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型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ(244):アーサー王の死後~グィネヴィア王妃とラーンスロット卿の再会~

前回までのあらすじ:ラーンスロット卿、アーサー王の死を知る。

グィネヴィア王妃とラーンスロット卿の再会(第9~10章)

ラーンスロット卿は王妃捜索を始めて八日目に修道院でグィネヴィア王妃を見つけた。
グィネヴィア王妃はラーンスロット卿に気がついて三回気絶した後、こう言った。


グィネヴィア王妃「なぜわたくしがこうなったのか、不思議にお思いでしょうね。実を言いますと、あそこに立っておられるあの騎士を、お見かけしたからなのです。ですからどうぞ、あの騎士のお方を、こちらにお呼びになってくださいな」
(ラーンスロット卿、グィネヴィア王妃のもとに連れてこられる)
グィネヴィア王妃「この方とわたくしのせいで今度の戦いが始まり、この世でもっとも高貴な騎士たちが亡くなったのでした。
そしてたがいに愛し合ったわたくしたちの愛のために、わたくしの気高い主人も殺されたのです。ですからわたくしは自分の魂に安らぎを与えようと、こうした境に身をおいているのです。
そしてわたくしは信じていますが、神の恩寵により、死後にはイエス・キリストの慈悲深きお顔を拝することができ、最後の審判の日には神の清き右の聖座につけると信じております。
なぜならわたくしと同じように罪ぶかかった方々でさえ、天国に行けば聖人になれるのですから。それなのでラーンスロット卿よ、わたくしは心からあなたに懇願しお頼みいたします。
わたくしたちはこれまで愛し合ってきました。でも今はそのような気持ちになれませんので、もうこれ以上わたくしに顔をお見せにならないでください。
神さまの代わりに命令いたします。わたくしとはもう付き合わないでください。そしてご自分の領土に帰られ、その領土を戦争と破滅からお守りになってください。
これまであなたを深く愛してきただけに、今はもうあなたにお会いする気にはなれないのです。わたくしとあなたとのために、王のなかの華であり騎士たちの華であったお方が、殺されてしまったのですから。
ラーンスロット卿よ、どうぞ領土にお帰りになられて、お妃を迎えられ楽しくお暮らしになってください。
わたくしはいままでの間違った生活を改めるように努めますので、どうぞわたくしのために主にお祈りくださいな」
ラーンスロット卿「さて、愛しい王妃よ。あなたはわたしが領地に帰って妻を娶ることをお望みなのですね。
いいえ、王妃よ、わたしにそのようなことはできません。わたしはこれまでにあなたとお約束したことを破ったり、裏切ったりしたことはありませんね。
わたしもあなたさまが身を任せられたと同じ運命に、この身をを投じましょう。そしてこれからはずっと、あなたのために祈ることにいたしましょう」
グィネヴィア王妃「もしあなたが、そうなってくださるなら……でもわたくしには決して信じられません。あなたがこの世に再び戻らないなどということは」
ラーンスロット卿「まあ、王妃よ。お好きなように言われるがよいでしょう。でもあなたは、わたしがあなたとのお約束を破ったことなどないのをご存知のはずです。
神よ守りたまえ、あなたがこの世を捨てられたのに、わたしもそうしないでいることなどあるでしょうか?
あの聖杯探求の時、あなたとの愛のことがなかったなら、あの時にわたしはこの世の虚栄を捨てていたことでしょう。
あの時に思い切ってそうしていたなら、息子のガラハッド卿は別にして、聖杯探求に従事していたどの騎士よりも、きっと優れた騎士になっていたことでしょうね。
ですので王妃よ。あなたは修道院の苦行に参加されたのですから、わたしも修行の道に入りましょう。
神に誓って申しますが、この世の喜びはあなただったのですから、あなたさえその気になってくださっていたなら、わたしの領土にお連れしたかもしれません」
でも今はあなたがおっしゃるように、お心に決めておられるのがわかりましたので、もしわたしを受け入れてくださる隠者がいますれば、灰色の衣であれ白の衣であれかまいませんので、
そこで贖罪の修行に入って、わたしも命あるかぎり祈り続けようと思います。ですから王妃よ、どうぞ最後の口づけをしてください」
グィネヴィア王妃「いいえ、そのようなことはもういたしません。またそうしたことをせぬよう、あなたも禁じてください」


こうして二人は涙の別れをし、何度も気絶し嘆きながら別れた。

<ツッコミ>
本当に、もっと早くこうしてくれていればな……。
聖杯探索後にすっぱりやめときゃよかったのにな……。

修道院を出ていったラーンスロット卿は、そのうち礼拝堂にたどり着く。
そう、カンタベリーの司教とベディヴィア卿がいるあの礼拝堂だ。
ベディヴィア卿から詳しい経緯を聞いたラーンスロット卿は嘆いた。


ラーンスロット卿「ああ、なんと悲しいことか。誰がこの世を信じられよう!」


そして司教に自分も仲間にしてくれと頼み、彼も神に仕える者となったのだ。

その頃、ラーンスロット卿と一緒にやってきた大軍は待ちぼうけを食らっていた。
ライオネル卿はラーンスロット卿を探しに出たのだが、道中で殺された。

<ツッコミ>
ら、ライオネル卿~~~~~~~!!!
こんな雑に死ぬとか最悪すぎるだろ!!!!!
ボース卿が殺せなくてぴえんするほど大事なお兄ちゃんなのに!!!!

仕方ないのでボース卿は大軍をフランスに帰らせ、エクター・ド・マリス卿、プラモー卿、プレオベリス卿などと共にラーンスロット卿を探しに出た。
ラーンスロット卿強火担ボース卿は、その強火感情のおかげか運良くラーンスロット卿がいる礼拝堂にたどり着く。
ボース卿はラーンスロット卿が法衣を着ているのに気がついて、自分もそうしてほしいと頼んだ。そして共に祈りの生活が始まった。

連絡もせず勝手に修行に入ってしまった二人だが、それから半年のうちにガリハッド卿、ガリホディン卿、プラモー卿、プレオベリス卿、 ヴィラーズ卿、クララス卿、ガハランティン卿もやってきて、同じようにする。
そうして六年がすぎた。葬送のフリーレンくらい時間経過が早いじゃん……。ちなみにこの間に馬はどっかに行った。

そんなある夜、ラーンスロット卿に幻が現れた。罪を免じるからアームズベリーに行くように命じられたらしい。
どうもグィネヴィア王妃が着く頃には死んでいるから、アーサー王の隣に埋葬するように伝えてきたらしい。
なんと一晩に三回も。

<ツッコミ>
めちゃくちゃLINE送ってくる迷惑な人かな?

では、また次回。

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