【海外ドラマ】ライン・オブ・デューティ

私は、日本のドラマより海外ドラマが好きだ。テーマ、ストーリー展開や音楽もちろん、名前も私生活もスキャンダルも知らない俳優陣で、まっさらな自分の頭と心だけで見ることが出来るという魅力が大きい。

そんな数あるドラマの中でも、私は特にアメリカ、イギリス、ドイツのドラマが好きだ。最初は語学学習の一環で見始めたのだが、次第にその魅力にとりつかれるようになり、動画配信サービスに登録し、いろんなドラマを見た。

今回は、イギリスの刑事ドラマ「ライン・オブ・デューティー」を紹介したい。イギリスのドラマは全体的に地味である。もちろん、いい意味で。
ボソボソとして引っかかりのあるイギリス英語の雰囲気がそうさせているのかもしれないが、基本的にどんよりしている印象がある。気候もあまり良くないし、衣装もセットも色味が少ない。

それでも、イギリスのドラマに魅力を感じるのは、その重厚なストーリーである。派手な演出や台詞は少ないが、淡々と、しかし毎話着実に、進んでいく。
ひとつひとつの場面は地味でも、一話見終わるとドキドキしていたことに気付く。確かにそこに、私も生きていたことを感じさせられるのだ。

ライン・オブ・デューティーは、汚職警官を調査し検挙する「AC-12」の物語だ。最初は「怪しい」「おかしい」など些細な気づきから始まり、決定的な証拠を掴むまで取り調べや潜入をして追い詰めていく。

俳優さんの演技や、調査の足取り、聞き取りの緊張感、なぜ汚職に走ってしまったのか、など細かくしっとりと描かれていく。自分もAC-12の一員になったような臨場感がたまらない。
また、完全には説明されず行間を読ませてくる場面も多々あり、最後まで自分の予想や読みが合っていたのかわからない箇所もある。謎解きや伏線回収が好きな人には刺さるに違いない。
たまに、前のシリーズのあれやこれやが次のシリーズに影響することもある。

正直、AC-12のメンバーより、汚職警官やその周りの人物の方が感情移入できるし、好感が持てるのだが、その感じ方は人それぞれだろう。
個人的には、なんでそんなに若手刑事のスティーヴがモテるのかわからない。彼の色恋沙汰がたまに調査に影響したり、いつの間にか見覚えのない女性とくっついてたり、彼の女性事情には首を傾げてしまう。高身長イケメンでもないし(失礼)、話がうまかったり、性格がよかったりするわけでもない。
むしろ、正義感で突っ走る癖があり仕事人間でもあるので、真面目に交際するには向かない男である。なんでそんなモテるんだ、スティーヴ。イギリスではこういう男がいいのか。

もう一つ、このドラマで面白いというか、文化を感じるのは「階級制度」だ。ただでさえ、階級社会のイギリスでさらに舞台が警察だからなおさらなのかもしれないが、至る所で階級の差や人間の立場が強調される。
例えば、容疑者への質問は階級が上の刑事からしかできなかったり、もみ消したりもみ消されたり、社会的に背負うものがそれぞれ違ったり、本当にさらりと、しかし日常に根付いているものとして描かれる感じがとてもいい。

私はまだシリーズ3までしか観ていないが、シリーズを追うごとに面白さが増してくるので、これからもAC-12の面々を見守りたいと思う。

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