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型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ(242):円卓の崩壊~アーサー王の死~

前回までのあらすじ:モードレッド卿死す。

アーサー王の死(第5~6章)


ルーカン卿「ですので、わたしが思いますには、この二人して、王をどこかへお連れするのが一番よいと思います」
アーサー王「そう願いたいのだが、どうも私は立つことができない。ああ、ラーンスロット卿よ、今日ほどそなたがいないことを残念に思ったことはないぞ。ああ、そなたを敵にしてしまったなんて。
私は死にかけている。ガーウェイン卿が夢の中で予言してくれたのに……」


<ツッコミ>
おい今そばにいない人の話するのはデリカシーに欠けるぞ。

そんなアーサー王をなんとか持ち上げようとするが、その拍子にルーカン卿の内臓が飛び出てしまった。ルーカン卿は死んだ。

<ツッコミ>
そんな死に方ある!?!?!?
これで生存者2名になったが???


アーサー王「ああ、なんと心痛む光景だろうか。この立派だった重臣がこんなふうに息絶えるなんて。私より自分のほうが助けを必要としていたのに、私を助けようとしたのだ。ああ、泣き言など少しも言わずに、私を助けようと一筋に心を配ってくれたのだ。神よ、どうぞ彼にご慈悲を垂れさせたまえ!」
(ベディヴィア卿、兄の死を悼んで泣く)
アーサー王「こんなふうに悲しんだり、涙を流したりしているのはもうよそう。いとしい騎士よ。こんなことをしていても、私のためになりはしないのだ。
もし私が生き延びられれば、ルーカン卿の死は私をいつも悲しませることだろうな。だが、私に残された時間はどんどん過ぎて行くようだ。
だからさあ、この大事な剣エクスカリバーを持ってあの水辺に行き、この剣を水の中に投げ込んだら、そなたが見たことを話してくれ」
ベディヴィア卿「わが王よ。ご命令のとおりにします。すぐ報告に戻ります」


<ツッコミ>
いやお前が「泣くな」とか言うなや。本当にデリカシーがないぞアーサー王。

こうしてベディヴィア卿は出かけていったが、エクスカリバーが柄まで宝石で出来ているのに気がついて呟いた。


ベディヴィア卿「この豪華な剣を、水の中に投げ込んだところで、損失があるばかりで何もないだろうな」


なので木の下にエクスカリバーを隠してアーサー王の元に戻り、水の中に投げ込んだと嘘をついた。


アーサー王「そうすると、そなたは何を見たのか」
ベディヴィア卿「王よ。波と風のほかは、何も見えませんでした」
アーサー王「ではそなたは、嘘をついているのだな。すぐにもう一度行って、命令したとおりにするのだ。そなたは私を魅きつける大事な人なのだから、惜しいと思わずに、その剣を水中に投げ込むのだ」


<ツッコミ>
もったいないオバケ発揮すな!!!!!!!!!

もったいないオバケに取り憑かれたベディヴィア卿はまた剣を手にしたが、その剣を投げ込むのは罪であり恥辱であると考えた。
なので戻ってまた嘘をついた。


アーサー王「それで、そなたは何を見たか?」
ベディヴィア卿「王よ、水が岸に押し寄せ、黒ずんだ波が立つほかは、何も見ませんでした」
アーサー王「ああ、おまえは本当に裏切り者だな。そなたは二度も私を裏切った。そなたはひじょうに魅力があり気高い騎士と言われたのに、この私をその剣の豪華さゆえに裏切るなんて、誰に想像できようか。
さあ、すぐにもう一度行くのだ。そなたがそうやってぐずぐずしている間に、私は身の危険に陥っている、もう私は冷たくなりかけているのだからな。
その剣の豪華さゆえに、そなたは私を見殺しにしようとしているのだ。私の命令に従わぬなら、私の見えるところにいるかぎり、この手でそなたの息の根を止めてやる」


<ツッコミ>
ぼくのつみは~ためらったこと~♪(レプリカ)
いまさらあま~りにおそ~すぎると~つ~きはな~して~♪(独白)
(一部六章を思い出して頭を抱える)
あの時はあんなに感動したのに、アーサー王がすごい物騒な事言ってる……。
それもこれももったいないオバケのせい。

ベディヴィア卿はまた出発し、今度はちゃんと剣を投げ入れた。
すると水の中から腕が現れて剣を受け止め、三回大きく振ってから水の中に消えていった。
それを確認してからベディヴィア卿はアーサー王のもとに戻り、見たままを報告した。


アーサー王「ああ、ここから連れていってくれないか。私は心配なのだ。ぐずぐずしすぎたのではないかと」
(ベディヴィア卿、アーサー王を水辺にまで連れて行く)
(小さい船に黒い頭巾をかぶった多くの貴婦人が待っていて、アーサー王を見て泣き叫ぶ)
アーサー王「さあ、あの船に私を乗せてくれ」
(ベディヴィア卿、アーサー王を船に乗せる)
(三人の王妃たちがアーサー王を横たわらせ、そのうちの一人がアーサー王の頭を抱きしめる)
王妃「ああ、愛する弟よ、なぜこんなに長く待たせたのですか? ああ、この頭の傷はもうすっかり冷たくなっているわ」


こうして船が出ていった。ベディヴィア卿は離れていく船に叫ぶ。


ベディヴィア卿「ああ、わがアーサー王よ、わたしから離れて行かれるのですか? わたし一人を、敵の中に置き去りにするなんて、わたしはいったいどうなるんでしょうか?」
アーサー王「元気を出してくれ。そしてうまくやってほしいのだ。私にはもう頼りになるような力はない。私はこの傷を治すため、アヴァロン島にに行くのだ。私のことを聞かなくなったなら、私のために祈ってほしい」


船を見送ったベディヴィア卿は、森に入って夜通し歩き続け、礼拝堂と庵にたどり着いた。
そこにいた隠者は、かつてモードレッド卿に追放されたカンタベリーの司教だ。


ベディヴィア卿「隠者よ。そなたがそのように熱心に祈っておられるのは、いったいどなたが埋葬されているからなのですか?」
隠者「お若いお方、推測するだけでよくわからないのですが、昨晩の真夜中に、ご婦人がたくさんおいでになり、ある方の遺体をここまで運んできて、どうか埋葬してほしいと頼まれたのです。それから蝋燭を百本渡され、金貨も千枚くださいました」
ベディヴィア卿「ああ、悲しいかな。この礼拝堂に埋葬されているのは、それはわがアーサー王です」


<ツッコミ>
さっきアヴァロン行ったばっかりなのにもう埋葬されてる……早すぎる……。

ベディヴィア卿は気絶してしまったが、目を覚ますと隠者にアーサー王のそばでつつましく祈って暮らしたいと隠者に頼んだ。


ベディヴィア卿「わたしは自分からここを離れようとは思いません。ここで、わがアーサー王のためにわたしの命があるかぎり、祈りたいのです」
隠者「わたしは歓迎いたします。あなたが思っているより、わたしはあなたを知っておりますよ。あなたは高貴な殿であるベディヴィア卿であり、執事のルーカン卿は、あなたの兄上でしょう」


こうしてベディヴィア卿はエクスカリバーを返還した時の事を話して聞かせ、隠者に仕えたのであった。

先程船でアーサー王と共に行った貴婦人たちだが、実はモルガン・ル・フェ王妃と北ウェールズ王妃、荒れ地の王妃、湖の乙女ニミュエだった。
ニミュエはあのペレアス卿と結婚したニミュエで、ペレアス卿は命の危険があるところには行かせてもらえなかったので実は死ぬまで安らかに暮らしている。『氷室の天地』でマキジが言ってたけど、本当に唯一の勝ち組だよこいつ。
ところでモルガン・ル・フェ王妃とか散々アーサー王と敵対していたイメージしかないのに、ここで出てくる事に誰か疑問を持たなかったのだろうか?
伝承って本当に意味わからん事になってるよな。

墓の上には「ここにアーサー王は眠る。過去の王にして未来の王」と書かれている事は非常に有名だが、一応そこはグラストンベリー……らしい……ということになっている。
このシリーズの画像がまさにそこだ(イギリス旅行で私が撮った写真)。めちゃくちゃ良いところなので是非一度行ってみて欲しい。近くの店のフィッシュ・アンド・チップスが美味しかった。めちゃくちゃでかいけど。

では、また次回。

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