モノクロームと天然色
何がきっかけだったか忘れたけれど、友人と夢の話になったことがある。目標的なソレではなくて眠っているときに見るソレの話。
僕は夢を見るとき、自分ではそれを「フルカラー」だと思っている。
しかし友人が見る夢は「モノクロ」だと言うのだ。
そんな夢があってたまるか。戦後か。とはいうものの彼がそう言うのだからモノクロなんだろう。
夢というのは記憶の断片(フラグメント)から再構築されるものらしい。
記憶といっても身体を動かして経験したとかそういうことだけでなくあらゆる記憶が含まれるから、例えばふと見かけた知らない人の1ツイートや自分が妄想したことですら記憶領域に放り込まれていて、それが夢に反映されることもある。
たぶんね。詳しくは知らないけど。
僕がよく見るのは仕事の夢で、すごく長文の低評価レビューがストアについた夢とか、すごく長文の問い合わせメールが最後の方はただの悪口になっているとか、仕事絡みの場合はそういう嫌な夢が多い。(ありがたいことに現実にそういう目に遭ったことはない)
この「夢を見る」というのもなんだかあやふやで、「夢を見たという記憶がある」ということなので、なかには「夢を見ない」という人もいる。それが本当に夢を見ていないのか、夢を見た記憶が起床とともにリセットされるのか、そのあたりは研究したこともないのでわかりません。
とにかく夢は記憶と結びついている。気になるあの娘と現実ではあり得ないアレコレする夢を見たとしてもそれもまたなんらかの記憶の断片たちを集めて再構築したものである。
現実ではあり得ないといえば、亡くなった家族親族または友人などが夢に出てくることもある。少しセンチメンタルになるけれど、僕は嬉しい。
なんの話だっけ、そうそう、どんな夢だったとしてもそれはなんらかの記憶の断片の再構築であるという話ね。
で、自分が実際に見たものの記憶は、視覚に障害がない限りは、おそらく色彩とともに記憶しているはずで、それが僕の友人のようにモノクロで再生されるというのはどういうことかと考えたけれど、おそらく記憶の中の色彩(色彩の記憶)が失われているとか想起しにくいとか、そういうことなんじゃないかと思う。
彼女はオレンジ色の服を着ていた、という記憶があったとしても、そのオレンジ色がどのくらいのオレンジ色だったのかを正確に思い出すのは難しい。
僕のフルカラーの夢も、なんだか自信がなくなってきた。起きた後にその夢がカラーだったと認識はしているものの、その色を正確に思い出せないからである。僕はカラーだと思っているが、起きてから1分もすればあっという間にその色を思い出せなくなっている。「オレンジ色だった」と思い込んでいるだけかもしれない。起きた後で夢の中の色彩の記憶の補正をしているのではないか、というわけである。
そう考えると、結局のところ夢(または夢の記憶)、つまり記憶の断片から再構築された映像というのは、友人が言うようにモノクロなのかもしれない。
まさに「想い出はモノクローム」というわけだ。
色を点けてくれ。