突然の猫ミーム(#毎週ショートショートnote)
「ほんとによく食べるねえ」
黒白のハチワレは夢中で3杯めの猫缶にがっついている。
もとはお隣に現れたノラだったが、いつかわが家の方に棲みついた。
愛猫を老衰で亡くした私にとっては思いがけない出会いで、残っていたフードをやるうちにすっかり懐いたのだ。
若い雄で、体も大きく食欲は旺盛だ。以前の子の数倍の量を1度にぺろりと平らげる。
最近は、このフード代が質素な年金暮らしを圧迫し始めた。
「だけど可愛いもんねえ…」
ヘソ天で寝転ぶ姿を眺めてはため息が出る毎日。
◇
ある日のこと。
放置していた私のTik Tokに、突然怒涛のような通知が押し寄せ始めた。
「何…?」
画面では見慣れたハチワレ猫が喋り躍っている。
既に300万回再生超えだ。
私の写した画像が知らないうちに編集され、UPされていた。
そんな気配は微塵も見せなかったのに、人が寝ている間に夜な夜な慣れぬ作業をしていたのか。
肉球で必死に入力したらしい文章を読んで涙が出た。
『働かざる者、食うべかニャる』
(416字)
猫ミームの意味も知らない猫好きにとって、このお題はなんとか書かねばという思いでした笑
前半はほぼ実話、画像はわが家で寝ている「彼」です。
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