4種の推論の本質 演繹、帰納、アブダクション、アナロジー
今回は、本質辞典というサイトを頼りにしながら、4種類の推論『演繹、帰納、アブダクション、アナロジー』それぞれの本質を抽出してみる
まず本質辞典から 本質とは?推論とは?を引用する
そこで、「『ある事物が何か』を規定するもの」を探してみると、この世に1つだけある。
それは、「ある事物すべてに共通し、他の事物すべてに共通しない属性」、すなわち「ある事物の普遍的な特徴」だ
…本質とは「ある事物の普遍的な特徴」である。
推論とは、ルールに基づき、前提である認識から、結論である認識をつくることなのだ。
短縮すると「ルールに基づき、前提から結論をつくること」となる。
これが結論である。
以上、本質辞典より
さて、推論の本質≒普遍的な特徴を取り出す場合、何をすべきか。
演繹を例に考えると
・演繹法すべてに共通し、他の推論形式すべてに共通しない特徴
コレを探す必要がある
引き算で表すと
(演繹に共通する特徴)−(他の推論も持つ特徴)=演繹の普遍的な特徴
そして、推論の本質とは「ルールに基づき、前提から結論をつくること」である
この内、「前提から結論を作る」という属性は、4種の推論すべてに共通している
ならば、推論に違いを生むのは
「どんなルールに基づくのか」
この点しかない
では、推論の本質≒どんなルールを使うのか、という観点で整理すると
演繹法 →「抽象度の高い順に前提を関係づける 」というルールによる推論
帰納法 →「ある事物群に共通する特徴を取り出す 」というルールによる推論
アブダクション→「ルールの適用範囲を広げる」というルールによる推論
アナロジー→ 「前提間を共通点と差異で関係づける」というルールによる推論
となる
以下でさらに解説する
演繹法
まずwikipediaから引用
演繹(えんえき、英: deduction)は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法である。
演繹って、一般的な原理から、個別的な結論を導く推論なんだけど、それだけだとアナロジーとの区別がつかない
そもそも、「2つの事物に共通する要素がある」という抽象的なルールから結論をつくってるのがアナロジー。
あと、抽象的な事物同士を比べるケースもある。
・軍事理論と経営理論は似ている
→孫氏の兵法は経営理論に転用できる
これ、前提が一般的だから、演繹とアナロジーをmixさせた推論だとも言える
じゃあ演繹にしかない特徴って何か?と考えると、前提を並べる順序にあると思う
例としてアリストテレスの三段論法を持ち出すけど、
大前提「人間は死ぬ」
小前提「ソクラテスは人である」
結論「ソクラテスは死ぬ」
これ、論証の順番を変えると、結論が正しいとは言えなくなる
・「人間は死ぬ」
・「ソクラテスは死ぬ」
→「ソクラテスは人である」
この順番だと、ソクラテスは犬の名前かもしれない可能性を排除できない
この3つの文章の違いは、抽象性の高さにある
![](https://assets.st-note.com/img/1712724999237-XokstAfanX.jpg)
・抽象性の高さ→「人間は死ぬ」>「ソクラテスは人である 」>「ソクラテスは死ぬ」
抽象性の高さの順に、前提を関係づける、というルールが演繹にはある。
この特徴は、他の推論には無い特徴だ。
ゆえに、演繹の本質は「抽象度の高い順に前提を関係づける」というルールに基づく推論である
帰納法
帰納法と他の推論との違いは、早まった一般化を見れば分かりやすい
要は、少ない例だけで結論を出すのはおかしくね?てこと
AはXである。BもXである。
CもXである。DもXである。
したがって、いかなる場合もXである。
この形式は論理的に妥当でない。少ない例から一般的な結論を導こうとしており、これが早まった一般化となる。
つまり、Xを満たすものが存在するという一部の個別の事実から全体を判断していて、それ以外のEからZまでの中に、Xでないものが存在する可能性が全く考慮に入れられていないため、誤りになる。
ゆえに、たくさんの事例を集めた上で、一般的な法則を導く必要があるのが帰納法。
帰納(きのう、英: Induction、希: επαγωγή(エパゴーゲー))とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。
だから、帰納法の本質は、「ある事物群に共通する特徴を取り出す 」というルールに基づく推論である
アブダクション
一般的にアブダクションの特徴は、仮説を作る推論とか、遡及推論(結果から遡って原因を推測する)だのと説明される。
けど、他の推論でもできる特徴ではある
仮説作る→帰納法でもできる
原因の推測→アナロジーや演繹でもできる。
というかアブダクションには、類推や演繹が組み込まれているかもしれない?
〇例:昼を食べたら、お腹が痛くなった
アナロジーなら
・昔の自分の経験から、お腹が痛くなった状態を考える
(※過去の経験の中から「お腹が痛いとき」という共通点のある出来事を探す→アナロジー)
・期限の切れた牛乳を飲んだときにお腹を壊した→今さっきも牛乳を飲んでいた→牛乳の期限が切れていた?
・確認したら、期限切れだった→牛乳が原因
演繹なら
・過去にお腹を壊したことがある
・期限切れの食品を食べたときは、よくお腹を壊していた
・昼食で食べたものを思い出したら、牛乳を飲んでおり、期限を確認したら切れていた→牛乳が原因
まぁ、「仮説を作る」や「結果から原因を推測する」という特徴は、アブダクションの普遍的な特徴とは言えなさそうだから、別の特徴を探す必要がある
前に、アブダクションの特徴を記事でまとめていたので、大事な要素を引用してみる
アブダクションは
・事実の観察から思考をスタートさせる
・何かのルールを当て嵌めている
・ルールを適用する範囲を拡張してる≒原理の拡大解釈
という性質のある推論であり、応用と非常に似通っている。
記事はこれ
この性質のうち、他の推論には無い特徴は「ルールを適用する範囲を拡張してる」という点しかない
ゆえに、アブダクションの本質は、「ルールの適用範囲を広げる」というルールに基づく推論である。
アナロジー
またまた本質辞典から少し引用
…「同じ」とは『認識間の「違いがない」という関係』である。
…「違う」とは『認識間の「ズレがある」という関係』である。
アナロジーとは、似ている探し+ズレ探しである
より正確に表現すると
・認識間を共通項で関係づける
・認識間を差異(ズレ)で関係づける
という2つのルールに基づく推論が、アナロジーの本質と言える
人口に膾炙する表現を選ぶなら、「認識」を「前提」と置き換えればいい
『前提同士を、「違いがない」と「ズレ」という関係性でつなぐこと』
これがアナロジーである。説明をより汎化させると
「前提間を共通点と差異で関係づける」というルールに基づく推論が、アナロジーの本質である。
終わり
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