20060317 とろろ飯と中気
幼少の頃、よくとろろ飯$${^{*1}}$$を食べた。おろし金ですったとろろ芋が入った大きなすり鉢$${^{*2}}$$と擂り粉木$${^{*3}}$$とを母が床に置き、父が擂り粉木ですりながら、だし汁をお玉杓子で少しずつ注ぐ。汁は母が注ぐ。我々兄弟$${^{*4}}$$はそれをじっと見守るか、すり鉢を押さえる役目を貰う。時々は擂り粉木を回させてもらえた。
とろろ飯は何杯も食べられた。ご飯は茶碗にかなり少な目に盛られたので何度でもおかわりをした。だし汁が入っているので、何杯も食べるとお茶が欲しくなる。ところがとろろ飯の後にはお茶を飲んではいけないと言うことになっていた。一時間は我慢しろと言われていた。子供にとって一時間はかなり長い$${^{*5}}$$。とろろ飯は大好きだが、その後のこの苦行が辛かった。
なぜお茶が御法度だったのか。とろろ飯を食べた後直ぐにお茶や水を飲むと中気(ちゅうき)になると言われていた。中気$${^{*6}}$$とは脳卒中$${^{*7}}$$のことである。これが食い合わせ$${^{*8}}$$の迷信であることは大人になってから知るのだが、この頃は家族全員が信じていた。
この迷信は尾張$${^{*9}}$$地方だけではなく、東京でも同じ迷信があった$${^{*10}}$$ようだ。もしかしたら全国的な迷信かも知れない。
*1 花山村の自然薯/とろろめしの作り方
*2 素材集・調理の道具
*3 20000303 めじろ、ロシヤ、野蛮国
*4 20050831 風呂での出来事
*5 20010726 時間感覚
*6 脳卒中
*7 脳卒中ホームページへようこそ
*8 食べ合わせの検証(1)避けたい食べ合わせ
*9 20010128 愛知
*10 怪異・妖怪伝承データベース とろろ飯,蕎麥,中気,(俗信)