ちょっと酔ってあの頃を②
※この記事はごく軽く酔いながら思いつきで書き始めました。昔々の思い出から今に続く話ですが、多分尻切れになったり誤字脱字があったり、何を言いたいのかわからなくなったり、したまま終わる可能性があるのですが、あんまり気にせずに書こうと、ちょっと酔った頭で決めたので、このままいこうと思います。まったくもって個人の思い出で、共感や感動のさざ波などは生まれるべくもないかと思いますが、その点ご容赦願います。ちょっと長くなるかもなので連載にしてみます。自己満足で、悪しからず。
ちなみに①はこちらです。
◇◇◇
引っ越したことで、職場までの距離は姉より私の方がかなり遠くなった。
当然、家を出る時間も私が先。
高い天井の換気扇を回して朝の一服をくゆらせながら、
「気をつけてー」
笑顔の姉に送り出されて、ドアを開けた。
階段の踊り場から新鮮な景色を眺めて、新鮮な気分で静かな朝の空気を吸い込んだ。
道幅の狭い素朴な通りを、思った以上に多くの人たちが黙々と歩いていた。小学生、中高生、勤め人、犬を連れた高齢者…
アパートの敷地から出て通りを右へ。
頭の中で駅までの道順を思い浮かべながら、通行人の列に混ざる。
引っ越し直後ではあるにせよ、ありふれたこの街の、直ぐに慣れてしまうであろうごく何気ない日常の始まりに、これで私もすんなりと組み込まれた。
はずだった。ここまでは。
◇◇
昨日までは改装かなにかで職人さんが出入りしていたお隣の一軒家が、すぐに視界に入ってきた。
奥に細長い造りの家だ。
私たちのアパートとそのお隣の間には、こちらの大家さんが管理している駐車場が平行に横たわるだけ。
道路に面して同じ並びで視界を遮る木々もなく、私のアパートのキッチンからも、そのお宅の全景は見てとれた。
長めの庇部分に昨日までかけられていたシートが、取り払われていた。
その庇と、路面から数段上るライトグレーの階段、清潔感のある白い格子の大きな出窓とドアは、そこが何らかの店舗であることを表していた。
人の気配はなく、ブラインドは下りたままだったけれど。
建物の前を通り過ぎる時、青空の下であらわになったその庇を何気なく見上げた、その瞬間。
・・・。
一瞬で私の脳はバグった。
いや、体ごと思いきりフリーズし、そしてひとまず、
これは、ない。
と、思った。
そう思おうと、脳がしていた。それは多分に条件反射的な反応だった。
「あまりのこと」に静まりかえった自分の頭に無理やり喝を入れ、今見たばかりの事実をとりあえず忘れようと努めた。
引っ越しの何もかもを親や叔父にたよりきってきた甘ちゃんではあるが、それでも一応は社会人なのだ。今は出勤途中だ。これから初めてのルートを確認しつつ、遠い職場へ向かわなければならない。
仕事のことを考えよう。今見たことは、今夜姉と話せばいい。
あと30分もすれば家を出てくる姉もきっと私と同じ、イヤそれ以上に動揺し、あの場所でフリーズすることはわかりきってるんだから。
私は前を向いて、非情なまでの努力を自身に強いながら駅までの道を急いだ。
いちおうまだ続く。
◇◇◇
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