「気になるあの子」に通信「で」伝えよう
はじめに
教育サークル「まほろば」のマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。
メンバーのZAKと申します。
唯一の中学校教員です。
小学校の先生も、中学校の先生もこの発信を気にかけていただければ幸いです。
中学校の仲間募集中です😄
このマガジンではサークルのメンバーを繋いでくれた「学級通信」に対する考えを、
6人のメンバーがリレー形式で投稿していきます。
少しでも、みなさんが
「通信書いてみようかな」「大変と思っていたけれど、書き方が少しわかったぞ」
と思えるような投稿を、メンバー6人で目指していきます。
ブックマークやスキ、コメントやX(旧Twitter)で共有していただけると嬉しいです。
「気になる」に「物申ーーす!」
とぅけ先生が書いてくれたこのnoteを読んで、共感する部分が多くありました。
自分も「物申ーーす!」通信を書くことがあります。
昨日の「まほろばラジオ」は「気になるあの子」への対応がテーマでした。
(不定期開催ですが、ぜひスペースにお越しください。まほろばのXアカウントのフォローもお願いします。)
クラスの「気になる」に対するアプローチは、時に雑になりがちです。
私も何度も失敗をしてきました。
その場を制するような言葉かけで生徒を傷つけてしまうことがありました。
しかし、たくさんの失敗をしてきたからこそ、少しずつ「気になる」に対するアプローチの工夫を考えるようになりました。
その解決策の一つが学級通信です。
今日は「気になる」に対して学級通信で「物申ーーす!」ときに、自分が大切にしていることをまとめようと思います。
① 否定して突き放して、生徒が返ってくる時代じゃない
日々出会ってしまう「気になる」に対して学級通信で物申す時には、
現状を否定し、突き放して生徒に自覚を促すようにには書かないことにしています。
それでは今の中学生は動きません。
だからこそ「物申ーーす!」系の通信を書く時には、
このクラスは、
そして気になるあの子は
「必ず良くなる」
というマインドで、生徒の変容を信じて書きます。
「全員に〜させる」と言うマインドから
「全員が〜したくなる」工夫を探すようにします。
「正しさ」を振りかざすだけでは伝わりません。
そこで私が物申す時に、気をつけている視点を一つ紹介します。
② 否定→肯定 抽象→具体
とぅけさんのnoteを読んでから、言語化したいと思っていた時に自分が意識していたことを言語化してくれている方がおりましたので、引用させていただきます。
生徒の「やってみたい」を引き出す一工夫が大切だと思います。
クラスの生徒を大切に思うからこそ、
将来を見据えて、大切な習慣を身につけてほしいと思うからこそ、
「できていないこと」に目が向きます。
気がつくことは、とても大切なことです。
そこにクラスや生徒の成長の種があります。
だからこそ、この一工夫で自らの願いを伝えたいのです。
③ 通信紹介 「具体」を生徒に委ねてみる
中学生だからこそ、具体をたくさん提示するとお腹いっぱいになることがあります。
そんな時には「具体」を生徒に考えさせることもありました。
今回はクラスの「気になる」に対してのアプローチをして通信を紹介します。
クラスが成熟してくるはずの、3学期。
最後の定期テスト前の自学への意欲が足りないなと「気になって」しまうことがありました。
そこで、素晴らしい自学ノートの取り組みをしている生徒を取り上げ、朝の短学活を使って「◯◯君から学ぶテスト勉強」の時間を取りました。
学級通信では、その◯◯君の自学ノートからの気づきや感想をこのように紹介しました。
気づきは多様であり、生徒それぞれに刺さるポイントは違います。
この時も6名の感想を2号に渡って紹介しました。
友達の気づきから、さらに刺さるポイントを見つける生徒もいます。
そして、このように通信で紹介するからこそ、
クラスに前向きな「空気」と「言葉」が溢れます。
その空気や言葉が、クラスの次の「やってみよう」を生み出します。
通信はクラスの素晴らしい事実から生まれるばかりではありません。
「気になる」を変えるツールにもなるのです。
この後のクラスでは
「自分のためのテスト勉強」と言うことが意識され、自分の課題を見つめたり、
自分のテスト勉強の意味を見つめたりする生徒が増えました。
自分を鼓舞する価値ある言葉を自学ノートに書いて、やる気をアップさせるブームも起こりました。
時には「具体」を生徒に委ねるからこそ、生徒が主体的に動きます。
そしてクラスの「気になる」が改善して、インフラが整備されてくると、
「気になるあの子」へのアプローチも変わってきます。
その時にも、クラスの波に乗り遅れていることを否定して、改善を促すのではなく、
できないことに対する「共感」と「肯定的・具体的」な声かけから始めれば、
「気になるあの子」が変わるきっかけが掴めるかもしれません。
通信だから一息ついて、「肯定的・具体的」に書くことができる
日頃の指示なども、「気になる」行動には「正しさ」を突きつけて、子どもを制してしまいそうになります。
そんな時の言葉かけは「否定的・抽象的」となりやすいものです。
クラスの「気になる」もあります。「気になるあの子」が目に入ってきます。
そんな「気になる」に対して
「肯定・具体」の声かけで「〜したい」を生み出したいからこそ、
一息ついて、「通信」と言う、文章を通したアプローチを考えてみましょう。
気づいた瞬間に、即興で発した言葉よりも、クラスのために、気になるあの子のためになる言葉が生まれると思います。
それが「気になる」の変容のきっかけとなるかもしれません。
最後に
今回は学級通信というよりも教師のマインドについての紹介が主訴になりました。
しかし、「一息ついて、通信でアプローチ」は、
「気になるあの子」へのアプローチを変えていくために、とても有効な手段だと思います。
私は、今年度から生徒指導主事となり、学級通信を書けない立場となりました。
一息ついて、工夫する手札が一つ減りました。
ここに書いたことは自戒を込めて、今日からの自分の関わりを見直すためのものです。
まだまだ研鑽が必要です。
「肯定的・抽象的に」
あの子の変容を信じて、工夫を考えて、今日もアプローチをかけてみようと思います。