#105 財政投融資(2016/8/24)
今日は夏休みも終わりに近づいたということでちょっとだけお勉強モード。高校の頃の授業で習った財政投融資。改めて調べてみました。今日のざっくりは財政投融資についてです。
財政投融資は政策的な必要性があるものの、民間では対応が困難な長期・固定・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための投融資活動(資金の融資、出資)です。
その財政投融資の金額は平成28年度計画(フロー)で14兆4674億円。また、財政投融資は長期の貸付になりますので、その残高(ストック)は151.3兆円(2016年見込み)
・財政投融資計画(フロー) ざっくり14.5兆円
・財政投融資計画残高(ストック)ざっくり150兆円
フローは平成8年(1998年)には40.5兆円まで膨れ上がっていましたが、平成13年に財投改革がスタートし、年々減り続け平成19年(2007年)にはおよそ1/3の14.2兆円まで減少。リーマン・ショックや東日本大震災後の融資で一時的に膨らみますが、また2007年とほぼ同じレベルまで下がってきています。
残高(ストック)はピークの2000年には418兆円ほどあったのでこちらも1/3近くまで減少してきています。(ちなみに2000年時点の国債残高は360兆円ほどでしたのでそれより多かったことになります)
財政投融資は調達資金ごとに3つにわかれていて、財政融資(財投債(国債)で調達)、政府保証(政府保証債で調達)、産業投資(NTTなどの配当金など)に分類されます。
・財政融資(財投債で調達) 10.6兆円
・政府保証(政府保証債で調達) 3.5兆円
・産業投資(NTTなどの配当金など)4000億円
となっています。
「あれ?たしか郵貯や年金を使うんじゃなかったっけ?」
と思われる方も多いかと思います。(私はたしかそう習いました)
確かに平成13年(2001年)の財政投融資改革までは郵貯と年金からの預託金がほとんどを占めていました。実際、改革直前の2000年には郵貯・年金からの預託金等の残高はは427.9兆円、そのうち郵貯が247兆円、年金が139.7兆円と合わせて全体の9割以上を占めています。2013年の財投改革によって郵貯・年金の預託義務が完全に廃止され、財投債(国債)などにより金融市場から調達することになり、また償還確実性の精査、民業補完を踏まえ、本当に必要とされる額のみを財投債によって調達するように変更になったことにより結果として財投残高も減少しているということのようです。(ちなみに平成26年(2014年)時点の財投債の残高はおよそ101兆円です)
調達された資金は政策金融機関(日本政策金融公庫、国際協力銀行、日本政策投資銀行など)、独立法人(日本学生支援機構、福祉医療機構、石油・天然ガス・金属鉱物資源機構など)や地方公共団体を通じて国民、企業、地域などに融資などで提供されています。
区分別に使途をみてみると少し前ですが、2014年計画で多かったのは
・中小企業 3.9兆円(23.9%)
・生活環境整備 2.31兆円(14.2%)
・道路 2.27兆円(14.0%)
・産業・技術 1.4兆円(8.9%)
・総額 16.2兆円
となっています。
ちなみに改革直前の平成12年度(2000年)では
・住宅 12.8兆円(35.6%)
・生活環境整備 6.7兆円(17.5%)
・中小企業 6.3兆円(16.7%)
・道路 3.5兆円(15.9%)
・総額 37.4兆円
となっています。詳細を調べきれていないのですが、「住宅」の多くは住宅金融公庫(現(独)住宅支援機構)向けの資金だったのではないかと思われます。
比べてみると現在はかなりスリム化しているのがわかりますね。
Source:
財務省理財局 参考資料 平成26年2月18日
https://www.mof.go.jp/…/proceed…/material/zaitoa260218/4.pdf
平成28年度財政投融資計画要求の概要
http://www.mof.go.jp/filp/plan/fy2016/youkyu01.pdf
平成13年度における財政投融資の転換(財政投融資改革)
http://www.mof.go.jp/…/filp_r…/zaito2012/zaito2012-1-c2.html
財政金融統計月報第760号
http://www.mof.go.jp/…/publi…/zaikin_geppo/hyou/g760/760.htm