20050822 ボウフラと重力(2)
走地性とは何か。移動能力を持つ生物が重力に対して示す性質で、重力の方向に移動する場合は正の、重力の向きに逆らう場合は負の走地性を持つと言うらしい。ボウフラは正の走地性$${^{*1}}$$を持つようだ。
重力に向かったり逆らったりするということは、重力が感知できるということである。重力を感知しているから反応できるはずである。人間の場合、重力を直接感じることはできないが、坂を下れば上るよりも楽だと感じることができるので走地性を発揮することは可能である。
ボウフラやゾウリムシ$${^{*2}}$$など小さな虫が重力を直接感知$${^{*3}}$$する器官を持っているとは思えない。そうなると人間と同じように重力に逆らうと苦しい向かうと楽だという感覚で重力の方向を判断しているのだろうか。
ゾウリムシは重力によって自分の体が変形したり原形質が流動$${^{*4}}$$したりして重力を感じている$${^{*5}}$$と言う説がある。しかし微生物にとって周りの水の対流や動きの方が重力よりも影響が大きいような気がしてならない。
やはり苦しいか楽かで決めているのではないか。微生物や虫にとって苦しい落とは何か。それはエネルギーを多く使うか少なくて済むかだろう。これくらいは微生物自身も判るだろう。生物か非生物かの違いはこれが判るかどうかのような気もしてきた。ただ、それが「判る」というのがどういうことなのか、その仕組みは全く想像できないが、それがないとそこらの石ころと同じだろう。
そうなると「走地性」という言葉がおかしくなる。苦か楽かで動いているだけだから重力とは関係ない。空気や水の動きが支配しているならば、「地」というのはおかしい。ボウフラやゾウリムシを水を満たしたホースなどに入れて無重力状態$${^{*6}}$$にする。その状態でわずかに水流を起こすとどうなるのだろうか。何となくこの水流に対して反応する気がしてならない。
*1 20050821 ボウフラと重力
*2 原生生物の世界 Protista
*3 絶対重力測定
*4 日本植物生理学会-みんなのひろば- 原形質流動を見る
*5 研究紹介 1998.3 No.204 単細胞生物の重力感覚
*6 IHI石川島播磨重工業(株) -地上試験設備-
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