ギフテッドを読んで

この記事にはネタバレを含みます。未読の方は自己責任でお願いいたします。

「嫌われ松子の一生」などで知られる小説家、山田宗樹氏の「ギフテッド」と久方ぶりに読んだ。

一般的に言われるギフテッドとはさ「才能が授けられた者」として使われることが一般的だが、この作品におけるギフテッドとは人体の中に未知の臓器のある人間のことを指す。

小学校6年生でそのことを知った主人公「達川颯斗」はそのことで周囲からいじめを受けて、転校を余儀なくされる。

そのきっかけがいじめられているタイミングでたまたま大きな地震が起きてしまったことで「奇跡のギフテッド」と評判になってしまったのだった。

転校先は同じように元いた学校にいられなくなったギフテッドを集めた学校で、その学校では生徒はみんなギフテッドという状況。

そのために、ギフテッドということでいじめられることもなく平穏な学生生活を送るのだった。

時は流れ達川が教師として働いているところに昔の同級生がギフテッドのグループを作っていることが耳に入る。

ギフテッドというだけで周囲から爪弾きにされた人間が助けを求めて集った結果だという。世間のギフテッドに対しての排他的行為が高まる中で、暴走族がその同級生を襲撃。建物内に入り込むとその暴走族が全て殺されて、ギフテッドは全て姿を消すという事件が起こる。

そのことでギフテッド、非ギフテッドの関係は一気に悪くなったことは言うまでもない。

本来ギフテッドの物語の初めは、ただ未知の臓器がある人がいる程度のお話だったのだが、それだけでどんどんと排斥されていくギフテッド。

実はギフテッドには超能力があることが明確化されると今までただ虐げられてきたギフテッドが反撃を開始して関係は激化していくのだった。

この物語を見て、主人公がギフテッドサイドですすむこと、そして勇気ある行動をとっているために共感しやすいのだが、本来多くの人間は非ギフテッドのような行動をとるんだろうな、と考えている。

ギフテッドと非ギフテッドの差は、目に見えない体内に未知の臓器があるかだけなのだから。

人間は自分とは違う相手を本能的に恐れることがほとんどだ。

そうは言いつつも占い師としての目線で言えば同じ人のほうが少ないことなんて分かりきっている。

それでも人間は同じであることを求める。肌の色や国籍でどれだけその人の人格がわかるかもしれないのに。

今の世の中、目に見えないことで排他的になっている部分を否めないのではないだろうか。

今だからこそ、人というものをしっかりと見ていきたい。

ざくろ

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