囃子

とんでもなく密から遠い里山に、高齢の母との二人暮らしです。 16年10か月をともに生きた相棒猫は、2023年5月に旅立ちました。 たらはかにさんの毎週ショートショートnoteは、20回ほど参加して今はお休み中。 猫や家族の話など、脈絡なく時々書いたりします。

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とんでもなく密から遠い里山に、高齢の母との二人暮らしです。 16年10か月をともに生きた相棒猫は、2023年5月に旅立ちました。 たらはかにさんの毎週ショートショートnoteは、20回ほど参加して今はお休み中。 猫や家族の話など、脈絡なく時々書いたりします。

マガジン

  • ショートショート部屋

    たらはかにさん主催の #毎週ショートショートnote に参加した作品をまとめています。

  • 自転する日記

    一貫しないスピードで、もごもごつぶやく不整脈日記です。

  • ちょっと酔ってあの頃を

    思いがけないひとつの出会いが、いつも私を励ましてくれた。 決して忘れることのできない宝物のあの日々、ささやかな幸せ。 夜な夜なグラスを傾け、思い出しては書いています。(不定期更新中)

  • 小さな家族の話

最近の記事

自転する日記 3月24日 田舎の話

3月も後半。世間では年度末で色々慌ただしい時期だな。 私はこの2年ほど、母とふたりで引きこもっているので、その慌ただしさをもろに感じることはなかった。けれども今年は、田舎ならではの地域の行事や役回りがあって少々忙しくなっている。 地区の事務員(回覧板を回したり集金したりお盆の行事の手伝いしたり道路の掃除をしたりとかです)だ、神社のお世話だとあれこれ順番が回って来た。 40代、50代で「若いね~」と本気で言われるようなところ。 何をするにも本当に切実に人は少なくて、一番多い年

    • 自転する日記(コピー自省録⑤・最終回)

      ★えー、今回で最終回、可哀そうな没コピーたちを供養するその前に、先週3月15日の楽しかった時間のことを少しだけ書かせてくださいっ ☆☆☆ 前回の自省録④をあげて間もなく、先週の金曜日に、贈りびとさん主催のzoom飲み会が催された。 グランプリ、ゴールド、シルバー、企業賞受賞者の方々が揃い踏み。 ハレもハレ、眩しすぎるメーンゲストたち。 その面々をほめたおす、もてはやす、もてあます(え?)、という明確な目的のある会で、久しぶりながら迷わず参加した。(と言っても前日まですっか

      • 自転する日記(コピー自省録④)

        狂騒の、と言いたくもなった3月1日から早くも2週間がたった。 盛り上がったなあ、タイムライン。 受賞された皆様、本当におめでとうございます。 いつもガヤの端のほうで(しかも九州のど田舎から)キャーキャー言ってるだけで、ヒーローヒロインの皆さんと会えることも叶わない身ですが、お祝いの気持ちだけはしっかり抱いております。 この自省録も、2月の終わりまでは自分のダメさを開き直って、全課題さらしていくつもりでいたものの、感動の結果発表の後、さて続きを、と思うと、当然のように殊勝な気

        • 突然の猫ミーム(#毎週ショートショートnote)

          「ほんとによく食べるねえ」 黒白のハチワレは夢中で3杯めの猫缶にがっついている。 もとはお隣に現れたノラだったが、いつかわが家の方に棲みついた。 愛猫を老衰で亡くした私にとっては思いがけない出会いで、残っていたフードをやるうちにすっかり懐いたのだ。 若い雄で、体も大きく食欲は旺盛だ。以前の子の数倍の量を1度にぺろりと平らげる。 最近は、このフード代が質素な年金暮らしを圧迫し始めた。 「だけど可愛いもんねえ…」 ヘソ天で寝転ぶ姿を眺めてはため息が出る毎日。 ◇ あ

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          自転する日記(コピー自省録③~さらします~)

          2月最後の1日は、雨の木曜日。 お昼後、満腹になって隣のソファで眠りこけている母を横目に今日もサクサクと、第61回宣伝会議賞、1次通過の壁を超えられなかった自作コピーを並べていこうと思います。 ただ、昨夜あげたものを今朝になって読み直してみても、何の感慨もなければ、目新しい発見も見つかりませんでした。自分の書いたものはこんなにもつまらないものなのか。。⑥番目の課題からは少しでも何か心に芽生えればいいなあ。 というわけで、供養スタート! ↓↓↓ ⑥江戸川区 (提出23本、通

          自転する日記(コピー自省録③~さらします~)

          自転する日記(コピー自省録②~さらします~)

          さて、ここから課題ごとに数本ずつ置いていきます。 ついつい調子に乗って書いてしまったやつ、 背筋が寒くなるようなやつ、 踏み込みがもうちょい足りなかったかと思うやつ等々。 ため息が聞こえてきたとて、な、なんのその。 世の中不要と思えるものも存在して出来ているんですから…… では供養に出発。 ↓↓↓ ① i History (提出23本・通過1本) ● 自己紹介は魅せる時代へ。  ● アイデンティティはここにある。 ● キミの歴史はもっと語れる。 どれもあいまいでガジェ

          自転する日記(コピー自省録②~さらします~)

          自転する日記 (コピー自省録①)

          第61回宣伝会議賞は、思いがけず2月に1次通過作品を確認することができた。早くなるとはチラッと聞いた気がしていたが、まさかこんなに早いとは。SKATがWEB上でだけになるのはさみしい、と思っていたけれど、これは良いなあと思った。 次回の応募まで、まだ半年以上もある。 ゆっくり振り返る時間がとれる。 なので、初めて気ままに自省録(とかいうかっこいいものでなくてただのボヤキだけど)を綴ってみようという気になった。 ☆☆☆ さて、参加も10回目を超える今回は、 応募数703

          自転する日記 (コピー自省録①)

          自転する日記 2月20日 猫に恋

          グレコが、今日で丸4日来なかった。 最後の日に6時間も眠りこけて、ようやく目が覚めて出てゆく時には、出会ってから初めてといっていいくらいになぜか不愛想だった。 話しかけると必ず返事をする猫で、呼びかければ、たとえ去っていく時でもいちいち律儀に鳴きながら遠ざかるほどのお喋りだったのに。 15日の夕方は、どれだけ声をかけても無言のままで、ただ静かに、出ていった。 それきり。 今まで日に2度、3度来るのも珍しいことではなくて、車で買い物から戻ると玄関先で待っているのも見慣れた光

          自転する日記 2月20日 猫に恋

          デジタルバレンタイン(#毎週ショートショートnote)

          「ハイ、あなた」 おばあちゃんの声がした。 見れば今年も、お仏壇には塩豆大福。 まあ確かに、おじいちゃんの好物ではあったけど。 「バレンタインの日ぐらい、チョコにしないの?」 おばあちゃんは目を見開き、頬を染めた。まるで少女みたい。 「昔1度作ったのよ。失敗して渡せなくてね。 でもおじいちゃん、和菓子の方が好きだって言ってそれきり。 ・・・食べたかったかもね、ほんとは」 「じゃあ今から送ろうよ、チョコ!」 「だって買ってもないのよ?」 「大丈夫、間に合うわ!」 私

          デジタルバレンタイン(#毎週ショートショートnote)

          自転する日記 2月13日深夜1時 補聴器

          母の新しい補聴器が出来上がってきたので受け取りに行った。 前のはもう8年以上使っていた。 片方は1年ほど前から寿命が切れていて、もう片方も最近は電池を変えても掃除をしてもらっても、明らかに聞こえ方が落ちてきていたのでちょうど替え時だったと思う。 重度難聴だが、店からの帰りはクルマの中でも会話ができた。 テレビの歌番組も、昨日までなら信じられない音量に下げて聴いている。 ほんとかよ、と思ってCMの時にちょっと借りて装着してみたら、ほんとにうるさいほどビンビン聞こえてきておおっ

          自転する日記 2月13日深夜1時 補聴器

          自転する日記 2月10日 姉

          姉が3泊して帰っていった。 母さんにと、またクノール「栗かぼちゃのポタージュ」を山ほど買ってきた。 相変わらず早口でよく喋る。 相変わらず食が細い。 相変わらず発泡酒の淡麗生だけを毎晩3リットル以上飲む。 相変わらず信じられないくらい薄着だった。 相変わらず保守的。 相変わらずわざと議論をしたがる。 時々馬鹿みたいに笑いあうが、 相変わらず私たちは話が合わない。 それでも最後の夜の深夜2時にグレコが来た時は少し泣いていた。 もう会えないままだろうと思っていたらしい。 彼

          自転する日記 2月10日 姉

          行列のできるリモコン(#毎週ショートショートnote)

          昔懐かしい商店街の入り口に立ち、夫婦で歓声をあげた。 「1度来てみたかったんだよな」 夫が嬉しそうに言う。 昭和あのころ通り。 その名のごとく、300mほどの通りにレトロな風情の店が軒を連ねている。 本当に遠いあの頃にタイムスリップしたみたい。 私たちは腕を絡ませてそぞろ歩きを楽しむ。 電気屋のショーウインドーの前に長い行列ができていた。 皆の人気を集めているのは、4本脚のテレビよりも古めかしいリモコンのようだ。 『チャンネルの数字を押すと、その同じ年数分若返った

          行列のできるリモコン(#毎週ショートショートnote)

          自転する日記 2月6日 深夜1時

          関東の雪は明日の朝まで降るみたいだ。 都心も真っ白で、テレビを見たらみんな滑りまくっていた。 あの路面で自転車に乗ってる人、ノーマルタイヤの車でスピード出してる人、それは滑ります。今からホテルを探す人も、明日の早朝から絶対にやらなきゃいけない仕事がある人もいるだろう。大変だな。 珍しい雪景色が真っ白なまま残ることはなく、降ったはしからすぐに多くの人の足跡やタイヤの跡で蹂躙されていく大都会。 かたや山奥で、積もりだしたら人も車も途端に姿を消すこの田舎。 屋根に上って雪下ろ

          自転する日記 2月6日 深夜1時

          自転する日記 2月4日 深夜1時

          節分の豆まきは、ひとりでやった。 縁側から、雨の降る暗闇に向けて、少し声を張って、「鬼はー 外ー!」と3回やった。もったいないので1度に投げる豆は2粒ずつにした。 声は張ったつもりだったが、しとしと降る雨と夜の冷気に吸収されて全然こだましなかった。 しかし考えてみると、この実家のある地域は古くから鬼も神様のように崇めてきた長い歴史がある。追い出すものではなくて、信仰の対象なんだと言われてきて、鬼が主役の伝統行事も連綿と続いている。ここで豆まきをしてもいいんだろうか。 なんてこ

          自転する日記 2月4日 深夜1時

          ツノがある東館(#毎週ショートショートnote)

          妻と俺は縁側に腰かけ、横たわる死骸を眺めている。 「今年は拍子抜けだったわね」 「赤4匹に緑と青が2匹ずつか。少ないな」 「せめて紫が獲れればねえ…」 成鬼の買取価格は1体約100万の契約たが、紫の成鬼は特に人気が高く、倍の金額は下らない。十分に成熟した紫鬼はその味が段違いに良いとかで、グルメ垂涎の的なのだ。 「ま、仕方ないじゃん。来年に期待しようぜ」 「そうね。じゃ、運ぶとしますか」 ◇ 令和6年、節分明けの朝。 俺たちは今年も鬼の獲物を車に積み込み、梅屋デ

          ツノがある東館(#毎週ショートショートnote)

          アメリカ製保健室(毎週ショートショートnote)

          創立100年を記念した、僕らの学校の全面改修が終わった。 青銅色の巨大な門、そびえ立つ巨大な女神のモニュメント。 冷たい床はビロードの絨毯敷きに、 寒々しかった教室の蛍光灯はシャンデリアに変わった。 学食には特製チーズバーガーがお目見えだ。 アメリカに心底憧れる校長の、長年の夢だったらしい。 でも僕の心が躍ったのはやはり保健室だった。 ブロンドの髪も麗しい、アン先生が赴任してきたのだ。 「ダイジョブ、メヲトジテ」 毎夜眠れないまま登校し、保健室に直行する僕は、先生が優し

          アメリカ製保健室(毎週ショートショートnote)