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Vol.30 慣性ドリフト

 慣性ドリフト。コーナー進入時に特別な減速操作は行わず、ステア操作のみでスライド状態に持ち込むテクニックで、究極の速いドリフトと称される事もあります。私が慣性ドリフトの名前を知ったのは『頭文字D』からでした。主人公の藤原拓海がAE86を駆り、FD3Sを運転する高橋啓介の目の前で慣性ドリフトを披露したシーンは車好きならばご存じの方も多いのではないでしょうか?
 以前紹介したゲーム『セガラリー2006』でフォード・フォーカスを使った慣性ドリフトのお話を軽くしましたが、あの出来事以来、他のレースゲームでも同じような挙動、操作感を再現したいという事で私は慣性ドリフトの研究を始めました。

フォード・フォーカスの慣性ドリフトのお話はこちらから

 決して速さを求めた物ではなく、あくまでもセガラリーで味わった感覚に近い物を作り出す事が目的です。題材となるゲームはAssolutoRacingというスマホ用のレースゲームです。使用する車はNSX Type S-Zero Aero(いわゆるガチャNSX)で、MR車であり少ない舵角(きっかけ)で向きを変えられる事、ダウンフォースが強い為滑ってからの姿勢が安定している事、私が首都高バトルに登場する夢見の生霊に憧れている事からこの車を選びました。ディーラーで販売されているノーマルのNSX Type S-Zeroでも同じような操作感は出せますが、ダウンフォースが足りない為、コーナリングスピードは下がります。
 セッティングは最初にグリップ仕様で作っておき、そこから少しずつリアのグリップを落として煮詰めていきました。前後のタイヤのグリップバランス、タイヤの内圧調整、前後のアライメント等が肝になってきます。
 方法としては、ノンブレーキでコーナーに進入してステアリング操作を行い、そこからリアがじわじわとグリップを失って滑り始めます。スピードが乗っているので弱アンダーが発生しておりフロントも流れていきます。フロントよりも若干リアが流れている事により、4輪が滑っていながらも車は向きを変える事が出来るという物です。コーナーの後半では立ち上がる為に必要最小限のカウンターステアを軽く当ててスライドを止めます。

 セガラリー2006で味わったフィーリングに限りなく近い物が完成しました。見た目ではドリフトとグリップの中間のような雰囲気ですが、操作している側はハッキリとスライドコントロールをしている感覚が有ります。夢見の生霊になった気分でドリフトしてます。

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