さすが、善くんね。結婚は神聖な神の取り決めですもの。でも、これから同じ学校だし、美智のこともたくさん知ってもらえると嬉しいわ。」
美智の母親にあいまいな笑みを返し、俺は話題を変えることに必死だった。
もう絶対、この家に来るものか!