20020713 機械式計算機
計算機、コンピュータと言えば電子回路、というのが当たり前のような気がするが、必ずしもそうではない。機械式の計算機$${^{*1}}$$がよく使われていた時代もある。機械式の計算機$${^{*2}}$$自体は17世紀に既にあった。
計算尺$${^{*3}}$$も計算機の一種である。算盤$${^{*4}}$$は計算機だろうか。紙と鉛筆とで計算する代わりに算盤の珠を動かすだけだから計算補助具 である。
「計算機」とは計算とは関係ない簡単な操作だけで演算を自動的に行う機械だろう。電卓やコンピュータは数字のボタンや鍵盤を叩くだけで計算が出来る。計算尺$${^{*5}}$$も目盛りを合わせれば、計算結果を読み取ることができる。算盤になると訓練すれば反射的に指を動かすことが出来るが、この動きは自分で一桁同士の計算をやっているいるので自動的には結果が出ない。
電子式でも機械式でも数字を入力する部分があったり、沢山数字が書いてあるので一見して計算機ということが解る。直ぐに解らなくても説明されれば大抵解る。
しかしこの「素数探索機$${^{*6}}$$」はとても計算機には見えない。木で作った枠に回転する鉄棒を取り付けそれに何本かのチェーンが引っ掛かっており、それを電気モータで回すだけである。これがどうして計算機になるのか。数字を入力する部分もないし、数字がどこにも書いてない。何の予備知識もなく初めて算盤を見せられたようなものだろう。
この計算機$${^{*7}}$$で、ある数が素数であるかそうでないかが判定できるらしい。この機械は1926年カリフォルニア大学バークレー校$${^{*8}}$$のレーマー$${^{*9}}$$が作った。
チェーンにボルトが差し込まれていて、モータが回転してこのボルトが一列になると自動的にモータが止まるらしい。これによってどうして素数かどうかが判別できるのかよく判らないが、直感的には素数ならばいつまで経ってもモータが止まらないような気がする。合成数$${^{*10}}$$だとボルトが一列に並びそうな感じである。
しかしどう見てもこの機械*6でボルトが一列になると自動的に止まるとは思えない。スイッチも何もないではないか。レーマーが1926年に作った実際の機械は壊されてしまったらしい。写真は復元したものなのでスイッチなどは省略されたのだろうか。
他の資料$${^{*11}}$$を見るとスイッチらしき物が付いている。やはりそうでないと自動的にはモータは止まらないだろう。
それにしても面白い計算機である。科学教育玩具$${^{*12}}$$としてあっても良さそうだ。本当にあったら買ってしまうかもしれない。しかしプラスチック製だったら買わない。
*1 手回し計算機、手動式計算機、機械式計算機と呼ばれた、タイガー計算器です
*2 Biography of Blaise Pascal, Inventor of the Calculator
*3 算盤
*4 20011108 算盤
*5 ナビタイマー B01 クロノグラフ 46 18Kレッドゴールド - シルバー RB0127121G1P1 | Breitling
*6 http://ed-thelen.org/comp-hist/TheCompMusRep/TCMR-V04-P04.jpg
*7 The Computer Museum Report Volume 4 ---- Spring 1983
*8 University of California, Berkeley
*9 The Lehmers at Berkeley Exhibit: D. H. and Emma Lehmer
*10 さんじゅつまん/初心者講座NO.3
*11 pre industrial era 1900-1926
*12 電子ブロックホームページ
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