20090901 ヤモリの足
ヤモリ$${^{*1}}$$がガラス窓や壁天井に貼り付いて歩けるのは、ファン・デル・ワールス力(りょく)と呼ばれる分子間力を上手く使っているから$${^{*2}}$$という説があるらしい。知らなかった。ファン・デル・ワールス力$${^{*3}}$$は、気体分子が低温になって凝集して液体や固体になる原因と考えられている。オランダの物理学者ファン・デル・ワールス$${^{*4}}$$がこの考え方を最初に作った。分子が電気的に中性でも互いの接近によって誘発された一時的局部的な分極$${^{*5}}$$により電荷が発生して電磁気力が働くと考えられている。このような分極はどんな分子でも起こり得る筈だ。従ってヤモリの足だけにファン・デル・ワールス力が発生しているのではなく、トカゲ$${^{*6}}$$の足にも人間の足の裏にもこの力は発生している。
ハエがガラスに止まることができるのは、ハエの足には無数の細かい毛が生えて$${^{*7}}$$おり、それがガラスの微小な凸凹を捉えるからと聞いたことがある。テントウ虫にも同じ様に細かい毛が生えている$${^{*8}}$$らしい。これで垂直のガラス面も歩けるようだ。
イモリの足も同じ様に細かい毛の様な物が生えている$${^{*9}}$$らしい。と言うことは、ハエもテントウ虫もファン・デル・ワールス力ということになる。
ヤモリの足を触ると何やらペタペタとした感じがする。固定用粘着ジェル$${^{*10}}$$に近い感触である。そう言えば、ガラス窓にくっつけると剥がれずに降りてくる人形$${^{*11}}$$にも粘着ジェルが付いている。
ヤモリ、ハエ、テントウ虫、粘着ジェル、これらは全て同じ原理、つまりファン・デル・ワールス力と言えるのではないか。くっつく相手の微細な凸凹に入り込んで粘着力を得ていると思われる。細かい毛が生えていれば、細かい凸凹にその細かい毛が入り込んで全体としての接触面積が増える。ジェルの場合は、ジェルそのものが流動して細かい凸凹に入り込んで接触面積を増やす。ファン・デル・ワールス力は非常に弱い力なので、接触面積が小さければ埃程度の重さの固定しかできないが、これが何億倍にも増えればヤモリ位は支えることができるようになるのではないか。
取り立てて「ヤモリはファン・デル・ワールス力$${^{*12}}$$」と言う程のことではないだろう。
*1 yamori ニホンヤモリ
*2 「ヤモリの足裏」の秘密をナノテクで実現
*3 ファン・デル・ワールス力-用語解説|セメダイン
*4 J. D. van der Waals - Biography
*5 東京理科大学『古江研究室』:分極について
*6 IMG_1514.jpg
*7 MicroAngela - Fly Foot
*8 文ちゃんのタイニーカフェテラス<走査電子顕微鏡、SEM> ■なぜテントウムシはガラス窓を登れるか?
*9 image_32333_zoom.jpg
*10 液晶TV用耐震ジェル | バッファローコクヨサプライ
*11 駄菓子屋さんのおもちゃ001 ぺったん人形(ペッタン人形)
*12 Gecko-grip material aims to be the end of glue - tech - 09 October 2008 - New Scientist