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機能不全家族~パーソナリティ障害を持つ家族~
noteで記事にするつもりはなかったのですが、
なんだか文字として残したくなり、指が動くままに書きました。
ずっと私の心の中に止めていたものです。
読みづらい部分もあると思いますが、
家族となにかしら悩みを抱えている人のヒントになりますように。
多分、私の家族は機能不全家族だと思う。
それに気づいたのは縁があって姉が小さい頃からお世話になっている人からの言葉だった。
気づいたというか、直球で言われたので気づかされたの方が正しい。
私の家族は、父、母、姉、私の4人家族だ。
両親ともに、子供のためにお金は惜しまない教育方針で、
塾も習い事も不自由なく通わせてくれたし、
父親は癇癪持ちで家族はそんな父親に機嫌を伺いがちではあったけど、DVもないし、よくある一般家庭だと思っていた。
(休日は毎週家族みんなで土手で犬の散歩をしていたので、なんなら仲がいい家族だと思っていた)
癇癪持ちで、心配性すぎるところもある父親、
愛情深くて、子供のことを第一に思ってくれる母親、
いい意味でも悪い意味でもテキトーに生きてて、でも突然被害妄想が始まってしまうこともある姉と、
比較的真面目で、人に言わせると自己犠牲が強い私、
隙間がありつつもなんとなくバランスを保てていた関係が不穏になったのは姉が結婚してからだと思う。
元々父親と姉は二人だけでいるとちょっと気まずそうな、そんな雰囲気があった。
姉は必要以上に父に気を使い、それが父にも伝わっていてなんとなくお互い居心地の悪さを感じていたのかもしれない。
姉は結婚してから実家を出ていたが、新婚ながら家にいると夫と喧嘩してしまうとのことでちょこちょこ実家に顔を出していた。
姉が一歩引くので衝突はしなかった二人だが、チリチリと燃えていた炎が
起爆剤を投下されたように爆発したのは、そんな日の夜だった。
その日は家族それぞれ用事があって、夕飯は家でバラバラのタイミングで食べていたのだが、
父は、ご飯を食べている姉に「さっさと食べろ」といい、
ちんたら食べているわけではなかった姉は、食べる気が失せてしまったのかまだ半分くらい残っているお皿を冷蔵庫に入れた。
そして姉は実家に顔を出すときはなにか家事を手伝わないといけないと思うのか、ありがとうと言ってほしくて家事をやっているのか、
家事をとにかくやる節があり、その時はシンクに溜まっている食器を洗い、食洗器にいれていた。
(ちなみに私は、家事は持ちつ持たれつで気になった人がやればいいし、
このありがとうを言ってほしいアピールが苦手なので無視しがち。
私もこじらせている。)
父親はそれを見て、文句を言ったのだ。
要はつっかかりたくて仕方ないモードに入っていた。
「なんで洗ってるんだ。そんだけ洗うなら食洗器にいれる必要ないだろう。意味わからん。」
食洗器でとれなさそうな汚れは軽く手で洗ってからいれないといけないのは
父も知っているはずなのにそんな言いぐさだった。
姉は逃げるように部屋にこもった。
久しぶりに嫌な予感がしていた。
頼むからもう姉につっかからないでくれ。
そんな思いはむなしく、父は姉に、
「まだ風呂入ってないのか。さっさと入れ」と強めの口調で追撃した。
その時は母親がお風呂に入っており、姉も帰ってきたばかりでお風呂なんかは入れるタイミングなかったはずなのになんでそういう言い方をするんだろう。
触らぬ神に祟りなしと思い、私も自分の部屋にこもっていたが流石にやりすぎだと思い、部屋から出たが遅かった。
「私なんかいなくなればいいんでしょ!邪魔なんでしょ!もういいよこんな家なんて出て行ってやる!縁も切ってやる!」
立っている父親を見上げる形で、姉が叫んでいた。
あまりに悲痛な叫びだった。
どうしようもなく胸が張り裂けそうで、私も大泣きしていた。
姉は小さい頃はよく父親に反抗して泣いて、時にはベランダに出されていた。私はその時、自分が怒られているわけでもないのにいつも泣いていた気がする。
母親からはなんであなたもそんなに泣いているの、うるさいってあなたも怒られるから静かにしなさいと言われていたが、
抑えようとしても抑まらず一緒になって泣いていた。
私は鬼の形相で怒っている父が怖くて泣いていたと思っていたが、
姉のどこか埋まらない心の穴に、苦しみに、共鳴していたのかもしれない。
姉の叫び声を聞き、びっくりしてお風呂から母親が飛び出してきた。
姉も泣いているし、泣いている姉を抱きかかえるように私も泣いていたので、20半ばを超えて大泣きする娘二人を見て、さぞ驚いたことだろう。
珍しく姉が反撃してきたので、父親も怒りの表情に驚いた感情も読み取れた。
こうして絶妙なバランスで成り立っていた形が、姉の絶縁宣言によってバラバラと崩れていく音がした。
結果として、この件があった後に発覚したのだが、
この時姉は妊娠しており、妊娠は体の様々な変化もあって大変なので、
実家に頼らざるを得なくなり、絶縁宣言は実質解除になった。
が、妊婦さんにありがちなホルモンバランスの乱れによるメンタル不調から、
今まで姉が周りの人と溶け込めるように、生き残っていくために自然と身に着けてきた振る舞い、心の闇の部分を隠すために覆っていた鎧が剥がれ落ちてきて、
お姉ちゃんって時々変なモード入るよね、の違和感が、確信に変わってきた。
姉の心の闇
姉はセミリンガルである。
幼稚園時代はアメリカで過ごし、小学生に上がるころに日本に戻ってきた。
私はというと、0歳~3歳の期間だったので、まるっきし記憶はない。
言語発達が著しい時期に、姉は日本語と英語どちらとも触れていたのである。
子供によってはどちらの言語も取得できるというラッキーなことが起こるかもしれないが、姉は違った。
結果、日本語も英語もどちらも第一言語として扱えきれていない状態になっていた。
日本に帰ってきてから、小学校の授業についていけず、テストではカンニングをしていた。
これではまずいと思い、母親が藁にも縋る思いで地元の塾に駆け込んだ。
そこで出会った先生が、今も姉がお世話になっていて、
私に「機能不全家族」という言葉を教えてくれた人だ。(以後、塾長という)
姉は幼少期から「できない自分」にぶち当たることが多かった。
それは至極当然で、いきなり英語しか話さない環境に連れていかれ、
周りはなにを話しているかわからないがその環境にいるしかなく、
日本に帰ってきたと思ったら、なんだか人より自分の考えを伝えられないし、授業も理解できない。
そしてこれが一番よくなかったのだが、父親はそんな姉に対して、
気持ちに寄り添えなかった。
寄り添おうとしていたのかもしれないが、どうしても感情の制御ができず、
仕事のストレスもあり、酷いことを言ってしまっていたのだと思う。
姉は私に一度だけ教えてくれたのだが、父親に勉強を教えてもらった時、
どうしても分からなかったようでそれを見かねた父親が、
「これが分からないなら死ぬしかないな」と言ったという。
それが一回のみだったのか、他にもひどいことを言われたことがあるのかは分からない。
ただ姉が時々被害妄想が激しかったり、人を試すようなことをしたり、
支配的だったり、人への共感性が欠ける態度をとってしまうことがあるのはこういった言葉が姉の心を蝕んでいるからだと思っている。
妊娠し、メンタルがぶれがちだった姉だが、無事、元気でかわいい女の子を出産した。
しかしその後、すぐ産後鬱が始まった。
赤ちゃんを産んだ後に精神状態を確認するために
病院でアンケートをとるようなのだが、見事に産後鬱になっていた。
子供がかわいくない
かわいくないと思う私は母親失格だ
死にたい
あかちゃんを連れて飛び降りることが頭によぎる
姉の自殺企図は、かなり精神的にきた。
姉は今何と戦っているのか。その時は姉を苦しめている正体が分からなかった。
そんな時、姉が塾長に会いに行くとのことで私もついていくことにした。
久しぶりに見る塾長は、白髪が多くなりやせていて、長髪を一つに縛っていた。
よく言えば仙人のような風貌、悪く言えばちょっと怪しいおじさんである。
塾長はいわゆるカウンセラーで、交流分析とやらの講師もやってるらしい。
私も行くことは伝えていたので、授業で使う紙を用意してくれていた。
境界への侵入
境界とは、自分が他の人とは別の独立した存在であることを保証するもの。
機能不全の家庭では、多くの場合境界のゆがみや混乱が怒ったり、はっきりした境界が存在していない。
それは見捨てられ体験を引き起こす元にもなる。
(1)親が子供をまるで友人や仲間であるかのように扱い、子供を自分の同盟相手とみなす
(2)親が子供に責任を負わせようとする
(3)親のニーズが子供より優先となる
(4)親が子供に自分と同じであるように求める
(5)親が子供を自分の延長としてみなす
ドライバー
親から命令されて、身に着けた「禁止令」の中に繰り返し言われて駆り立てられるメッセージがある。これをドライバーという。
子供自身が親の求めるようにできない、あるいは親から見て不満足な状態にあるとき、親が駆り立てられるように言われるメッセージ。
自分自身がみにつけた禁止令を乗り越えていきたいという欲求がある。
(1)「完全であれ」「ありのままであるな」
(2)「他人を喜ばせよ」「自分の要求は後にせよ」
(3)「一生懸命にやれ」「満足するな・楽しむな」
(4)「強くあれ」「感情を表に出すな」
(5)「急げ」「急ぐには自由で気ままな振る舞いはするな」
”機能不全家族”
そうか、私の家庭は機能不全だったのか。
これは不幸なことに連鎖していくんだ。だから●●ちゃん(姉の名前)も今はそうは思ってなくても父親からされたと同じようなことを、自分の子にもやってしまうかもしれない。
だからそうならないために知識をつけていこう
と塾長は言ってくれた。
このことを自覚してから、家庭環境やらパーソナリティ形成やら自分でも色々調べた。
結論、父は強迫性パーソナリティ+境界性パーソナリティ、
姉は境界性パーソナリティ+自己愛性パーソナリティなのではないかと思っている。
そして私もなにかしら抱えていると思う。
離婚家系がつづくように、こういったパーソナリティ障害は連鎖していくらしい。
理由は、パーソナリティは「遺伝的要素+養育環境」で形成されていくのだが、パーソナリティ障害を発症しやすい遺伝子が引き継がれていく可能性もあるし、パーソナリティ障害を抱えた親は自分がされて嫌だったことをしないようにどれだけ心がけていても、結局やってしまう確率が高いからだ。
DVはDVされたことがある人でないと、そういう発想が生まれない。だからDV加害者は、DV被害者だったということの裏返しなんだ
と、塾長は教えてくれた。
私は姉がメンタルに不安定さを抱えていて時々爆発するのは、
父親のせい他ならないと思った。父親がすべて悪い、そう思っていた。
しかしそんな父はどのような養育環境だったのだろう?
自分がやられたことがないと誰かにもできない、ということなのであれば、父親も被害者なのだろうか。
直接本人に聞いても教えてくれないかと思ったので、母親に聞いてみた。
私「ねーねー、お父さんって昔どんな子だったのかな?おじいちゃんは厳しかったのかな?」
母「おばあちゃんを気遣ういい子だったらしいよ。おじいちゃんはめちゃめちゃ厳しくて、怒りん坊で、従うしかなかったとか。しかもDVもあったらしいしね。
絶対俺は父親みたいにならないって結婚した時は言ってたし、私も反面教師になると思ったけど、血は争えないよね。暴力はないけど。」
・・・父親も被害者なんだ。
父親も、心にぽっかり穴を抱えていて、葛藤していたのだろうか。
父親がすべて悪いと思っていたが、父親もされた側であり、なんとも難しい感情になった。情状酌量の余地あり、ということか。
私たちに手を出していないだけ、この連鎖を断ち切ろうと努力はしていたんだろうか。
じゃあおじいちゃんはどんな幼少期だったかというと、
第二次世界大戦の時代で農家だったおじいちゃんは中学校にいけず、最終学歴は小学校卒だったという。
結婚したおばあちゃんは、頭がいいからと女性ながら高校まで卒業しており、おじいちゃんはそれに対してコンプレックスがあったらしいよと母は教えてくれた。
それがDVにつながったのだろうか。
ふとした瞬間に苦しめてくる、この心の闇は
どんな理由で私たちに植え付けられたのか知りたくて、
誰が悪いのか知りたくて、
元をたどってみたものの、
結局誰もが被害者で、加害者になりうる可能性を秘めているというのが、
今のところの結論。
もし今後、自分の子供ができたときに心に穴をつくらないように、
これをきっかけに心理学の知識をつけていきたいと思う。
負の連鎖は本人が自覚し、断ち切ろうという意思があれば、断ち切れるので。