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20070801 温度の足し算

 あるパーソナルコンピュータ専門雑誌$${^{*1}}$$を読んでいたら、変なことが書いてあった。コンピュータの中は熱がこもりやすく、ハードディスクやその他の部品が熱によって故障してしまう。CPUはその温度が高くなりすぎると自動的に停止するようになっている$${^{*2}}$$。CPUの肝心な部分$${^{*3}}$$は半導体でできている。半導体$${^{*4}}$$は温度が上がると電流が流れやすくなる性質$${^{*5}}$$がある。温度が高くなりすぎると電流が余分に流れ、最悪の場合、ヒューズ$${^{*6}}$$のように一部が融けてしまう。

 コンピュータを安定動作させるには内部の温度をできるだけ下げることが肝要だ。そこで件の雑誌では夏に向けて少しでもコンピュータ内部の温度を下げる工夫が書いてあった。冷却用の送風機の周りにある内部配線などを整理したり、送風機のほこりを取り除くだけでも温度を下げることができるとある。

 これはこれで尤もなことだ。だが、この後がいけない。コンピュータ内部の各部分の温度の下がり具合が書いてある。CPUの温度が$${2\degree C}$$、ケース内温度$${^{*7}}$$が$${2\degree C}$$、ハードディスクの温度が$${3\degree C}$$下がったとある。ここまでは良かったが、それぞれの温度を足し合わせて「$${-7\degree C}$$」になったと書いてある。温度をそのまま足すというのは戴けない。小学校の理科で、$${50\degree C}$$のお湯にいくら$${50\degree C}$$のお湯を足しても$${100\degree C}$$の熱湯にはならないことは習っているはずだ。

 そんな知識の状態でもコンピュータ$${^{*8}}$$を自在に操ることができるのだから、科学技術の発達というのは凄まじいと言わざるを得ない。

*1 週刊アスキー
*2 CPUの温度はどこを測っている? Pentiumの温度定義の謎を解く:デジタルARENA
*3 ppc750l.jpg
*4 よくわかる!技術解説 - 次世代半導体 技術解説
*5 抵抗の温度特性について!抵抗温度係数ってなに? - Electrical Information
*6 19991205 fuseとmouse
*7 【コラム】PCスクランブル (1) 熱対策その1 まずは温度計測 | パソコン | マイコミジャーナル
*8 20010122 ENIACとABC

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