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自転する日記(コピー自省録⑤・最終回)

★えー、今回で最終回、可哀そうな没コピーたちを供養するその前に、先週3月15日の楽しかった時間のことを少しだけ書かせてくださいっ


☆☆☆

前回の自省録④をあげて間もなく、先週の金曜日に、贈りびとさん主催のzoom飲み会が催された。
グランプリ、ゴールド、シルバー、企業賞受賞者の方々が揃い踏み。
ハレもハレ、眩しすぎるメーンゲストたち。
その面々をほめたおす、もてはやす、もてあます(え?)、という明確な目的のある会で、久しぶりながら迷わず参加した。(と言っても前日まですっかり申し込みを忘れており、深夜に贈りびとさんにDMして滑り込みで入れてもらいました。ご迷惑かけました)

東京にも行けないし、Xのタイムラインでは控えめな性格ゆえ(え?)なかなか皆さんと気楽に絡めないでいるので、貴重な機会だった。おめでとうございますを言えて良かった。

贈賞式のあの時は・・・とか、祝勝会のアレは・・・とか、裏話的なものをいくつか聞いたりしながら、自分の中で、笑うハードルが良い意味でどんどん下がっていくのを感じていた。
「さあ笑え、この場をもっと楽しめ損するな」と脳内から指令が出てくるのである。もう箸が転がってもおかしい年頃の娘みたいになって、酔ってもいないのに何でもかんでも笑っていた。で、際限なくニヤニヤしていると、突然誰かの口から金言めいたものがピョロッと出現したりもするので、降車駅を乗り過ごした時のように心中おおっとなる。

そこ、もっと詳しく話してください。聞かせてください!

・・・と言いたくても言いだせないまま、話はすぐにゆるゆると四方八方へ飛び散っていく。あのもどかしさ。
さらに、話にオチがなければ話しちゃいけないような妙におかしな圧。
「高尚な学び」などとは意識的に距離を置こうとするかのような、あの独特の空気感。(ものすごく失礼かもしれなくてすみませんが、その感じが好きでした)   

久しぶりでしたけど本当に楽しかったです。
皆様おめでとうございました。
そして贈りびとさん、お世話になりました。

・・・というわけで、自転して本題へ。

☆☆☆

ティップネス

 (提出40本、通過0本)

「総合型フィットネスクラブ」にピタリと焦点の合ったものはほとんど書いてなかった。「太ってる、ヤバい」とか「痩せてキレイになってきたよOK!」とか「気楽に行けるね」を、ちょっと書き換えた程度のものばかり出している。

・仕事帰りに、ちょっとやってく?
・お帰り、筋肉。
・おもいおもいに、かるがると。
・ナイスボディのバディです。
・脂肪、死亡。
・一生つきあうカラダのために、
 一生通えるティップネス。
・最近よく忘れる。悩みを。
・燃え~
・プロポーションの敵は、
 フラストレーションでした。

等々、まあ、ふーん。・・・で終わるような感じ。
1次通過作品と比べてそんなにダメかと思ったりしながら、視点も作りも総じてよくあるバターンで、今見ればやはり「つまんない」ものだらけ。
ファイナリストに残った3作品がどれも良くて、
・・・うまいなあ、とため息をつくばかりでした。


東北新社

  ( 提出53本、通過4本)

自分でも驚きの複数通過。しかしこれがなければ、本当に壊滅的な結果になっていたので素直にありがたかった。〆切1分前に、運転中だったのを路肩に止めて粘って出したかいがあった。とはいえその時の3本は入ってないけど。そして宣伝会議賞あるあるで?、すべて2次へは進めず。

オードリーは、ものすごくファン、というわけでは実はなくて、観たことがある映画は「ティファニー」「ローマ」「おしゃれ泥棒」「尼僧物語」くらい。もちろん嫌いではない。ただ有名すぎて、なんとなく敬遠してしまいがちだった。コピーはVOGUEの特集をかなり参考にして、人生や人となりを追った。

・そのまなざしに、偽りは退散した。
・一番の名作はきっと、
 彼女自身。
・ドレスを脱ぎ捨てた。
 タイムレスになった。
・「私らしく」の、はしりでした。
・妖精の再就職先は、
 ユニセフでした。
・稀代の名女優は、
「私は母親になるために生まれてきたの」
 と言った。
・オードリーがいなければ、
 黒いドレスは永遠に
 憂鬱なドレスのままでした。
・ほんとはずっと、人見知り。
・貴女はスタンダード。
 貴方は、あたらしい。


どこをとってもイメージの裏切りがなさすぎる、正統派女優のコピーということで、肩に力が入っていたなと今では感じる。すでに他界している人なので、表現も過去形で終わるのものが自然と増えてしまって変化に乏しい。
組織や商品よりも、当然ながら感情移入はダイレクトにしやすかったものの、宣伝会議賞との相性的にはどうだったのだろう。(以前のジャルジャルは提出していない。)

その意味で、ファイナル進出がないというのも、なんとなく予想できてしまう感覚はあった。ただ、中高生部門で出していれば、また目を見張るような新鮮なものが生まれていたんじゃないかとも、今回のユニコーン的存在の10代の皆さんを見て感じたなあ。
自分のコピーの出来はともかく、お題としては新鮮で、そしてオードリーの人生もかなり記憶の根太に叩き込まれました。楽しかった。


日清オイリオ

 (提出37本、通過0本)

・信念で、油、売ってます。
・オイルはおいしいのインフラだ。
・しあわせ、軋むな。
・オイル、かける、笑顔。
 これがシアワセの方程式。
・なめられて、本望です。
・おいしい音、おいしい色。
 幸せの音色はオイルから。
・人とオイルの油好的な関係を、
 これからも、ずっと。
・毎日、オイルにかけている。
・幸せのエネルギーは、
 いつだって金色だ。

特に面白くもなく、表現の発見もない。ちょっとうまいこと言おうとしてるよね、そいでつまらないね、という感じの面子がズラリと揃った。
課題には100年という記念すべきアニバーサリーを謳っていたので、その感じを伝えたいと妙にひっぱられた感じはある。
しかしSKATを見ると、自分のようにイメージの上澄みをすくいましたというものより、より生活に根差した実感ある言葉、またはインパクトある用語をうまく機能させているものが上の方に来ていて、なるほどなあと。そうか、こう書くのか、これでいいのか、という、結構具体的な答えが掴めた(気がする)。
作っている時から、言葉が大きすぎるなとは思っていた。が、最後まで軌道修正に至らずで残念感満点。
次回もう一回出してくれないですかね?
101年だからないかー。


JPRS

 (提出13本、通過0本)

・地道な街頭募金だけでは、
 この子の命は救えなかった。

・これはたとえば「母親のおなかの中に戻れ」と言われるほどのレベルの話だ。

先の太字は、オンラインの見せ合いの時に出したもの。
確かマスケトさん、古山さん、むーむーさんという強面の皆さんが同部屋でありまして、思い出しても恥ずかしい・・・。
このコピーは「この子」と、一家族の例として伝えるんではなく、もっと俯瞰した視点にした方がよかったのかな、と後日思ったりもしたのだったが、実はそんなこと以前に、

あの見せ合いの時、古山さんから
「救えなかったんですよね・・・」と言われ、いえ、助かったのですぅと言い返し?ていたのだけど、
後になって見返すと、
確かに救えなかったと思われるシチュエーションにもなり得てしまうことにようやく気がついた。

「わが子の遺影を前にして親が呟いているシーン」だとしても、このコピーはすんなり成立してしまうじゃないか!
・・・さすがの古山さんである。鋭いご指摘に今更ながら震えています。
あの時は失礼しました。また鍛えてください。

そして2本目の、超長ったらしいやつは、・・・これはどうも、頭にすらぁーっと浮かんだ下書きを入力して、何も直さずそのまま出してしまったのでした。いわゆるたたき台というか草稿的な?
「母親のおなかの中に戻れ」?胎児でいいのよ胎児で
さらには
「これはたとえば」
「言われるほどのレベルの話」って。

まさかこのまま出していたとは・・・。ここから練って退化逆進を伝えるコピーにするつもりだったんよな?ショックで、今もう一度あてられるか考えてみようとしたけど今夜は無理みたいです。
ちなみに、あの日むーむーさんが披露してくれたコピー、カッコ良かったんですよね。でも、まさか週二日休みを隠し持っていたとは。
あの時の私たちは知る由もなかった。
むーむーさん、さすがが過ぎる、怖すぎる。



・・・というわけで。

振りかえっても振りかえっても、空しさだけが強く残る61回の結果となりました。世相もあり、今回はなんとなく、真面目にきっちり書き込まれたようなコピーが多く通過している印象がありました。が、やはり三次通過以上のもの、各賞を獲られたものを見ると、ほんっっっとうに良い!ですね。

今回、SKATが思いきり早く見れるようになり、検索も簡単にできるようになったことで、さまざまな傾向やワードの使われ方などが一目瞭然に。自省録①で既述したように、自分のコピーを冷静に眺めることも出来始めました。これを一段ずつでもステップアップするきっかけにしないとなあ。

とにかく自分に決定的に足りないのは、新しい視点、発見、課題の解決法を生む思考の知識。
それと1本のコピーに対する執念というか、粘り強さ。
納豆はそれだけで食べる。

ただの書きっぱなしで、短い方がカッコイイから、と放り出された冷たい余白の自分のコピーと、今回のグランプリ作品のように、あれだけ短いのにもかかわらず、目にした人すべての胸にそれぞれの想いがあふれだすような、優しく、ふくよかな余白を抱いたコピーと。
両者のなんと対照的なことか。

なんといっても7文字。7文字で100万円ですよ。
歴代のグランプリの中で、ひょっとしたら最短コピーではないかと思います。調べていないですけど。
あ、いかん、15日に引き続いてまたもやお金の話になってしまいました。

☆☆☆

さて、ここからまたスタートです。
9月に向けて、頭と感性の体力をつけていきたいところ。

・・・と思っていたら、ここにタイミング良く、コピグラ再開!というビッグニュースが飛び込んできました。再開を決めたローラーさんの、その気概。さまざまな声を耳にしながらも、それでも決めてくれた。私などが予想もつかない、ものすごくエネルギーの要ることだと思います。感謝しかありません。
あの、作者がわからない状態のコピーだけを見て、さまざまな感想が入り乱れる自由な空間が、また帰ってくる。本当に楽しみです。どうぞお仕事、お身体ムリのない範囲で、またよろしくお願いします。

あ、土竜さんの脱力日記を引き継ぐ話は、あれはあの方の社交辞令なので、皆さま安心してください。土竜さんだから書けるんです。
期間中にあれを書き続けるなんて恐ろしい二刀流は、先輩以外できません、ほんとに。。

おお、もう夜が明ける。
長々お読みいただきありがとうございました。

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