まなびと手帳
僕は学習サイクルにおける手帳の役割に興味がある。
まずは、ここでいう学習サイクルについての説明が必要だろう。
学習とは、「これまでの自分の知識を壊して新たに作り直すという変容プロセス」のことだ。
例えば、「今までは抽象ってぼんやりとした悪い意味だと思っていたけど、プレゼン資料を上司に指導してもらっているときに、『実は抽象は上位概念なんだ』ってわかったよ!」みたいなことだ。
上の例では、「プレゼン資料を作成する」と「それに対して上司から指導を受ける」という具体的な経験を通じて学習している。
こういった、経験学習の過程で、手帳が役に立つのだ。
経験学習は、
具体的経験→内省的省察→抽象的概念化→試行(→具体的経験)
というサイクルで行われる。
経験をして、振り返って、「要するにどういうことなんだろう」と考え、新たなことを試す(ためにまた経験をする)。
手帳が活躍するのは、2番目の内省的省察だ。
ここでは多少乱暴だが、内省的省察を「振り返り」と呼ぶことにする。
振り返りをするためには、材料が必要になる。
だから、手帳を使う。
1日中手帳を手元に置き、やったことを書いていく。(履歴の作成)
思ったこともメモする。(記録の作成)
そして、翌朝に「昨日1日」を振り返る。
手帳がなければ、白紙のページを前に、「昨日何したっけなあ」から始まって、たまたま思い出しやすいことだけを振り返ることになる。
1日すべてを振り返ることを可能にするための「手帳」だ。
だから、できるだけ具体的に書く必要がある。
翌朝の自分、来月の自分、3年後の自分が振り返りやすいように。
みたいな感じで、僕は学習サイクルにおける手帳に興味がある。