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20040623 せろんとよろん

 前(さき)の戦時中のこと$${^{*1}}$$をもとにして描いたSFアニメーション$${^{*2}}$$を見ていたら「せろん(世論)」という言葉が何度も出てきた。

 「世論」は戦後の漢字使用統制で出てきた言葉である。もともとは「輿論」と書いていたが、「輿」という字が当用漢字$${^{*3}}$$に入らなかったため、同じ様な読み方の「世(よ)」を「輿(よ)」の代わりにして書き換えた「世論」という熟語が一般化した。「輿」が「与」の本来の字体である「與」に似ていることから「輿論」を「與論$${^{*4}}$$」「与論$${^{*5}}$$」と書き換えて同じ意味とする場合もあるらしい。

 「輿(よ)」を「世(よ)」に置き換えた結果、「世論」という言葉が成立し、漢字熟語の読み方の原則は訓読みなら訓読み、音読みなら音読み$${^{*6}}$$という「読み方を揃える」に倣い、「世論」を「訓 音(湯桶読み)」の「よろん」ではなく、「せろん」と読むようになった。

 従って「せろん」は戦後の言葉なので戦時中に「せろん」と言うのはおかしいと思った。このアニメーションは、もし歴史がこうだったら、という内容なので史実を描いている訳ではない。別に「せろん」でも「パブリックオピニオン」でも何でもいいが、レーダーは「電探(でんたん)」と言い換えているのでこの不統一が気になってしまった。

*1 遺構探訪 本文の索引
*2 紺碧の艦隊
*3 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書: とうようかんじ
*4 Multimedia & Internet Dictionary 與論調査
*5 Google 検索: 与論 世論 輿論
*6 20020822 四元数

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